(4)放流された魚種
中禅寺湖湖畔
表4-1-2は、中禅寺湖に魚種が初めて移殖された年代、移殖数および放流尾数について、田中(1967)の記録から奥本ら(1989)がまとめたものである。表4-1-2のすべての魚種が意図的に持ち込まれたものばかりではなく、その詳細が全く不明のものもあり、混入かあるいは生き餌として持ち込まれたのではないかと考えられている。
表4-1-2 中禅寺湖に生息する魚類と初めて移殖された時の記録
種類 |
西暦 |
年次 |
卵搬入数(粒) |
放流数(尾) |
産地 |
イワナ |
1873 |
明治6年 |
22,000 |
22,000 |
日光細尾(栃木県) |
コイ |
1874 |
明治7年 |
20,000 |
20,000 |
不明 |
フナ |
1874 |
明治7年 |
2,000 |
2,000 |
不明 |
ドジョウ |
1874 |
明治7年 |
500 |
500 |
不明 |
ウナギ |
1874 |
明治7年 |
300 |
150 |
不明 |
ホワイト・フィッシュ |
1881 |
明治14年 |
1,000,000 |
1,000 |
ソ連 |
ホンマス |
1882 |
明治15年 |
120,000 |
83,000 |
琵琶湖(滋賀県) |
シロザケ* |
1882 |
明治15年 |
40,000 |
不明 |
不明(北海道) |
スジエビ |
1882 |
明治15年 |
15,000 |
15,000 |
赤間沼(栃木県) |
サクラマス |
1884 |
明治17年 |
232,000 |
不明 |
不明(北海道) |
ヒガイ* |
1886 |
明治19年 |
極少 |
不明 |
琵琶湖(滋賀県) |
ニジマス |
1887 |
明治20年 |
8,000 |
4,000 |
カルフォルニア(米国) |
ヤマメ |
1888 |
明治21年 |
300 |
300 |
日光付近(栃木県) |
カワマス |
1902 |
明治35年 |
25,000 |
15,000 |
コロラド(米国) |
ヒメマス |
1906 |
明治39年 |
400,000 |
350,930 |
支笏湖(北海道) |
ウグイ |
1906 |
明治39年 |
不明 |
300 |
赤間沼(栃木県) |
ヨシノボリ |
1914 |
大正3年 |
不明 |
不明 |
不明 |
ワカサギ |
1928 |
昭和3年 |
2,400,000 |
2,400,000 |
霞ヶ浦(茨城県) |
ベニザケ |
1934 |
昭和9年 |
500,000 |
422,990 |
ウルモベツ(千島列島) |
レイクトラウト |
1966 |
昭和41年 |
10,000 |
6,237 |
オペオンゴ(カナダ) |
ギンザケ |
1978 |
昭和53年 |
不明 |
不明 |
不明 |
ブラウンマス |
不明 |
不明 |
不明 |
不明 |
不明 |
カジカ |
不明 |
不明 |
不明 |
不明 |
不明 |
モツゴ |
不明 |
不明 |
不明 |
不明 |
不明 |
アブラハヤ |
不明 |
不明 |
不明 |
不明 |
不明 |
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*:移殖されたが、現在は生存が確認されていない。
注1)ワカサギは、田中(1967)の記録では昭和3年(1928年)となっている。
出典:奥本ら(1989)
専門委員の白旗総一郎博士が、1882年(明治15年)に移殖されたと記録されているシロザケについてまとめている。また、華厳の滝など滝から落下した魚の生存についても同氏がまとめているので、以下に収載する。
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