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2001/04/05 産経新聞東京朝刊
参院憲法調査会 渡部昇一、江橋崇の両氏の意見を聞く
 
 参院憲法調査会(上杉光弘会長)は四日、渡部昇一・上智大名誉教授と、江橋崇・法政大教授を参考人として招いて意見を聞いた。
 この中で、渡部氏は明治憲法下の政治体制が国家社会主義に染まったことに対する反省から、「憲法で私有財産に対する保障を強化する必要がある」と指摘するとともに相続税撤廃を主張、「税による所得配分は考える必要はない」と述べた。一方、江橋氏は憲法改正の方法について「本文には手をつけず、新しい条文を足していく『増憲』がいい」と述べた。
 
□渡部昇一・上智大名誉教授
◆税率に上限、相続税撤廃を
 明治憲法下の日本は、国家社会主義への歯止めが弱かったため、昭和十二年に日華事変がぼっ発すると、法律が次々に変えられ、法律体系に社会主義的体制が敷かれてしまった。
 今の憲法を修正するなら、二九条の財産権と、三〇条の納税の義務の条文(の整合性)だ。
 税率の上限を定めないと、一〇〇%の所得税や相続税も可能になる。憲法で上限を定めておけば、歯止めになる。
 中小企業を活性化するためにも、相続税を撤廃すべきだ。税を通しての所得の配分は余計なお世話だ。所得に手を出すことは、国家社会主義的発想だ。
 
□江橋崇・法政大教授
◆憲法改正は米国式“増憲”方式で
 憲法改正は、新しい条文を足していく米国式の『増憲』がいい。与野党が一致して改正というのは無理だからだ。今の憲法は残し、与野党で合意できるところだけ足すというのが落としどころではないか。
 相続税制度には問題があるのは確かだが、生まれたときから貧富の差が生まれる。教育の機会への門戸は広く開放されるべきだ。永住外国人はともに一緒に地域で役割を果たしているのであり、選挙権を奪う方がむしろ憲法違反ではないか。また、十七歳から十九歳の若者にも選挙権と被選挙権を認め、社会の一員としての自覚を促すべきではないか。


 
 
 
 
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