日本財団 図書館


2001/11/03 読売新聞朝刊
憲法公布55周年・有識者アンケート 反テロ、問われる国際協調/読売新聞社
 
◆「改正」「9条」関心高まる
 読売新聞社は、憲法公布五十五周年の三日を前に、憲法のあり方や、改正問題などに対する有識者の考え方を探るための憲法問題アンケートを五年ぶりに行った。調査対象は、昨年設置された衆参憲法調査会所属の国会議員全員を含む一般有識者と憲法学者。集計結果から主な内容を紹介する。(読売新聞憲法問題研究会、本文記事1面)
 
◇米同時テロと自衛隊
◆「支援は必要」認識 集団的自衛権 行使容認5割超す
 米同時テロ事件を受けた米軍などの軍事行動が国際政治の焦点となっている中、大規模テロに対する国際的な制裁行動をめぐっては、日本も当事者として「汗をかくべきだ」との考え方が多数であることが、今回調査で明確になった。
 日本の取るべき対応(複数回答可)について「報復合戦に巻き込まれかねないから、支援は必要最小限にとどめるべきだ」は有効回答の12%、「外交努力と財政支援までで対処すべきだ」は20%。具体的な人的支援に踏み込むことに消極的な見解は、合わせても全体の三分の一にとどまった。
 回答者の多くが「日本国内で(米国と)同様の問題が起きたときに国際的な制裁行動を期待するなら、協力すべきである」(一般有識者の自由回答)との基本認識を共有していることが背景にあると見られる。
 ただ、憲法学者に限ると「支援は必要最小限」が20%、「外交努力と財政支援まで」は40%と、逆に人的支援に後ろ向きの姿勢が強く、他の有識者との意識のかい離が目立つ。
 後方支援の必要性を指摘する意見では、政府憲法解釈と現行法の「枠」をどうとらえるかについて見解が分かれた。
 「政府憲法解釈と現行法の枠内」で後方支援すべきだとしたのは22・5%だった。これに対し、「政府解釈は尊重するが、現行法の枠にとどまらない後方支援」を求めたのが17%、さらに「政府の憲法解釈にとらわれないで積極的に行うべきだ」は23・4%に上った。
 「今できる範囲」を超えてでも積極支援に踏み出すべきだとの主張が合わせて四割に達しており、「今できる範囲内でしかやらない」という慎重な考え方の方が少数派であることを示したものといえよう。
 ただ、本紙が十月二十、二十一日に実施した全国世論調査では、対テロ国際協調行動としての日本の活動として、「米軍などに対する医療・輸送・補給などの後方支援」を支持するとの回答は57%に達した。
 この活動は、先ごろ成立したテロ対策関連三法があってはじめて可能なもので、アンケート設問の「現行法の枠」に従う限りは実行不可能だった。
 その意味では、人的側面での「積極支援」については、一般国民の意識の方が、有識者よりもさらに前向きと見ることが出来そうだ。
 政府解釈では「認められない」としている集団的自衛権の行使について、「憲法改正で明確に位置づけるべきだ」が36%、「当然認められる。政府解釈を変更すべきだ」が17%で、容認論が過半数になった。
 集団的自衛権行使は「許されない」とする意見は36%だった。「報復戦に巻き込まれかねない」などの理由で、反テロ制裁の人的協力に消極的な人の七割超が、集団的自衛権の行使も認めないことが分かった。
 
