最近、男女混合名簿を導入する学校が増えている。「男女平等教育」の一環ということらしい。だが、こんなことに力を入れる前に、もっとほかにやるべきことがあるのではないか。
男女混合名簿は、クラスの名簿を男女別にせず、五十音順や生年月日順などで出席をとるやり方である。「君」付けをやめ、男女とも「さん」付けで呼ぶケースが多い。この運動を進める日教組の調査によると、平成十二年度の実施率は全国で54%に達したという。東京都や千葉県など首都圏では、教育委員会までが組合と一緒になって、混合名簿の導入を呼びかけている。
これは、社会的につくられたとされる性差別をなくそうというジェンダーフリーの思想からきた運動である。それまでは、男女別に出席をとり、男子を「君」、女子を「さん」付けで呼んでいた。これがなぜ、男女差別につながるのか。だれも疑おうとしない。
国会では平成五年夏から三年間、衆院本会議で「君」呼びが消えた。当時の土井たか子議長(現・社民党党首)が男女の別なく「さん」呼びしたからだ。学校で男女とも「さん」付けで呼ぶ風潮が強まったのは、この影響とも思える。その後、男性議長に交代し、「君」付けが復活した。学校だけがなおも土井流の呼び方を普及しようとしているのは、奇妙な現象である。
学校によっては、運動会で男女混合の騎馬戦や駆けっこが行われている。しかし、スポーツは男女別が原則だろう。男子と女子は生まれつき、身体的にも生理的にも異なっている。それを無視して一緒に競わせることが公平な競争とは思えない。
東京都の外郭団体「東京女性財団」が親や教師向けに作った啓発用の冊子「ジェンダーチェック」には、「女の子はしとやかに、男の子はたくましく育てる」「『女のくせに』とか『男のくせに』と叱ることがある」といった設問が並ぶ。「はい」が多いと、「前世紀の遺物」「生きる化石」などと採点される。東京では、この「男らしさ」「女らしさ」にまで目くじらを立てる思想が教育現場に浸透している。
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