政府は六日午前、安全保障会議(議長・村山富市首相)を開き、新たな中期防衛力整備計画(一九九六―二〇〇〇年度)策定に向けて審議を始めた。防衛庁は新中期防の総額を兵器など正面装備額四兆四千四百億円を含め約二十五兆七千二百億円(年平均伸び率二・八%)としており、現中期防より三兆五千五百億円の大幅増となる。また新「防衛計画の大綱」に基づき、次期支援戦闘機(FSX)や空中給油機の導入などを求めている。政府は十四日に決定し、来年度の防衛費予算論議に入る方針。しかし、武村正義蔵相がこの日の会議で「多額の経費が長期間にわたってかかる装備計画は抑制すべきだ」と発言するなど、今後、政府部内の調整が難航することが予想される。
防衛庁が、自衛隊を「合理化・効率化・コンパクト化」しつつ装備の「質的向上」を目指すとした新大綱の基本に沿って、今後五年間の装備計画の基本的な考えを説明。十年来の懸案だった空中給油機とFSXの導入の必要性を強調し、今年度予算から調査費が計上されている米国の戦域ミサイル防衛(TMD)構想の研究推進も中期防に盛り込みたい意向を表明した。
防衛庁は空中給油機について、有事での空中警戒体制の有用性や平時における訓練効率化、離着陸回数の減少による騒音軽減などのメリット、先進国以外でも二十カ国が保有していることなどを説明。同庁が来年度から十二年間に百四十一機購入したいとするFSXについては、衛藤征士郎防衛庁長官が「量産化は不可欠」としたが「(量産機数など)計画の内容はさらに精査する」と発言した。
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