◇第9条と自衛隊
◆違憲論が減少 5年前の前回調査比 憲法学者は70→59%に
 「戦争の放棄」「戦力の不保持」などをうたった憲法第九条について、政府はこれまで、解釈と運用で内外情勢の変化に対応してきた。そこで、今後はどうすればいいのか。
 「解釈で対応するのは限界なので憲法(九条)を改正する」という回答が一般有識者の58%、衆参憲法調査会所属国会議員のみでも57%で、ともに過半数を占めた。前回調査よりも、一般有識者は10ポイント増えた。
 現行九条では国際貢献などに十分対応できないという認識がさらに広がってきたと見ていいだろう。
 護憲論の強い憲法学者では、「改正する」(28%)と、逆に「今までの解釈がおかしいので解釈を改める」(26%)という意見がきっ抗している。「改正」派が前回より10ポイント伸ばし、護憲派は12ポイント減らしているのが注目される。
 自衛隊の合憲・違憲問題は、九四年に当時の社会党が合憲論に転じたことで政治的には事実上決着がついている。
 今回、一般有識者では「合憲だ」が52%(国会議員62%)で過半数。「違憲だ」とする33%(同23%)をかなり上回った。特に五年前の前回は、「違憲」(49%)が、「合憲」(37%)より多かっただけに、様変わりだ。回答を寄せた憲法学者では「違憲」(59%)が相変わらず多いが、前回の70%よりは明らかに減った。
 一般有識者の自由回答では「もはや自衛隊を違憲と言い続けることには無理がある」などと、自衛隊の存在がすでに定着している現状を重視する声が目立っている。
 
◇憲法改正
◆憲法調査会所属国会議員を含む一般有識者「賛成」65%、「反対」20%
 国論を二分してきた憲法改正の賛否について、本紙の全国世論調査では一九九三年以降、改正賛成派が多数を占めている。
 今回のアンケートでも、衆参憲法調査会所属の国会議員を含む一般有識者では、改正賛成(65%)が反対(20%)を大きく上回った。これに対して、憲法学者は、改正反対(37%)が賛成(31%)や「一概にいえない」(31%)より多かった。九六年の前回アンケートでも憲法学者は改正反対派がかなり優勢で、国民一般の意識と差が相変わらず大きい。
 改正賛成の理由は、憲法学者以外の有識者では「国際社会との協力問題など今の憲法で対応し切れない問題が生じているから」がトップだった。
 選択肢とは別に改正賛成の理由を自由に答えてもらったところ、「不合理なところは改めるべきだ」「社会とのかい離が大きくなったら憲法改正を考えるのが世界の常識」「環境権やプライバシー権などの新しい権利を盛り込む」など、憲法制定当時に予想されなかった新しい事態に対応できなくなっていることを指摘する意見が複数あった。
 「九条や私学助成のような国の基本問題を解釈や運用でごまかし続けることは国民の感覚をゆがめる」との指摘もあった。
 
◆憲法学者 賛成31%、反対37%
 改正賛成ながら「現在の保守化、右傾化する日本を考えると、九条などについて危険な方向に行くことを危惧(きぐ)する」(一般有識者)との慎重論もあった。
 改正反対の理由では、憲法学者の約九割が「憲法の理念を政治に生かすことが先決だから」を選び、社会の現状に沿った改正を求める賛成派とは対照的な結果となった。一般有識者では「世界に誇る平和憲法だから」が多かった。
 改正に反対する理由の自由意見では、憲法学者から「改正は軍拡を招き、財政の圧迫、経済再建の足かせとなり、軍事的に対米従属を深める」といった意見が寄せられた。
 憲法調査会所属の国会議員からは「憲法改正問題は国民不在のまま政局論として流されてしまうのが現況だ。まずは国をあげての憲法理解が先決だ」として、時間をかけることを主張する意見もあった。
 
