この中で、渡部氏は明治憲法下の政治体制が国家社会主義に染まったことに対する反省から、「憲法で私有財産に対する保障を強化する必要がある」と指摘するとともに相続税撤廃を主張、「税による所得配分は考える必要はない」と述べた。一方、江橋氏は憲法改正の方法について「本文には手をつけず、新しい条文を足していく『増憲』がいい」と述べた。
明治憲法下の日本は、国家社会主義への歯止めが弱かったため、昭和十二年に日華事変がぼっ発すると、法律が次々に変えられ、法律体系に社会主義的体制が敷かれてしまった。
憲法改正は、新しい条文を足していく米国式の『増憲』がいい。与野党が一致して改正というのは無理だからだ。今の憲法は残し、与野党で合意できるところだけ足すというのが落としどころではないか。
相続税制度には問題があるのは確かだが、生まれたときから貧富の差が生まれる。教育の機会への門戸は広く開放されるべきだ。永住外国人はともに一緒に地域で役割を果たしているのであり、選挙権を奪う方がむしろ憲法違反ではないか。また、十七歳から十九歳の若者にも選挙権と被選挙権を認め、社会の一員としての自覚を促すべきではないか。
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。