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研究の概要
1. 試験研究の背景
 地球環境の保全とエネルギー効率向上の観点から、これまでのトラック中心の陸上輸送から、内航船による海上輸送へのシフトが求められている。さらに、船内労働環境の改善、船舶全体の経済性の向上等により内航海運の活性化が求められている。
 このため従来型の内航船とは大きく異なる次世代内航船(スーパーエコシップ)のプロジェクトが、平成13年度から国の予算で進められている。スーパーエコシップは、高効率舶用ガスタービン、電気推進式ポッドプロペラ及び船体低抗を低減した理想の船型等の革新的技術を取り入れた画期的な船舶を目指している。
 このような状況のもと、スーパーマリンガスタービン技術研究組合は、スーパーエコシッププロジェクトの成功を握る高効率舶用ガスタービンとして、「環境低負荷型舶用推進プラントの研究開発」で開発されたスーパーマリンガスタービン(SMGT)をべースに、環境にやさしく、信頼性が高く、かつエネルギー効率の良い実船搭載型舶用推進プラント(SMGT2)の研究開発に国土交通省のご指導のもと日本財団からの助成金を受け、取り組んでいる。
 
2. 研究開発の目標
・出力:2,000kW級
・総合エネルギー効率:50%(CO2の排出量をSMGTの20%削減)
・信頼性:実船搭載用エンジンとして必要な信頼性の確立
 
3. 研究開発内容の概要
 スーパーマリンガスタービンの技術を活用し、実船搭載型として必要な信頼性を有する2,000kW級舶用ガスタービンを開発する。
 また、ガスタービンの排熱を利用した吸気冷却システム及び排熱回収により総合エネルギー効率を向上(目標50%)させる研究を行う。このため、平成14年度から3年間にわたり、実船搭載型に必要な信頼性を確立するための実証機を設計・製作し、この実証機により耐久試験を実施し、その信頼性評価を行う。また、吸気冷却システムを実証機に装備してその性能評価試験を行う。
 
3.1 実船搭載型舶用推進プラント(SMGT2)の設計・製作
 SMGTの基本構造および主要な要素(燃焼器、圧縮機、タービンなど)の研究成果を活用して、実用機として必要な信頼性を有する2,000kW級の再生2軸式ガスタービンを設計し、その実証機を製作する。
3.2 吸気冷却システムおよび排熱回収システムの研究開発
 ガスタービン排熱で吸収式冷凍機を作動させ、ここで発生させた冷気で吸気冷却することにより、大気温度が高い場合にも出力低下量の少ない性能を持つガスタービンシステムを開発する。
 また、ガスタービン排熱を有効利用して総合エネルギー効率を向上(目標50%)させるため、ガスタービン排熱回収システムの研究を行う。
3.3 信頼性試験
 3.1 で製作された実証機により耐久試験を行い、その信頼性評価を行う。また、3.2の吸気冷却システムを実証機に装備して、その性能評価試験も行う。
 
4. 研究組織
 スーパーマリンガスタービン技術研究組合は、平成9年4月1日に設立認可された団体で、組合員としては、下記の舶用エンジンメーカー4社が参画している。
(五十音順)
石川島播磨重工業株式会社
川崎重工業株式会社
ダイハツディーゼル株式会社
ヤンマー株式会社







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