◇関心事項
◆「戦争放棄・自衛隊」「憲法改正」に集中
 憲法のどんな点に特に関心を持っているか、複数回答を求めたところ、一般の有識者では「戦争放棄・自衛隊」(92%)、「憲法改正」(63%)に高い関心が集まった。
 前回のそれぞれ86%、46%をさらに上回っており、一層大きな政治課題になったといえそうだ。
 とくに「戦争放棄・自衛隊」や「改正」問題に関心のある有識者のうち、六割超は憲法改正に「賛成」し、賛成理由では、七割超が「自衛権の明記」「国際協力への対応」が必要だからとした。
 一般有識者の多くが「自衛権の明記」やそのための憲法改正を前向きに考え、その立場から、「戦争放棄・自衛隊」「改正」への関心を高めていることは明らかだ。
 一方、憲法学者でもやはり、「戦争放棄・自衛隊」(70%)、次に「憲法改正」(54%)に最も関心が高い。
 特徴的なことは、前回順位では十位にも達しなかった「憲法改正」への関心が今回は20ポイントも跳ね上がったことだ。
 だが、憲法学者が「戦争放棄・自衛隊」や「憲法改正」に高い関心を持つ背景は、一般の有識者のそれとはかなり異なる。
 回答を寄せた憲法学者で憲法改正に「賛成」というのは31%にとどまる。「憲法への自衛権の明記」にも59%が消極的だ。
 自由回答の中にも「憲法の平和主義の理念を政治に生かすことが先決だ」といった反自衛隊の色あいが相変わらず濃く、この傾向に前回から大きな変化は見られない。
 結局、憲法学者が「改正」問題に関心を高めたのは、改正に前向きだからではなく、数年来徐々に高まってきた改正機運への警戒心などによるものだといえそうだ。
 自由回答で最も多かった関心事項は、一般有識者では、「首相公選」「公共の福祉」問題。憲法学者では、「永住外国人」問題だった。
 
◆憲法調査会「活発論議を」55%
 一般有識者では「憲法前文」への関心も目についた。「前文の改正案は公募し、広く衆知を集めるべきだ」「今の憲法前文には歴史文化の視点が欠如している」といった指摘があった。
 設置から一年半を超した衆参両院の憲法調査会の活動については、「もっと活発に議論を進めるべきだ」との回答が有識者全体の55%を占めた。「調査会の活動に反対だ」とする強い“護憲”派は全体の14%、憲法学者では32%だった。
 ただ、「活動内容がよくわからない」という声も国会議員以外の有識者に34%もあり、広報活動には一層の工夫が必要であることも明らかになった。
 
◇首相公選
◆消極派54% 「人気投票になる心配」「議院内閣制との関係」
 首相を国民が直接選挙で選ぶ首相公選の制度導入について、「望ましい」とする導入賛成派は全体の25%にとどまり、「望ましくない」とする消極派が過半数の54%を占めた。
 特に憲法学者の80%、衆参憲法調査会所属の国会議員の53%が「望ましくない」とした。
 導入賛成派からは「民意を政策に、より反映できる。特定政党の党利党略から独立できる」(作家)、「議院内閣制の改良は無理だ。既得権打破のためには国会議員と官僚を制度的に分断するしかなく、首相公選はその意味で有効」(憲法学者)などの意見が寄せられた。
 消極派の意見としては、「人気投票になる心配と、独裁的な政治になる危惧がある」(憲法学者)、「タレント・スポーツ選手→国会議員→公選首相といったコースが定着する」(大学名誉教授)などがあった。
 「議院内閣制を前提とする以上は、首相公選制を導入してもうまくいくとは思えない」(憲法学者)との指摘も目についた。
 世界で唯一、首相公選制を導入していたイスラエルは、国会で多党化に拍車がかかり、首相の地位が結果的に不安定になったため、三回実施しただけで今年三月に廃止された。
 今回調査でも「以前は望ましいと考えていたが、イスラエルの例を学び立ち止まって考えている」(衆院憲法調査会委員)などの声があった。
 政治不信の高まった森政権末期の今年三月、本紙全国世論調査では、首相公選制導入に賛成の人は63%だった。
 「新しい日本をつくる国民会議」(「21世紀臨調」)が昨年十一月に実施した国会議員アンケートでも54%が首相公選を「前向きに検討すべきだ」と答えた。
 しかし、森内閣に代わった小泉政権への世論支持率が高く、政権が安定を取り戻した今年七月の「21世紀臨調」の再調査では、61%の国会議員が「首相候補や政権の枠組みを明示して選挙を戦えば首相公選と同じ効果が得られる」と答え、消極派に転じた。
 首相公選消極派が多数を占めた今回の有識者アンケート結果から見ると、首相公選論には、現在の統治構造の基本に照らして問題点が多い、との認識が広がっているのは間違いない。
 
