(3)カブトガニの飼育
カブトガニは、孵化後しばらくは海水中のプランクトンや泥の中の微生物などを食べる。成長するに従い、干潟や海底の泥の中のゴカイ類やアサリ、ハマグリ、トリガイ、イガイ、ホトトギスガイ、オウノガイ、ハイガイなどの二枚貝、ウニ、時には海藻などと餌は変化する。本博物館では、幼生のときには、ブラインシュリンプやテトラミンなどをやり、成長するとゴカイや二枚貝、イカの切り身などを与えている。摂餌は水温が18℃以上になると盛んになるが、11月以降になると泥の中に潜って休眠する。
カブトガニは体の外側が固い殼で覆われている外骨格動物である。そのため成長するに伴い6月から9月にかけて脱皮が行なわれる。脱皮が近づくと、摂餌や行動がみられなくなる。脱皮の様子は非常に神秘的で、まず甲羅の色が少しずつ白く透けて、やがて前体(頭胸部)の前の縁が割けてくる。しばらくすると、裂け目が広がり、じわりじわりと柔らかくみずみずしい新しい体が、少しずつのぞいてくる。この時のカブトガニは、しっかりと足をふんばり、体の曲げ伸ばしを何回となくくり返しながら、長い時間をかけて、まるで苦しみに耐えているように見える。中には脱皮の途中で死ぬものもいる。このような脱皮をするごとに、体長は約1.3倍位の大きさになる。
カブトガニは孵化して2年間くらいは短期間の内に脱皮を繰り返すが、3年目以降は1年に1回程度となる。脱皮の回数や寿命について詳しいことはわかっていないが、おおよそ15・18回位は脱皮を行ない、雌は体長60cm、重さ3kg、雄は体長50cm、重さ1.5kgとなる。寿命は飼育した経験から20・25年は生存すると思われる。
写真6.6 カブトガニの屋外飼育水槽
写真6.7 各段階別の飼育されたカブトガニ
写真6.8 飼育施設内でのカブトガニの生態の説明
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