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5.3 セミナー詳細
 
(1)実施場所
 大阪湾の湾奥部、堺出島漁港から大阪湾沖へ出発。船上からの大阪湾の海岸線を船上から観察し、海洋調査も体験しました。また、堺出島漁港内の“とれとれ市”では大阪湾でとれる海産物を見学しました。
 その後、大阪南港野鳥園にバスで移動、野鳥園に集まってくる野鳥を観察するとともに浅場の重要性や浅場のもつ浄化機能や浅場の大切さ等を学びました。
 
図5.1 実施場所
 
(2)船上からの大阪湾岸の観察
 堺出島漁港から、漁船に乗って大阪湾沖合へ出発。船上から大阪湾の湾岸線を観察しました。
 船上から見た大阪湾の海岸線は、すべてがコンクリートの直立護岸や、テトラポットなどの人工的なものであり、自然の海岸線は一切見ることが出来ませんでした。
 
写真5.1 船上から見た大阪湾の海岸線
 
(3)船上での海洋調査体験
 大阪湾奥部を船で移動しながら、海洋調査を体験しました。主な調査内容は水温、透明度、溶存酸素濃度、プランクトンの採取などで、海から見た海岸線の観察も行いました。
 水温調査では、二つのバケツで海面付近と海底付近の水を採水し、手を浸してその水温の差を比較し、実感しました。夏の大阪湾では慢性的に赤潮が発生しており透明度が低いのですが、この日も透明度は1.5m程度しかありませんでした。プランクトン調査では、海水中のプランクトンをプランクトンネットで採取し、堺出島漁港に帰港した後に、顕微鏡で観察しました。溶存酸素調査では、計測器を使って、海面から海底まで、深度の変化による酸素の量を調べました。測定水深が深くなるにつれて急激に貧酸素状態になり、観測箇所によっては海底がほぼ完全な無酸素状態となっていました。
 また、特定の水深の海水を採取することが出来る特殊な器具(バンドーン採水器)を用いて海水を採取したり、水中ビデオカメラで水中や海底の様子を観察しました。南港野鳥園沖では砂で覆われた海底やエビなどの生物を見ることができましたが、堺沖では水の色も真っ黒でほとんど何も見えない状態でした。海域によって水中の状況がずいぶんと違うことが体験できました。
 参加者は、船から身を乗り出して調査の様子を見学したり、実際に触れて水温を確かめたり、顕微鏡を覗き込んだりと、楽しみながら夏の大阪湾の水質状態を実感していました。特に水中ビデオカメラの映像は子供達の人気を集め、順番待ちの列ができていました。
 
写真5.2 プランクトンの採取
 
写真5.3 採取したプランクトンを顕微鏡で観察する参加者







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