経済界や学識経験者らでつくる「新しい日本をつくる国民会議」(二十一世紀臨調、亀井正夫会長)は二十二日、発足以来、二年半にわたって検討を続けてきた「憲法・基本法制改革」のうち、外交・安全保障分野に関する中間報告をまとめた。日本が直接武力攻撃を受けた際の有事法制に加え、テロや自然災害などあらゆる緊急事態における首相の権限や国民の権利義務を規定した包括的な「安全保障基本法」を制定することを提言したうえで、将来的には憲法改正を行い、憲法に「緊急事態」に関する規定を創設すべきだとした。
また、(1)首相主導の予算編成を行うための経済財政諮問会議をモデルに「国家戦略諮問会議」を創設、国益とは何かを定義付けしたうえで一元的な外交・安保政策の立案を行う(2)アジア情勢の変化に対応し、日米同盟のあり方と役割分担の見直しを適宜実施する「日米戦略会議」を設置する−なども提言した。
中間報告は、わが国の安全保障に関する法制について「(テロ対策特別措置法など)さまざまな法律が、ときどきの情勢でその都度立案される現状は好ましくない」と指摘。安全保障基本法のもとに、紛争・内乱・間接侵略・大規模テロ・大規模災害など緊急事態に対処する個別法と、日本が直接武力攻撃を受けた際の有事法制を整備する必要があるとした。
同会議で「国家の存立と安全にかかわる長期戦略と基本方針」を策定し、この方針に基づいて▽外交▽防衛▽資源・エネルギー・食糧などの長期的な政策−などを立案するとしている。
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