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1995/04/06 読売新聞朝刊
改憲論議国民に浸透 新時代へ現実を重視/読売新聞社全国世論調査=特集
 
◆「平和」39% 「象徴天皇」38%
 憲法に述べられている事柄で、十分に実現されていると思うものでは、「戦争を放棄し平和を守っている」39%、「天皇が国の象徴として国民の身近な存在になっている」38%、「基本的人権が守られている」28%など。昨年の調査結果とほとんど変化がない。
 「戦争を放棄・・・」は、三十歳代以上ではいずれも40%前後だったが、二十歳代だけは28%と少なく、高度成長期以降に生まれ安全で豊かな社会に育ったこの世代には、「戦争と平和」への実感が薄いことがうかがえる。
 「天皇が身近」も二十歳代では26%だが年齢が高い層に多く、七十歳以上では45%。「基本的人権の尊重」は、四十歳代(32%)に目立った。全体的に二十歳代の数値が低く、ほぼ四人に一人(24%)が「とくにない」と答えていた。
 男性では「基本的人権」33%(女性24%)、「三権分立が定着」16%(同7%)が多く、女性では「天皇が身近」40%(男性36%)が目立った。
 
◆読売試案 「知っている」22%
 読売新聞社では、昨年十一月に、現行憲法九条の不戦の精神を受け継いだ上で、自衛権を保持していることを明確にすることや、日本が国際責務を果たすことを明記すべきことなどを盛り込んだ憲法改正試案を発表した。
 この試案について、「読んだり、聞いたりしたことがあるか」を尋ねたところ、「ある」は22%、「ない」が76%だった。
 読んだり、聞いたりしたことが「ある」と答えた人を男女別に見ると、男性29%が女性の17%を上回り、また、年代別では四十歳代(25%)、五十歳代(24%)で、職業別では管理・専門職(37%)で目立った。憲法への関心度を聞いた質問に対し、「よく読んだ」と答えた層では「ある」という人が五割を超えていた。
 [関心あるテーマ]
 
◆「九条」46% 「環境」28%
 憲法のどんな点に関心を持っているかについて複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「戦争放棄、自衛隊の問題」46%で、次いで「環境問題」28%、「生存権、社会福祉の問題」24%、「平等と差別の問題」22%などだった。
 「戦争放棄、自衛隊」の選択肢には、これまでは「徴兵制」という言葉が入っていた。湾岸戦争直後の九一年三月には51%の高率だったものの、その後年々下がり、昨年は33%にまで低下した。今回は二十歳代48%(昨年比16ポイント増)、三十歳代53%(同20ポイント増)など若者層と男性52%(同15ポイント増)で大幅に増えており、「戦争放棄・・・」への関心がストレートに表れたものと見られる。
 「環境」は、一九八一年の同種調査では17%だったが、10ポイント以上アップした九一年以降、「戦争放棄、自衛隊・・・」に次いで二番目に高い数値を保っている。特に三十歳代35%(八一年20%)、四十歳代33%(同16%)で関心が高くなって来ているようだ。
 女性では「環境」30%(男性25%)、「生存権、社会福祉」28%(同20%)が、男性では「表現の自由」25%(女性16%)が多かった。
 「平等と差別」は三十歳代(28%、昨年比12ポイント増)で、「表現の自由」は二十歳代(25%、同11ポイント増)で関心が高くなっている。また、「選挙制度」14%は一昨年(28%)、昨年(21%)に比べて減少傾向にあるが、これはここ数年の焦点だった新選挙制度をめぐる論争が、昨年の公職選挙法改正で決着したためと見られる。
 [改憲論議の6ポイント]
 
