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2004/03/31 産経新聞朝刊
【主張】小学校教科書 性差否定の浸透に警戒を
 
 来春から使われる教科書の検定結果が発表された。男らしさ、女らしさを否定するジェンダーフリーの思想が、小学校の教科書にも浸透している。保護者は関心を向けることが必要だ。
 検定に合格した小学三、四年用の保健教科書(二社)には、男女に関する記述が「男子と女子」でなく、すべて「女子と男子」と書かれ、検定をパスしていた。日教組は教職員向け参考図書で「男女」を「女男」と言い換えるよう提唱しているが、これと同じ次元の無意味な書き換えである。
 検定前の白表紙本に「男らしさ、女らしさ」を否定する内容を書いてきた教科書もある。この部分には検定意見がつき、削除されたが、小学生のころからジェンダーフリーの思想を刷り込もうという執筆者の政治的な意図がうかがわれる。
 ジェンダーフリーは、男女差別をなくすために性差までなくそうという過激なフェミニズムの思想だ。「男女」を「女男」と言い換えたところで、男女平等が推進されるわけではない。男女が性差を認めあい、それぞれの能力を十分に発揮することを目指す男女共同参画の理念とは、全く無縁のイデオロギーである。
 性に関する記述も、ますます過激になっている。検定前、小学三、四年用の保健の全教科書に、男女の性器の英語名が登場した。検定の結果、日本語の名称だけが残されたが、そもそも小学生に性器の名称まで教える必要があるのか疑問である。
 日本青少年研究所が日米中韓四カ国の高校生の意識を比較調査した結果、「男は男らしく」「女は女らしく」すべきだと答えた高校生は、日本だけ半数を割った。「結婚前は純潔を守るべきだ」と答えた日本の女高生はわずか29%と、突出して低かった。ジェンダーフリー教育やモラルをおざなりにした性教育が、予想以上の速さで日本の教育現場に広がっている。
 最近、横浜市の小学校で、性感染症や「いのち」の学習に名を借りた六年間一貫の性教育が行われていたことが明るみに出た。しかも、児童が教材を自宅に持ち帰らないようにしていた。悪質な隠蔽(いんぺい)工作である。
 教科書だけでなく、校長らによる教材のチェックも必要だ。


 
 
 
 
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