◇衆参両院憲法調査会会長に聞く
◆中間報告、通常国会中に/中山太郎衆院憲法調査会長
 「憲法調査会について『もっと活発に議論を進めるべきだ』との声を一般有識者の60%以上からいただいた。この数値を大変にうれしく思う。今年は、日本のあるべき姿を議論してきているが、これから、統治機構や人権なども論議し、来年には個別テーマに入る。これまでのところ、憲法調査会は、各党が合意した形で運営されており、非常にうまくいっている。来年の通常国会中には中間報告をまとめたい」
 
◆社会の空気が変わった/上杉光弘参院憲法調査会長
 「読売新聞が九四年の憲法改正試案を発表し、それが火付け役となって、憲法問題に関する社会の空気が変わった。今回のアンケート結果は、それが数字となって表れたということだろう。各党には、大別して論憲、護憲、改憲の三つのスタンスがある。辛抱強くオープンな形で議論を積み上げ(残り三年余の)期間内にまとめていきたい。衆院では地方公聴会を実施しているので、参院としては中央公聴会も検討したい」
 
[質問と回答](数字は%、かっこ内数字は96年調査)
◆あなたは、憲法のどんな点に関心を持っていますか。特に関心を持っている項目をいくつでもあげて下さい。憲法学者以外の有識者 憲法学者 
 
  憲法学者以外の有識者 憲法学者
・天皇や皇室の問題 29.9(27.2) 33.3(34.0)
・戦争放棄、自衛隊の問題 92.1(86.2) 70.0(71.6)
・平等と差別の問題 16.5(19.8) 51.1(44.7)
・言論、出版、映像などの表現の自由の問題 32.0(39.2) 46.7(46.8)
・情報公開の問題 29.0(25.4 48.9(60.3)
・プライバシー保護の問題 23.2(17.0) 43.3(41.1)
・生存権、社会福祉の問題 23.2(32.5) 40.0(34.8)
・環境問題 39.3(33.2) 43.3(42.6)
・集会やデモ、ストライキ権の問題 5.5( 4.2) 18.9(17.0)
・選挙制度の問題 35.4(28.3) 47.8(53.9)
・裁判の問題 24.4(10.2) 54.4(40.4)
・信教の自由、政教分離の問題 30.2(35.0) 42.2(45.4)
・憲法改正の問題 62.8(45.6) 54.4(34.0)
・三権分立の問題 15.5( 9.5) 24.4(21.3)
・地方自治の問題 33.2(23.3) 40.0(50.4)
・国会の二院制の問題 35.7(24.0) 17.8(19.1)
・その他 9.1( 2.1) 14.4(17.0)
・答えない 0.9( 1.4)  1.1( 0.7)
 
◆あなたは憲法の規定と、政治や社会の実態との間で矛盾を感じることがありますか。
 
・感じることがある 93.9(87.6) 97.8(92.2)
・感じたことはない 4.0( 7.1) 0(   0)
・わからない 1.2 0
・答えない 0.9( 5.3) 2.2( 7.8)
 
◇前問で「矛盾を感じる」と答えた方に伺います。あなたが憲法の規定で政治や社会の実態との間で矛盾を感じるのは、具体的にどのような分野ですか。あてはまるものをいくつでもあげて下さい。
 