◆震災対応の遅れ反映 「国際貢献を明確に」65%
◇危機管理
 大災害などの緊急時に首相が素早く対応できるような規定を憲法に設けるべきだ――との意見については、「その通り」が90%に達し、「そうは思わない」6%に大差をつけた。阪神大震災の被害の大きさや、震災発生直後の政府の対応の遅れ、法律や行政体系にも救援上の障害があった――などとの印象の強さが反映されたといえそうだ。
 「その通り」と答えた人は、年代、職業、地域などを問わず、あらゆる層で圧倒的に多く、国民が危機管理の重要性を身近な問題として意識し、それに対する対応策の一環として、緊急時には首相の指揮権などを強化すべきだと考えていることが明確になったといえる。
 肯定派が多かったのは、職業別では商工・サービス業(94%)、事務・技術職92%、主婦91%などだった。
◇憲法裁判所
 長期間にわたる憲法論争を回避するため、憲法問題だけを扱う憲法裁判所を新設することについては、「その通りだと思う」という肯定派は36%にとどまり、「そうは思わない」38%が上回った。他の五項目の改正論議のポイントでは、肯定派がそろって半数を超え、「答えない・知らない」が多くても10%台だったのに比べ、この項目については「答えない・知らない」が26%と高く、憲法裁判そのものに国民のなじみが薄く、関心度が低いことを表しているといえそうだ。
 憲法裁判所の新設に否定的な見解を示したのは、職業別の管理・専門職(47%)、学歴別の大卒(41%)、サラリーマン(42%)などに多く、逆に肯定派は年代別の二十歳代(44%)、職業別の主婦(41%)で目立っている。
 憲法改正派でも「その通り」との肯定派は44%で、憲法への関心の度合いとの関係では、憲法を「よく読んだ」人で肯定派(34%)が最も低い。
◇国際協力
 「国際機関の平和活動や人道的支援に自衛力の一部を提供するなど、積極的に協力することをはっきり書いたほうがよい」という考えについても、「その通り」とする肯定派が65%で、「そうは思わない」24%を大きく引き離した。
 日本が国際社会で果たすべき役割が、今後、一層大きくなることが予測される中で、より積極的に平和活動や人道的支援に協力する姿勢を打ち出すべきだとの意識が国民の間に浸透してきたことの表れといえる。
 肯定派は、二十歳代(71%)など若年層ほど多くなる傾向が見られたほか、都市規模別では、大都市で71%に達するなど、規模が大きいほど多かった。憲法を「改正する方がよい」と考えている人では、77%が肯定派、憲法論議が活発に行われることを「望ましい」と感じる人では71%が肯定派だった。
◇人格権など
 「人格権やプライバシー権、環境権など新たな権利についての考えを盛り込む」ことについては、「その通り」が72%に達し、個々人の権利やプライバシー、さらには現行憲法の生存権の一環などとされる環境権を憲法に明記し、より尊重することが望ましいと思う人が国民の大勢を占めていることが明らかになった。「そうは思わない」は17%。
 若い層ほど個人の権利やプライバシーなどを重視する傾向が見られ、二十歳代では「その通り」が80%を占め、七十歳以上の58%を22ポイントも上回った。肯定派が最も少なかったのは、職業別の主婦以外の家庭婦人(54%)だが、それでも五割を超えている。また、憲法を「改正しない方がよい」と答えた人でも、七割近くは人格権などの新たな権利を明記することに肯定的な考えを持っていた。
◇二院制改革
 「衆院、参院のそれぞれの役割を見直した方がよい」という主張に対しては、賛成が59%、「そうは思わない」という反対論、慎重論が25%だった。
 衆参両院の役割分担については、「参院は衆院のカーボンコピー」との批判が高まって以来、見直しが叫ばれており、一向に是正が進まない現状への不満が表れたものといえよう。
 見直し論について、「その通り」と答えた人を年代別に見ると、二十―四十歳代が六割台と高かったのに対し、七十歳以上では48%と半数以下にとどまった。職業別では事務・技術職(68%)、管理・専門職(65%)で目立ち、また、世帯年収別でも二百万円以下を除く幅広い層で、「その通り」が六割を超えた。
 
◇自衛権
◆「自衛権明記望む」69%
 「自衛権の明記」など、憲法の改正論議の中でしばしば指摘される主なポイント六項目それぞれについて、どのように思うかを一般論として聞いた。この結果、約七割の人が「自衛権を明記した方がよい」と考えているなど、六項目のうち五項目について、現行憲法の不備を補った方が望ましいと考えている人が多数を占めた。
 これまで憲法改正派、擁護派が激しく対立してきた自衛権についての意識では、「自衛権を持っていることをはっきり書いたほうがよい」との主張に、「その通りだと思う」と答えた人が69%にのぼった。「そうは思わない」は19%。
 安全保障の基本となる自衛隊の存在について、かつて憲法第九条の解釈が二分され、合憲か、違憲かをめぐり、不毛な論争が繰り広げられた。九条の解釈はすでに政治的には決着しているが、表現が分かりにくいことに依然変わりはなく、改めるべきだと考えている人が多いものと見られる。
 「その通り」は、大卒で78%に達するなど高学歴層ほど多く、男女別では男性(74%)が、女性(65%)より高かった。年代別では、二十歳代(75%)、四十歳代(72%)で、職業別では、事務・技術職(77%)で目立った。また、社会党が自衛隊政策を転換したことを反映してか、社会支持層でも「その通り」が61%と半数以上を占めている。
 憲法を「よく読んだ」という人では、84%が自衛権を明記すべきだと回答。また、憲法が戦後果たしてきた役割を評価する人でも、七割以上が「その通り」と答えている。
 [役割評価と効用]
 
