日本財団 図書館


1993/04/22 毎日新聞朝刊
護憲が改憲上回る――経団連の憲法緊急アンケート
 
 経団連の三好正也事務総長は二十一日開かれた自民党憲法調査会(栗原祐幸会長)で、経団連が三月中旬に実施した憲法問題に関する緊急アンケート結果を公表した。憲法改正の是非について「改正すべきでない」の三・三%と「必要があれば改正すべきだが今はその必要はない」の四五・九%を合わせ四九・二%で、「改正すべきだ」の四五・九%を上回り、護憲派経営者がわずかに多かった。
 経団連として正式に憲法問題を議論したことはなく、今回、意見陳述を求められたのをきっかけに、アンケートを実施した。対象は副会長十二人と、主要企業や業界団体のトップにいる常任理事の計二百五人で、回収率は六〇%だった。
 戦争放棄を定めた第九条と国際貢献との関係については「改正し貢献を強化すべきだ」が四〇・七%で最も多かったが、「改正せず現行政府解釈の見直しを通じて貢献を強化すべきだ」の三九・〇%と、「改正せず現行政府解釈の範囲内で貢献すべきだ」の一二・二%を合わせると「改正せず」の護憲派が過半数を占めた。
 首相公選制の是非に関しては、「議院内閣制を堅持すべきだ」との慎重論が七二・一%と大勢を占め、「首相公選制に改革すべきだ」の一三・一%、「いずれともいえない」の一四・八%を大きく上回った。
 三好事務総長はこの日「私見」と断りながら、九条問題に限らず、地方分権なども含めて「憲法論議をタブー視すべきでない」との考えを示した。


 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION