1998/04/08 読売新聞朝刊
改憲賛成、最高の52% 「現実と矛盾」75%/読売新聞社全国世論調査
◆「論議望ましい」7割超す
読売新聞社の憲法に関する全国世論調査で、憲法を「改正する方がよい」と思っている人が、過去最高の52%に達した。この調査は三月二十一、二十二の両日、実施したもので、憲法の規定と現実社会との間に矛盾を感じる人も昨年同時期の前回調査より、7ポイント増の75%に上った。さらに、憲法論議が「望ましい」は四年連続で七割を超え、国会に憲法論議を行うための委員会を設置した方がよいと考える人も六割強に上った。これは、半世紀以上も前の憲法制定時には想定もできなかった新たな権利を求める国民意識の多様化や、大きく変化した国際情勢に現行憲法が対応できなくなっているとの意識が国民各層に定着してきた表れと見られる。(関連記事2面、調査の内容14・15面)
憲法論議が望ましいと考える人は、前回調査より3ポイント減ったものの72%と四人に三人が期待。国会に憲法の調査、議論を行う委員会を設置するかどうかについても、「作った方がよい」が63%に上るなど、憲法論議の活発化を求める声は国民の大勢として定着したようだ。
また、憲法を「改正する方がよい」は、前回調査より7ポイント増の52%となり、九三年と九五年調査の各50%を上回り、本社が憲法に関する世論調査を本格的に開始した八一年以降、最高となった。「改正しない方がよい」は逆に前回より6ポイント減の31%だった。
改正を求める理由では、「国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じている」が50%で最も多く、次いで「権利の主張が多過ぎ、義務がおろそかにされている」32%、「憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱する」30%――などだった。これに対し、改正反対の理由は、「すでに国民の中に定着している」51%、「世界に誇る平和憲法だから」35%、「基本的人権、民主主義が保障されている」31%――の順だった。
こうした国民意識の変化を裏付けるように、憲法のどんな点に関心を持っているかについては、「戦争放棄、自衛隊の問題」が32%(前回調査31%)で最も多かったものの、「環境問題」29%(同25%)、「プライバシー保護の問題」21%(同15%)、「言論、出版、映像などの表現の自由の問題」19%(同12%)など急速に多様化し始めている。
人格権やプライバシー権、環境権など新たな権利についての考え方を盛り込むかどうかについても、盛り込んだ方がよいと考える人は71%に上っている。
さらに、憲法をどのような形で改正するのがよいと思うかを改正派に聞いたところ、「不足部分の補足と不都合な部分の修正を両方とも行う」が41%で最も多かった。
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