2003/10/17 産経新聞東京朝刊
【社説検証】(下)憲法改正 読売新聞
■今こそ「政治復権」の時だ
将来に不安を抱いている国民は、極めて多い。日本の将来を見通した国家戦略がないことが、最大の理由だ。
国の大本である憲法の改正は、その最大のテーマだ。世論も熟しつつある。衆院憲法調査会がまとめた中間報告も踏まえ、具体化を急ぐべきだ。
各党は、憲法を軸に、国のあり方を明示した国家戦略を、選挙で問うようにしなければならない。それでこそ、国民の声に応えることになる。(1月7日)
■「国益」害す欺瞞的解釈を見直せ
国の基本法制である憲法は、五十六年前に施行されて以来、今日まで一度も改正されたことがない。憲法の規定と現実との矛盾は、年々深まっている。
これまでは、そうした矛盾を、憲法の“神学的”解釈操作で繕ってきたが、それも限界に達しつつある。欺(ぎ)瞞(まん)的な憲法解釈に固執し続けることにより、安全保障の面で国益を害する事態が生まれていることを、政府は直視すべきだ。
具体的な改正案を示せなくても、「集団的自衛権の行使を容認するか」「憲法改正に必要な国民投票法の早期実現に取り組むか」の二点くらいは、公約に掲げて国民の判断を仰ぐべきだろう。(5月3日)
■政権公約にふさわしいテーマだ
憲法改正案への取り組みこそ政権公約とすべきだ。
読売新聞社は九四年に憲法改正試案を発表、その後も改憲の必要性を訴え続けてきた。首相の決断を支持したい。
改正案取りまとめは二年先の話だ。国民投票法案はいつまで、憲法前文はいつまで、改正案全文はいつまでなどと明示するのは、むしろ政権公約になじむ。
次期衆院選では、自民党だけでなく、民主党はじめ各党とも、政権公約で憲法への対応を打ち出してもらいたい。(8月27日)
■「憲法改正」へ主張に責任を持て
九条改正の具体的内容で一致したのは初めてだ。これまでの憲法改正論議を見ても画期的なことだ。この流れを今後、大きく前進させる必要がある。
疑問なのは、近く自由党と合併する民主党の姿勢だ。
民主党は総選挙の政権公約で憲法問題に一切、触れない方針だという。
憲法改正は、時代の変化に応じて、あるべき国の姿、形を作る作業だ。その作業を停滞させるようなことは、責任政党として取るべき態度ではない。(9月18日)
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