◆現憲法を評価75% 理想との距離に疑問も
 日本国憲法が公布されたのは、終戦翌年の一九四六年十一月。それから半世紀近くを経た今日、この憲法が戦後の日本で果たしてきた役割を評価するかどうかでは、評価している人が「大いに」「多少は」を合わせて75%(昨年80%)、評価しない人は「あまり」「まったく」を合わせて18%(同13%)だった。
 評価派は昨年に比べて6ポイント減少したが、それでも国民の四人に三人の割合になっている。
 昨年に比べると、「大いに評価する」が22%から17%に減ったのが目立つ一方、「あまり評価していない」(16%)は5ポイントの増加。「大いに評価」は特に五十、六十歳代でいずれも昨年比10ポイント以上の大幅減だった。
 このうち六十歳代では「多少は評価」が7ポイント増えていることから、積極評価が消極評価に転じたと見られるが、五十歳代では「あまり評価しない」が9ポイント増加しており、評価派から非評価派への転向が多かったことがうかがえる。同様の傾向は「多少は評価」が7ポイント減って「あまり評価しない」が8ポイント増えた四十歳代にも見られた。
 五十歳代は戦前から戦中にかけて生まれ、驚異的な経済成長の中を生きて来た。それだけに、この世代には日本経済を支えてきたという自負の一方で、これまで様々な憲法論議が棚上げされて来たことに対する反省など複雑な思いがあるのかもしれない。
 また、戦後生まれの四十歳代でも、国連平和維持活動(PKO)に自衛隊員を派遣することをめぐって、つい最近まで国論を二分する大激論が起きた日本の現状と、国際社会の“常識”とのかい離を冷静に受け止め、疑問を感じている人が少なくないことも考えられる。
 このほか、評価派は三十歳代に79%と最も多く、六十歳代も78%。職業別では「大いに」が33%にのぼった管理・専門職で九割を超え、事務・技術職、商工サービス業も79%と比較的多かった。
 基本的人権などの権利や自由が、憲法によって保障されていると感じたことがあるかどうか――。「大いにある」12%、「多少はある」47%を合わせ、何らかの面で憲法の恩恵を受けたと感じている人が59%にのぼった。一方、「あまりない」30%、「全くない」は6%で、憲法の恩恵を意識したことがない人は合計で36%だった。
 年代別に見ると、五十歳代以上の高齢者では、「ある」という“恩恵派”が六割を超えたのに対し、二十歳代では49%と半数に達しないなど、若い世代では憲法の“効用”を実感している人が少ない。憲法改正派が若い世代に多いことと合わせ、高齢者、若年層別の憲法への思い入れの温度差を浮き彫りにした格好だ。
 職業別では、管理・専門職で“恩恵派”(69%)が“非恩恵派”(29%)を大きく上回ったのが目立ったほか、護憲勢力が多いと見られる社会党支持層でも“恩恵派”が三人に二人を占めた。
 
◆憲法「読んだことない」42%
 今の憲法を読んだことがあるかどうかでは、「よく読んだ」3%、「一通り読んだ」13%で、「一部読んだことがある」「読んだことはない」がいずれも42%。「読んだことはない」という人は前回調査(九一年)より4ポイント増加、過去三回の調査で最多になった。こうした無関心派は、二十歳代32%、30歳代37%と年齢が高くなるにつれて増える傾向にあり、七十歳以上では54%だった。二十歳代では、「一部読んだ」が54%と半数を超え、「よく読んだ」2%、「一通り読んだ」11%を加えると、程度の差はあっても七割近くが目を通していることがわかる。
 これに対し六十歳代では、「よく読んだ」5%、「一通り読んだ」17%は各年代を通じて最も多かったが、「一部読んだ」32%を加えた総関心度は54%止まりで、「読んだことはない」も46%と多かった。
 また、男性では「よく読んだ」5%(女性1%)、「一通り読んだ」18%(同9%)と関心が高かったのに比べ、女性は無関心派が49%にのぼった。
 
