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2002/11/04 産経新聞東京朝刊
民間憲法臨調 軍隊の保持明記を 9条改正先行を提言
 
 民間の立場から憲法改正のための提言を行う二十一世紀の日本と憲法有識者懇談会(民間憲法臨調)の三浦朱門・代表世話人(元文化庁長官)らは三日、都内で記者会見し、憲法改正にあたっては第九条の改正を先行すべきだとする緊急提言を発表した。八日に緊急提言を衆参両院の憲法調査会に提出する。
 緊急提言では「冷戦後も内外情勢は厳しく、国際社会はわが国に一国平和主義に安住せず、世界平和のための積極的な貢献を期待している」と指摘、「最小限、九条第二項を削除し、軍隊の保持を明記」するよう求めた。
 また国家主権意識の喪失をもたらすとして憲法前文を改正し、歴史と伝統に基づく国家像を盛り込む必要性を強調。憲法改正国民投票法の早期成立も求めた。
 このほか環境、プライバシーなど新しい権利の導入とともに、国家社会の基礎的単位である「家族の保護」規定の新設も特徴となっている。
 民間憲法臨調は記者会見後、「憲法フォーラム」を開催し、約三百人が出席。村田良平・元外務事務次官とジャーナリストの櫻井よしこ氏が記念講演を行った。
 村田氏は、米中枢同時テロをきっかけに大量破壊兵器を開発・保有する敵性国への“予防戦争ドクトリン”を米国が打ち出したことで、第二次世界大戦の経験でつくられた現行憲法や国連憲章は時代遅れになったと指摘。櫻井氏は「この国のおかしさ、矛盾、他国とあまりに違う点に気づくが、突き詰めていくと憲法にたどりつく。国家の自立は軍事力が支えている。憲法を考えるときに一番重要な問題は九条だ」などと訴えた。


 
 
 
 
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