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ブラジル人学校を去っていく子どもたち
コレージオ・ピラゴラス 浜松校
校長 ペドロ・メンデス・ネト
 
 在日ブラジル人家族にとって最も必要なのは、父母が仕事をしている間に、誰かが子どもたちの面倒をみることです。残念ながら、子どもたちの学習は彼らにとって二の次であり、それは、彼らが仕事を失った時に顕著に現れ、子どもたちに退学を望むことが多々あります。そして、彼らが新たに仕事を得ると、子どもたちが復学することを望み、子どもたちは学校に帰ってきます。
 
 母親の給料は、住居費や食費、通信費、衣類や雑貨の購入に充てられ、父親の給料は貯蓄にまわされます。彼らにとって、子どもの教育は一つの支出であり、子どもたちの将来にかけた投資とはなりません。子どもたちの昼食費さえ削ろうと、支払いをしない父母もいます。
 
 このような価値観を持ちながら、時に彼らは新しい車やオーディオ機器を買い、高価な贈り物を子どもたちにするのです。学費の支払いは遅れ、一月二月と滞納が増え、その後彼らは支払いを拒否するようになり、ついには支払いを逃れるように他の都市に移り住んでいきます。彼らがブラジルヘの帰国を決めると、ほとんどは所持金を帰国のための旅費にあて、学費の滞納を無視することになります。これによりブラジル人学校は大きな損害を受けるのです。
 
 失業に直面した父母が、子どもたちを日本人学校に戻すことも度々あります。このような状況の中で、子どもたちは混乱に陥り、父母の誤った理解の被害者となるのです。







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