[改正の是非]
◆改憲求める理由 「新たな問題」57%
 改正する方がよいと思う人に、その理由を複数回答で聞いたところ、「国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じているから」57%が一番多く、続いて「憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱するから」29%、「アメリカに押しつけられた憲法だから」22%、「権利の主張が多すぎ、義務がおろそかにされているから」22%、「国の自衛権を明記し、自衛隊の存在を明文化するため」21%――の順だった。この順位は一昨年、昨年と全く同じだった。
 選択肢が一部変わっているために単純に比較はできないが、「アメリカに押しつけられた」は減少傾向にあり、九一年の45%からほぼ半減した。
 年代別に見ると、憲法制定時にすでに成人だった七十歳以上で32%と比較的多いが、戦後生まれの層では、三十歳代17%など二割前後にとどまっている。
 一方、「国際貢献などの新たな問題」は、二十歳代で60%、三十歳代70%と若い層に多い。
 支持政党別では、自民、新進、社会の各支持層や支持政党なし層のいずれも、「国際貢献など新たな問題」が五割台後半で一番多く、支持政党にかかわらず、国際貢献の問題が、改正を志向する理由になっている。
 
◆改憲望まぬ理由 「定着した」50%
 憲法を改正しない方がよいと思う人にその理由をあげてもらったところ(複数回答可)、「すでに国民の中に定着しているから」50%、「世界に誇る平和憲法だから」39%が、昨年と同様一、二位を占めた。
 続いて「改正すると軍事大国への道を開くおそれがあるから」30%、「基本的人権、民主主義が保障されているから」26%、「時代の変化に応じて、解釈、運用に幅を持たせればよいから」22%――の順だった。「軍事大国への道を開くおそれ」は昨年より4ポイント増え、四位から三位にあがった。
 八六、九一年の調査は、今回の調査と選択肢の一部が若干異なるため単純に比較できないが、当時は、「すでに定着している」が五割台で一位。湾岸戦争への対応や国連平和維持活動(PKO)をめぐって憲法論議が盛んになった九三年には39%に低下し、「世界に誇る平和憲法」42%の方が多かった。憲法論議がやや沈静化した昨年は「すでに定着している」54%が「世界に誇る平和憲法」39%を逆転し、今年もその傾向が続いている。
 