・天皇や皇室の問題 15.9(16.4) 36.4(43.5)
・戦争放棄、自衛隊の問題 91.6(90.1) 89.8(89.9)
・平等と差別の問題 14.0(16.0) 43.2(38.4)
・言論、出版、表現などの表現の自由の問題 20.5(22.1) 36.4(32.6)
・情報公開の問題 17.5(19.5) 20.5(36.2)
・プライバシーの問題 15.3(10.7) 23.9(18.8)
・生存権、社会福祉の問題 15.6(24.8) 46.6(31.9)
・環境問題 39.3(33.2) 25.0(24.6)
・集会やデモ、ストライキ権の問題 5.2( 4.2) 20.5(22.5)
・選挙制度の問題 29.5(22.1) 44.3(44.9)
・裁判の問題 19.5( 8.0) 43.2(30.4)
・信教の自由、政教分離の問題 22.1(30.9) 45.5(46.4)
・憲法改正の問題 45.1(28.2) 31.8(12.3)
・三権分立の問題 14.3( 7.6) 27.3(19.6)
・地方自治の問題 25.3(19.5) 33.0(50.0)
・国会の二院制の問題 28.2(20.2) 17.0(20.3)
・その他 4.9( 3.1) 5.7(10.1)
・答えない 0.3(   0) 0( 0.7)
 
◆衆議院と参議院にそれぞれ憲法調査会が設置されて1年半が過ぎました。あなたは憲法調査会の活動についてどう思いますか。あてはまるものをいくつでもあげて下さい。
 
1、もっと活発に議論を進めるべきだ 60.4 35.6
2、現在の活動でよい 60.4 7.8
3、調査会の活動に反対だ 8.8 32.2
4、活動内容がよくわからない 33.8 34.4
5、関心がない 1.2 2.2
・答えない 1.5 1.1
 
◇前問で「1」か「2」と答えた人に伺います。あなたが憲法調査会活動を必要だと思う理由は何ですか。いくつでもあげて下さい。
 
・国内外の情勢の変化に応じた憲法の見直しが必要だから 78.1 56.4
・憲法解釈の混乱や不統一をなくすことにつながるから 41.2 25.6
・憲法論議をタブー視するべきではないから 63.5 56.4
・憲法の内容を国民が理解するよい機会だから 39.1 51.3
・その他 3.4 12.8
・答えない 0.9 0
 
◇「3」と答えた人に伺います。あなたが憲法調査会の活動に反対の理由は何ですか。次の中から一つだけあげて下さい。
 
・国の基本法である憲法の改正を論議すること自体がおかしいから 6.9 0
・改憲への政治的思惑が強いような気がするから 72.4 86.2
・ムードに流されて中身のある論議にならないから 3.4 10.3
・憲法は十分に機能しており、論議する必要はないから 3.4 0
・その他 6.9 0
・答えない 6.9 3.4
 
◆憲法改正について、あなたは賛成ですか、改正しない方がよいと思いますか。
 
・改正しない方がよい 20.4(41.7) 36.7(63.8)
・改正に賛成 65.2(57.2) 31.1(32.6)
・一概にいえない 14.0 31.1
・答えない 0.3( 1.1) 1.1( 3.5)
 
◇前問で「改正しない方がよい」と答えた方に伺います。あなたが改正しない方がよいと思う理由は何ですか。次の中からいくつでもあげて下さい。
 
・世界に誇る平和憲法だから 79.1(64.4) 69.7(54.4)
・基本的人権、民主主義が保障されているから 35.8(37.3) 66.7(62.2)
・すでに国民の中に定着しているから 31.3(32.2) 24.2(44.4)
・憲法の理念を政治に生かすことが先決だから 49.3 87.9
・時代の変化に応じて解釈、運用に幅をもたせればよいから 16.4(33.1) 18.2(23.3)
・アジア諸国との信頼関係が十分でないから 17.9 27.3
・軍事大国への道を開くおそれがあるから 44.8(40.7) 69.7(47.8)
・その他 4.5(13.6) 6.1(18.9)
・答えない 0(   0) 0( 1.1)
 
