毎日新聞社が今月実施した全衆院議員アンケート(回答者四百二人)によると、現在の憲法について四二%が「このままでよい」と考えており、「改正すべきだ」と考えている議員(二三%)を大きく上回った。しかし、党派別では「自主憲法制定」の党是見直しを進めている自民党は「改正すべきだ」が上回り、改憲・見直し論の根強さを浮き彫りにした。新進党は全体では「このままでよい」が多かったが、参加九党派により考え方が大きく違っている。国連安保理の常任理事国入り問題については、「賛成」と「条件付き賛成」を合わせると八三%で、「条件」としては「憲法の範囲内で」「武力行使をしないこと」という意見が多かった。(2面、社会面に関連記事、12、13面にアンケート回答一覧とコメント集)
憲法改正問題に対する全体集計では、「このまま」、「改正」のほか、「解釈改憲でよい」が六%。また、「その他」(二一%)、無回答(八%)もあり、「護憲」、「改憲」という従来の対立軸ではくくり切れなくなっている現状ものぞかせた。
党派別では、自民党は「このまま」三二%に対し、「改正」が三四%。同党の「自由民主党新宣言」で、憲法改正に関する文言が修正されたのは、こうした党内の根強い改憲・見直し論を反映したものといえそうだ。
注目されるのは新進党で「このまま」三一%に対し、「改正」は二一%にとどまった。小沢一郎幹事長の「普通の国」路線に代表される改憲、解釈改憲志向のイメージの強い同党だが、旧新生党議員の中でも「改正」は二七%、「このまま」が二九%で最も多かった。また旧公明党は「このまま」が五三%に対し、「改正」はわずか二%。逆に若手議員の多い旧日本新党では「改正」が四〇%に上り、「このまま」は八%だった。
国連安保理常任理事国入り問題では、新進党は無条件の「賛成」の割合が最も高く七一%。これに対し、与党は自民党が「賛成」四一%、「条件付き賛成」四九%。社会党は「賛成」がわずか四%で、「条件付き賛成」が六〇%。「反対」も二六%と目立った。
【毎日新聞全衆院議員アンケート】今月12日から23日にかけ、衆院議員508人(欠員3人を除く)を対象に、原則として記者が面談、あるいは議員本人が記入する方法で実施。回答率は79%だった。
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