[改正を巡る姿勢]
◆正面から議論を 72% 「柔軟に」社党支持者も51%
 憲法論議が活発に行われることをどう思うかでは、「望ましい」72%、「望ましくない」13%。この調査は、九三年以来、今回が三回目だが“歓迎派”が七割を超えたのはこれが初めて。
 国際社会の中で今後、日本の果たすべき役割がさらに多方面にわたることが予想され、現行憲法では十分対応できるかどうかとの懸念も出ていることなどから、正面からの憲法問題を論議すべきだという意識が広がり始めたことがうかがえる。
 「望ましい」は年代別では、三十歳代(79%)、四十歳代(78%)、二十歳代(76%)に多く、七十歳代(57%)、五十、六十歳代(各69%)が比較的少なかった。昨年同様、戦後世代には議論の活発化を歓迎する人が多い一方、戦前、戦中派には慎重な姿勢が見える。性別では男性(78%)が女性(68%)を10ポイント上回った。
 さらに、大学卒84%、高校卒73%、小・中学校卒58%と高学歴層ほど「望ましい」と考える傾向もうかがえる。職業別では管理・専門職が87%と目立ち、逆に少ないのは農林水産業58%、主婦以外の家庭婦人53%。
 一方、支持政党別で見ると、自民支持層が68%と昨年より10ポイント増えたが、社会も昨年の61%から70%に上昇し、昨年同様、自民支持層を上回った。
 憲法改正に対する意識を探ったところ、「改正する方がよい」と答えた回答者が、昨年より6ポイント増の50%余で九三年調査と同率となり、過半数に達した。改正派が五割を超えたのは、八一年の同調査開始以来、今回が二回目。「改正しない方がよい」は昨年より9ポイント減って、これまでで最低の31%にとどまった。「答えない」は19%。改正派はこれで、三年連続で非改正派を上回った。
 年代別に見ると、すべての年代で改正派が非改正派を上回っているが、六十歳代では、改正派42%、非改正派38%と差が比較的小さいのに対し、二十歳代では、改正派59%が非改正派28%を31ポイントも引き離すなど、若いほど改正に積極的な傾向がはっきり見られる。改正派が非改正派を逆転する以前の九一年(改正派33%、非改正派51%)と比べると、改正派は、すべての年代で伸びており、特に二十歳代で25ポイント増など、五十歳未満の戦後生まれの層で、顕著な伸びを示している。
 男女別では、男性で改正派が55%、女性では47%と、男性の方がやや多い。非改正派は、男性32%、女性30%とほぼ同じ。職業別では、「無職」を除くすべての職業で改正派が非改正派を上回っており、改正論議が国民各層に浸透していることをうかがわせる。
 支持政党別に見ると、自民、新進支持層で、改正派が非改正派を上回り、社会、さきがけ、共産各支持層では、非改正派の方が多かった。自民支持層の改正派は、昨年より8ポイント増えて50%、新進党支持層では55%に達している。社会党支持層では、改正派40%、非改正派47%と、昨年とほぼ同じ傾向。この一年で急増している支持政党なし層では、改正派52%、非改正派27%と、全体平均よりやや改正に積極的だった。
 憲法改正について、「憲法は国の基本法であり、簡単に変えるべきではない」という意見と、「憲法も時代の変化に応じて、柔軟に変えるべきだ」という意見を挙げて、このうちのどちらにより近い考えを持っているかを聞いた。この結果、「柔軟に変えるべきだ」64%が、「簡単に変えるべきではない」30%を34ポイント上回った。現状で憲法改正を望むかどうかは別として、原則としては、憲法は不磨の大典とするのではなく、時代に応じて変えるべきだとの考えが、国民の間で過半数を占めていることが分かった。
 支持政党別に見ると、「柔軟に変えるべきだ」は、自民支持層で63%、新進支持層で70%を占め、根強い護憲勢力を抱える社会支持層でさえ51%と過半数。
 改正派、非改正派との関係を見ると、「柔軟に変えるべきだ」とした人では、改正派69%、非改正派16%。「簡単に変えるべきではない」とした人では、改正派21%、非改正派68%だった。
 
 《質問と回答》(数字は%)
 
◆第二次世界大戦が終わってから、間もなく50年になります。あなたは、全体として、いまの日本の憲法が戦後の日本で果たしてきた役割を、評価していますか、評価していませんか。
 
・大いに評価している 17.2
・多少は評価している 57.3
・あまり評価していない 16.0
・全く評価していない 1.8
・答えない 7.8
 
◆あなたは、いまの日本の憲法のどんな点に関心をもっていますか。次の問題は、すべて憲法に関係するものですが、あなたがとくに関心をもっているものを、いくつでもあげてください。
 
・天皇や皇室の問題 15.2
・戦争放棄、自衛隊、徴兵制の問題 45.7
・平等と差別の問題 21.5
・言論、出版、映像などの表現の自由の問題 19.6
・情報公開の問題 10.0
・プライバシー保護の問題 16.6
・生存権、社会福祉の問題 24.4
・環境問題 28.0
・集会やデモ、ストライキ権の問題 3.7
・選挙制度の問題 14.4
・裁判の問題 8.6
・靖国神社への公式参拝の問題 9.3
・憲法改正の問題 10.9
・三権分立の問題 6.0
・地方自治の問題 9.5
・国会の二院制の問題 5.5
・とくにない 18.8
・その他、答えない 1.3
 
◆いまの憲法に述べられている事柄の中で、あなたが十分に実現されていると思うものがあれば、次の中から、いくつでもあげて下さい。
 
・基本的人権が守られている 28.1
・天皇が国の象徴として国民の身近な存在になっている 38.3
・主権者である国民の意思が政治に反映されている 4.8
・立法、司法、行政の三権分立が定着している 11.4
・男女平等など法の下の平等が定着している 12.4
・国民生活が豊かになり健康で文化的な生活を送っている 26.7
・表現の自由が守られている 19.5
・公平で迅速な裁判が行われている 3.2
・戦争を放棄し平和を守っている 38.9
・その他  
・とくにない 18.3
・答えない 2.8
 