◇「改正に賛成」と答えた方に伺います。あなたが改正する方がよいと思う理由は何ですか。次の中からいくつでもあげて下さい。
 
・アメリカに押しつけられた憲法だから 30.4 25.0
・国の自衛権を明記し、自衛隊の存在を明文化するため 70.1 57.1
・国際問題に直面した時、憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱するから 70.1 50.0
・国際社会との協力問題など、今の憲法で対応し切れない問題が生じているから 76.6 53.6
・権利の主張が多過ぎ、義務がおろそかにされているから 37.9 32.1
・環境権やプライバシー権などの新しい権利を盛り込むため 33.2 35.7
・内閣や国会、司法など、時代に合わせて国の仕組みを改革する必要があるから 49.5 28.6
・その他 7.9 10.7
 
◆憲法に対するいくつかの意見を紹介します。それぞれの意見について、その通りだと思いますか、思いませんか。
 A、「人格権やプライバシー権、環境権など、新たな権利に関する条文を盛り込んだほうがよい」という意見については、その通りだと思いますか、そうは思いませんか。
 
  憲法学者以外の有識者 憲法学者
・その通りだと思う 51.8(44.5) 38.9(46.8)
・そうは思わない 34.8(39.6) 38.9(29.8)
・その他 6.4(12.4) 16.7(22.0)
・答えない 7.0( 3.5) 5.6( 1.4)
 
 B、「長期間にわたる憲法論争などを避けるために、憲法裁判所を新たに設けたほうがよい」という意見についてはどうですか。
 
・その通りだと思う 38.4(27.2 31.1(24.1)
・そうは思わない 47.3(58.7) 50.0(57.4)
・その他 6.4( 9.2) 15.6(16.3)
・答えない 7.9( 4.9) 3.3( 2.1)
 
 C、「衆議院と参議院のそれぞれの役割を見直した方がよい」という意見についてはどうですか。
 
・その通りだと思う 70.1(72.1) 54.4(56.7)
・そうは思わない 21.0(20.5) 37.8(31.2)
・その他 4.0( 4.6) 6.7( 9.9
・答えない 4.9( 2.8) 1.1( 2.1)
 
 D、「国際機関の平和活動や人道的支援には、自衛隊を派遣することをはっきり書いたほうがよい」という意見についてはどうですか。
 
・その通りだと思う 58.2(55.5) 27.8(22.7)
・そうは思わない 28.7(34.6) 65.6(65.2)
・その他 9.5( 6.4) 4.4(10.6)
・答えない 3.7( 3.5) 2.2( 1.4)
 
 E、「大災害やテロなどの緊急事態の際、首相、内閣の機能を強化し一元的に対応できるような規定を設けた方がよい」という意見についてはどうですか。
 
・その通りだと思う 72.6 38.9
・そうは思わない 19.5 50.0
・その他 5.2 8.9
・答えない 2.7 2.2
 
 F、「国として自衛権を持っていることをはっきり書いたほうがよい」という意見については、どうですか。
 
・その通りだと思う 72.0(66.4) 26.7(22.7)
・そうは思わない 18.9(24.4) 58.9(59.6)
・その他 6.4( 5.3) 8.9(12.1
・答えない 2.7( 3.9) 5.6( 5.7)
 
◆政府は憲法第9条について、これまでその解釈、運用で内外情勢の変化に対応してきました。今後はどうすればいいと思いますか。一つ選んで下さい。
 
・今後も情勢変化に応じて解釈と運用で対応する 12.8(20.1) 8.9(10.6)
・今の解釈が最も妥当なのでこれ以上の拡大解釈をしない 12.2(14.8) 6.7(10.6)
・解釈で対応するのは限界なので憲法を改正する 58.2(47.7) 27.8(17.7)
・今までの解釈がおかしいので解釈を改める 6.7( 8.5) 25.6(37.6)
・その他 7.3( 7.8) 28.9(22.0)
・答えない 2.7( 1.1) 2.2( 1.4)
 
