2004/07/21 読売新聞朝刊
[社説]在日米軍再編 日本の安保戦略との調和が重要
在日米軍の再編は、「世界の中の日米同盟」のあり方だけでなく、アジア太平洋地域の安全保障の観点からも、極めて重要な動きである。
米国は、世界規模で進めている在外米軍の変革・再編に関連した、在日米軍の再編構想の輪郭を、先の日米審議官級協議で提示した。
米側の提案は、米ワシントン州の陸軍第一軍団司令部やグアム島の第十三空軍司令部を、横田基地からキャンプ座間へ移転する在日米軍司令部に統合するなど、司令部の機能を強化することに主要な狙いがある。
在日米軍は、朝鮮半島から南アジア、中東に至る「不安定の弧」を守備範囲とする。テロやミサイルという新たな脅威に、機動的に対処する戦略に基づくものだ。司令部機能の強化は、日本がその戦略拠点となることを意味する。
米国は、国際社会の安定を軍事面で支える要になる国である。国際社会の安定に依拠して、日本の繁栄がある。同盟国として、日本が米国に協力することは必要だろう。
ミサイルという新たな脅威に対しては、日本がミサイル防衛(MD)システムの導入を決定したことで、日米の新たな共同作業も始まっている。国際テロに対処するうえでも、一層、協力関係を強めなければならない。
在日米軍の再編は、アジア太平洋地域の安全保障や日米防衛協力にも大きな影響を与える。
このアジア太平洋地域で、日米同盟を機能させるために、日本は必要な役割や任務を果たしていかねばならない。
今後の自衛隊の編成や配置、装備体系も、在日米軍の再編を抜きに考えることはできない。日米の任務分担をどうするかなどは、年内に策定する、新たな防衛計画大綱にも、当然、反映されることになるだろう。
米側の提案には、厚木基地の岩国基地への移転、普天間飛行場の嘉手納空軍施設への統合など、在日米軍基地の移転・統合案も含まれている。
基地機能が損なわれては、日米共同作戦を円滑に展開することができない。関係自治体や住民の在日米軍基地に対する理解を得る努力が必要だ。
政府は、近く首相官邸に外務省、防衛庁など関係省庁によるプロジェクトチームを設置し、関係自治体と調整し、対応を検討する。
日米間や、関係自治体との調整は、容易なことではない。だが、大事なのは、在日米軍再編と日本の安全保障戦略との調和を図ることだ。
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