◆あなたは、ご自分の基本的人権などの権利や自由が、憲法によって保障されている、あるいは、保障されてきたと感じることがありますか、ありませんか。
 
・大いにある 11.6
・多少はある 47.2
・あまりない 30.2
・全くない 6.1
・答えない 5.0
 
◆あなたは、いまの憲法を読んだことがありますか、ありませんか。
 
・よく読んだ 2.9
・一通り読んだ 13.0
・一部読んだことがある 41.9
・読んだことはない 41.9
・答えない 0.4
 
◇ここ数年、憲法についての論議が、政党や有識者などの間で盛んになっています。あなたは、こうした傾向を、望ましいと思いますか、望ましくないと思いますか。
 
・望ましい 72.3
・望ましくない 13.4
・答えない 14.2
 
◆あなたは、いまの憲法を、改正する方がよいと思いますか、改正しない方がよいと思いますか。
 
・改正する方がよい 50.4
・改正しない方がよい 30.9
・答えない 18.7
 
◇【前問で「改正する方がよい」と答えた人だけに】あなたが改正する方がよいと思う理由は何ですか。次の中から、いくつでもあげて下さい。
 
・アメリカに押しつけられた憲法だから 22.3
・国の自衛権を明記したり、本格的な軍隊を持てるようにするため 21.0
・権利の主張が多すぎ、義務がおろそかにされているから 22.2
・憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱するから 28.8
・国際貢献などいまの憲法では対応できない新たな問題が生じているから 56.9
・その他 2.2
・答えない 3.0
 
◇【前問で「改正しない方がよい」と答えた人だけに】あなたが改正しない方がよいと思う理由は何ですか。次の中から、いくつでもあげて下さい。
 
・すでに国民の中に定着しているから 50.4
・世界に誇る平和憲法だから 39.4
・基本的人権、民主主義が保障されているから 25.6
・時代の変化に応じて、解釈、運用に幅を持たせればよいから 22.1
・軍事大国への道を開くおそれがあるから 29.8
・その他 0.8
・答えない 1.5
 
◆憲法を改正する方がよいと思うかどうかとは別に、いまの憲法が、施行から50年間、一度も改正されていないことに関連して、(A)「憲法は国の基本法であり、簡単に変えるべきではない」という意見と、(B)「憲法も時代の変化に応じて、柔軟に変えるべきだ」という意見があります。あなたの考えは、どちらに近いですか。
 
・どちらかといえばAの意見 29.7
・どちらかといえばBの意見 64.1
・答えない 6.2
 
◆いまの憲法に対する6つの意見を読み上げます。それぞれの意見について、あなたが 、その通りだと思うか、そうは思わないかを、順にお答え下さい。
◇「国として自衛権を持っていることをはっきり書いた方がよい」
 
・その通りだと思う 69.1
・そうは思わない 19.2
・答えない 11.7
 
◇「国際機関の平和活動や人道的支援に、自衛力の一部を提供するなど、積極的に協力することをはっきり書いた方がよい」
 
・その通りだと思う 65.4
・そうは思わない 23.9
・答えない 10.8
 
◇「人格権やプライバシー権、環境権など、新たな権利についての考え方を盛り込んだ方がよい」
 
・その通りだと思う 71.5
・そうは思わない 17.1
・答えない 11.5
 
◇「長期間にわたる憲法論争などを避けるために、憲法裁判所を新たに設けた方がよい」
 
・その通りだと思う 36.4
・そうは思わない 37.9
・答えない 25.8
 
◇「衆議院と参議院のそれぞれの役割を見直した方がよい」
 
・その通りだと思う 59.4
・そうは思わない 24.7
・答えない 15.9
 
◇「大災害などの緊急事態の際に、首相がすばやく対応できる規定を設けた方がよい」
 
・その通りだと思う 90.2
・そうは思わない 6.4
・答えない 3.3
 
◆読売新聞社は、昨年11月に、憲法改正試案を発表しました。あなたは、この試案について、読んだり、聞いたりしたことがありますか、ありませんか。
 
・ある 22.3
・ない 75.6
・答えない 2.1
 
〈調査方法〉
 ・調査日=3月25、26日
 ・対象者=全国の有権者3000人(250地点、層化二段無作為抽出法)
 ・実施方法=個別訪問面接聴取法
 ・有効回収数=1944人(回収率65%)
 ・回答者内訳=男45%、女55%▽20歳代14%、30代16%、40代22%、50代21%、60代17%、70歳以上10%▽大都市(東京区部と政令市)18%、中都市(人口10万人以上の市)38%、小都市(人口10万人未満の市)20%、町村24%▽阪神大震災の影響で、神戸市と西宮市周辺の6地点は、実施対象から除外しました。


 
 
 
 
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