◆自衛隊に関して伺います。憲法の規定からみて、現在の自衛隊は合憲だと思いますか、違憲だと思いますか。
 
・合憲だと思う 51.8(36.7) 27.8(21.3)
・違憲だと思う 32.6(48.8) 58.9(59.6)
・その他 11.3(11.0) 12.2( 5.0)
・答えない 4.3( 3.5) 1.1( 3.5)
 
◆第9条に関連して、集団的自衛権について伺います。政府は自衛権のうち集団的自衛権について、保持しているが憲法上行使は許されないとの解釈をとっています。あなたはどう思いますか。
 
・集団的自衛権行使は現行憲法上、許されない 28.7 62.2
・集団的自衛権行使は憲法で明示しなくても当然認められるから、政府解釈を変更すべきだ 18.6 10.0
・集団的自衛権については、今の憲法ではあいまいだから改正して明確に位置付けるべきだ 41.5 27.8(17.7)
・その他 4.3 8.9
・答えない 7.0 3.3
 
◆国外での大規模テロに対し国際的な制裁行動を取る際、あなたは、日本がどのように対応すべきだと思いますか。あなたの考えに近いものをいくつでもあげて下さい。
 
・報復合戦に巻き込まれかねないから、支援は必要最小限にとどめるべきだ 12.2 20.0
・外交努力と財政支援までで対処すべきだ 18.0 40.0
・政府憲法解釈と現行法の枠内で、武力行使と一体化しない範囲の後方支援を行う 24.7 14.4
・政府の憲法解釈を尊重するが、現行法の枠にはとどまらず、武力行使と一体化しない範囲の後方支援を行う 19.5 7.8
・武力行使を主任務とはしないものの、これまでの政府の憲法解釈にはとらわれないで積極的な後方支援を行うべきだ 26.8 11.1
・国連決議があることを条件に、これまでの政府の憲法解釈にはとらわれないで積極的な後方支援を行うべきだ 23.2 10.0
・国連決議があることを条件に、軍事支援も含め可能な限りの協力を行うべきだ 18.6 11.1
・その他 12.8 27.8
・答えない 0.9 1.1
 
◆社会全体の利益など「公共の福祉」と「個人の権利」の関係について、あなたの気持ちに最も近いものを一つだけ選んで下さい。
 
・「個人の権利」を重視し過ぎていて、「公共の福祉」がおろそかにされている 58.2(34.6) 22.2(14.9)
・「公共の福祉」を重視し過ぎていて、「個人の権利」が制限されている 9.1(21.6) 32.2(31.2)
・「公共の福祉」と「個人の権利」の関係は調和がとれている 13.1 15.6
・「いちがいにいえない」(96年のみの選択肢) (41.0) (42.6)
・その他 13.7( 2.5) 27.8(10.6)
・答えない 5.8( 0.4) 2.2( 0.7)
 
◆国民が選挙で首相を直接選ぶ「首相公選」の是非が議論されています。この制度導入には憲法改正が必要ですが、あなたは導入を望ましいと思いますか、思いませんか。
 
・望ましい 29.9 7.8
・望ましくない 47.3 80.0
・どちらとも言えない 19.8 10.0
・答えない 3.0 2.2
 
【調査方法】
 調査対象は、一般有識者715人(うち憲法調査会所属の国会議員95人)、憲法学者285人の計1000人。一般有識者と憲法学者は、読売年鑑分野別人名録、日本公法学会員名簿など市販の人名録、会員録から無作為抽出した。アンケート用紙を郵送し返送を求めた。調査期間は9月末から10月中旬。有効回収は418人、回収率は41.8%。内訳は、一般有識者328人(うち憲法調査会所属の国会議員61人)、憲法学者90人だった。
 
 この企画は、玉井忠幸(政治部)笹森春樹(解説部)菱沼孝行(編成部)石崎浩(社会保障部)寉田知久(世論調査部)鬼頭誠(調査研究本部)が担当しました。
 
 


 
 
 
 
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