政府は15日午前、首相官邸で開いた安全保障会議(議長・森喜朗首相)と閣議で、2001年度から5年間の中期防衛力整備計画(次期防)を決定した。総額は現行の中期防より9300億円多い25兆1600億円。厳しい財政状況を踏まえ、年平均の実質伸び率は1986年度に中期防が導入されて以来最低の0・7%にとどまる抑制型となった。正面装備では初めて空中給油機4機分、計900億円を計上し、来年度中に機種を選定する。また有事の際に招集される予備自衛官制度については、対象を退職自衛官に限らず、社会人や学生など民間から公募する方針を打ち出している。(2面に関連記事)
政府の5カ年計画である次期防は、自衛隊の装備品や部隊改編など、主な事業内容や所要経費を示す。総額の内訳は、戦後のベビーブーム世代が定年を迎えるため、人件、糧食費が11兆1100億円(現中期防10兆3900億円)と増え、物件費は13兆9000億円(同13兆8400億円)。このほか、大規模災害など特別な場合、安保会議の承認を得て支出できる予備的経費として、1500億円を計上した。
基本方針の柱はIT(情報技術)革命への対応のほか、(1)武装ゲリラ、核・生物・化学兵器の対処能力の向上(2)災害派遣能力の充実強化、など。自衛隊内で高度なネットワークの整備を図る一方、災害派遣などで活躍する国内の非政府組織(NGO)との交流推進をうたった。
航空機や艦船などの正面装備費は4兆円で現中期防と同水準。海上自衛隊では1万3500トン級のヘリコプター搭載護衛艦2隻(1900億円)や新型イージス艦2隻(2800億円)、航空自衛隊ではF15要撃戦闘機12機の近代化(350億円)などが盛り込まれた。
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