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2001/11/03 読売新聞朝刊
[社説]憲法公布55年 一段と強まる改正への流れ
 
 憲法改正への流れが、一段と加速し、大きくなっている。
 読売新聞社は、衆参両院の憲法調査会所属の国会議員も含めた一般有識者や憲法学者を対象にアンケート調査を行った。一九九六年の初の調査と比べ、憲法に対する姿勢の変化は歴然としている。
 一般有識者の場合、憲法で、とくに関心を持つ点として、改正問題をあげた人は、前回の46%から63%に増えている。憲法改正に「賛成」が、57%から65%に増えた一方で、「反対」は、42%から20%に半減した。
 読売新聞社が三月に行った世論調査では「改正賛成」が四年連続で過半数を超え、「改正反対」は三割を割った。
 憲法問題は、既に改正の是非の段階を過ぎ、改正あるいは「新憲法」へ、具体的に動き出すべき局面に入っている。
 社会、経済の急速な変化を背景に、憲法の規定と政治や社会の実態との間の矛盾は、ますます広がっている。
 有識者が例示する問題は、環境、プライバシー、情報公開など多様な分野にわたる。中でも、第九条に関する「戦争放棄・自衛隊」の問題には、九割が現実との矛盾を指摘している。
 憲法改正に賛成する人のうち七割が、その理由として挙げているのは、「国の自衛権を明記し、自衛隊の存在を明文化する」「国際問題に直面した時、憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱する」「国際社会との協力問題など今の憲法で対応しきれない問題が生じている」の三点だ。いずれも九条に関連する。
 九条の改正を求める人は、一般有識者の場合、前回調査の48%から10ポイント以上も増えた。護憲論が多い憲法学者の間でさえ、前回の18%から同様に10ポイント増えている。その多くが、とくに解釈での対応には限界があると考えている。
 今回の調査は、米同時テロ発生後に行われた。反テロ制裁行動への自衛隊の後方支援にも過半数が賛成している。
 テロ後の国内外の情勢の激変を反映して、九条に関する憲法と現実との乖離(かいり)を埋めるには、もはや改正しかない、との認識が大勢となっている。
 憲法の規定上、憲法改正を発議するのは国会だ。政党や議員の責任は重い。
 今回の調査では、衆参の憲法調査会に対し、一般有識者の六割が、もっと活発に議論を進めるよう求めている。主に、「内外の変化に応じた憲法の見直しが必要」という考えからだ。
 こうした意識の変化に、政治が後れを取るようでは情けない。二十一世紀の国家理念を示し、新たな憲法へ先導役を果たすのが、政治の責任である。


 
 
 
 
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