ルワンダの人道援助活動とモザンビークでの国連平和維持活動(PKO)が終了し、その功績を認めた防衛庁は、ルワンダ派遣隊の神本隊長ら部隊指揮官四人に、もっとも栄誉ある第一級賞詞を授与した。ところが、その副賞である賞金が五万円である。国家のために、リスクの高い仕事に従事した人たちの顕彰としては、あまりに失礼ではないか。国家に貢献した人たちにどう報いていくか、考え直してみなければなるまい。
酷暑のアフリカ。マラリアなどの風土病にさらされるために、一週間でものの味が分からなくなるという強烈予防薬をのみ続け、治安が定まらない地域で医療や輸送の救援活動を繰り広げる。周囲で発砲事件は日常茶飯事。武装集団に囲まれた邦人ボランティア救出に駆けつけたこともあった。よくぞ全員無事に引き揚げたものだ。賞詞が与えられるのは当然である。
その賞詞は、防衛庁の「表彰等に関する訓令」によって定められている。それによると、防衛出動などで顕著な功績があったものには、第一級賞詞が与えられ、副賞として五万円を授与“できる”と規定されている。自衛隊発足以来第一級賞詞をもらったのはわずか二十五人である。いわば自衛隊の“金鵄勲章”なのである。
にもかかわらず副賞は五万円、“こどものお年玉”でもこれぐらい集めると聞く。重大な国家的責任を果たしてきた人への感謝の気持ちを表すのがお年玉並みでいいはずがない。なぜそうなったのか。訓令は昭和三十年に設けられ、これまで四十回以上も改正されたにもかかわらず、副賞の金額が四十年前のまま据え置かれたからである。昨年四月、名古屋空港で墜落した中華航空機から、乗客を運び出したりした航空自衛隊の部隊に二級賞状が与えられたが、その副賞は五千円だった。無神経というほかない。
一事が万事である。こうした事実は、国家のために危険をおかしてきた人たちの顕彰を国がどう考えているか、明確に映し出している。国家に尽くした人たちに心から感謝しているのなら、副賞の金額を四十年もなおざりにしてはこなかっただろう。また、予算がないというなら、副賞は度外視して、ただ大いなる名誉をのみ与えたほうがよかったと、わたしたちは考えている。これはなにも、自衛隊だけの問題ではない。国民のために危険を顧みずに任務を遂行する人たちみんなへの顕彰を、いまいちど見直してもらいたいと思うのである。
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