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6.3 セミナー詳細
 
(1)副読本
書籍名:生きている化石 カブトガニからのメッセージ(ISBN4-580-81234-4 C8345)
内容:生きている化石と呼ばれるカブトガニの進化や生活などを、多くの写真と絵をもとに調べ、4億年を生きのびてきた秘密から、私たち人類へのメッセージを読みとられている。
著者:惣路紀通 著/ヒサクニヒコ 絵
 
 
図6.1 副読本
 
(2)カブトガニの保護活動についての講義・惣路紀通主任学芸員
 昭和3年、笠岡湾生江浜海岸のカブトガニ生息地が「天然記念物カブトガニ繁殖地」として、国の指定を受けた。しかし昭和41年以降、1811haに及ぶ笠岡湾の干拓で10万個体のカブトガニが死滅したと考えられる。直接的な生息地の消滅の他に、潮流の変化や水質汚濁によっても影響を強く受けたと思われる。さらに生江浜も国の天然記念物の指定を解除され、その生息数は減る一方である。
 昭和46年には神島水道が新たに繁殖地として指定されるとともに、昭和50年には博物館の前身となるカブトガニ保護センターが設立され、カブトガニの保護、繁殖に関する様々な調査研究が始まった。平成2年には笠岡市立のカブトガニ博物館が建設され、世界で初めての人工飼育の取組みが始まり、平成11年には卵から成体にまで飼育することに成功した。ここでは毎年約一万匹の幼生を育てて、海に放流されているが、成体に育つのは5000個体に1個体程度で、その放流成果は明確には現れていない。現在、笠岡湾のカブトガニの成体数は現在は40〜50つがい程度と思われる。
 このようにカブトガニの保護とその個体を増やすためには、幼生の放流だけでなく、水質、底質、生息地の保護と総合的な対策が必要である。例えば、泥から硬く締まった状態へと大きく変化した笠岡湾の干潟を生息に適した環境に改善しなければならない。現在、保護の取組みは博物館、下水道整備や生息地の保護と言った行政によるものだけでなく、市民や学校でのボランティア活動も盛んに行われている。
 
写真6.2 カブトガニをデザインしたカブトガニの博物館の前景
 
写真6.3
カブトガニのレプリカを使ってカブトガニの生態について解説する惣路紀通主任学芸員
 
写真6.4 カブトガニの交尾について
 
写真6.5 レプリカを手に取りながら質問する参加者







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