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プログラム第2日目
10月11日(金)
会場:国立京都国際会館 2階 ルームA
シンポジウム2 時間12:30〜15:00
英語プログラム(同時通訳あり)
 
テーマ:
アンチスティグマ(脱・偏見)
趣旨:
精神科の病気に対する偏見は、どこの国でも、患者本人や家族を苦しめています。今、アンチスティグマ(脱・偏見)の活動が世界的に繰り広げられています。日本においては、精神分裂病の病名変更が大きな流れを作っています。世界各地での取り組みを報告しあい、アンチスティグマの闘いを広げましょう。
 
司会者
  
小池 清廉
  
(社会福祉法人京都障害児福祉協会理事長 京都精神保健福祉協会会長)
司会者
 
ノーマン・サルトリウス
 
(前・世界精神医学会WPA会長 スイス)
シンポジスト
 
バーバラ・ホッキング
 
(SANEオーストラリア オーストラリア)
 
 
 
 
「オーストラリアでの脱・偏見活動」
シンポジスト
 
アニル・バルタク
 
(統合失調症理解促進協会 インド)
シンポジスト
 
ノーマン・サルトリウス
 
(前・世界精神医学会WPA会長 スイス)
シンポジスト
 
高木 俊介
 
(医療法人社団ウエノ診療所医師 京都府)
 
 
 
 
「病名変更とアンチスティグマ活動」
 
シンポジウム2 アンチスティグマ(脱・偏見)
病名変更の意義とアンチスティグマ活動
高木俊介(医療法人社団 ウエノ診療所・医師 京都府)
 
 従来「精神分裂病」と呼ばれてきた病名が、2002年から「統合失調症」に変更された。現在すでに、マスコミなどによって一般市民に浸透しつつあり、医療福祉場面においても障害年金などの公的な診断書に使用可能になっており、徐々に新しい名称が社会全体に広がっていくと思われる。
 全家連が、学会に名称変更の要望書を出したのは1993年のことであった。2年後に学会に名称変更の是非を検討する委員会が設けられて、調査やシンポジウム開催などの活動が始まり、1999年になって変更することが決定された。その後、学会の内部で議論されるだけではなく、全家連と共に一般市民からの意見を募集する新聞広告が出されたり、マスコミや当事者を交えた公聴会が開催されるなど活発な活動がなされ、最終的に「統合失調症」という新病名が決定したのである。
 病名の変更が必要とされた理由には、医学的な面と社会的な面のふたつの側面がある。医学的には、「精神が分裂する」という病名は、この病気の症状やそこからくる当事者の苦しみをうまく表していない。社会的には、ただでさえ精神障害に対するスティグマや差別に苦しむ当事者にとって、「精神分裂病」という人間の尊厳を奪うような侮辱的な語感をもつ病名によって、さらなる苦しみが加えられるという問題がある。そして、その病名のもつイメージゆえに、社会の偏見は強められ、当事者たちは沈黙へと押しやられる。
 病名変更の作業が進みつつある間に、精神科医療と障害者をめぐる社会の状況は、少しずつではあるが大きな意味のある方向転換を行っていた。精神科医療における地域医療への転換と、インフォームド・コンセントなどの情報の開示や患者と治療者の間の関係の変化、障害者基本法の制定に象徴される障害者のノーマライゼーションという社会のあり方の変化である。この大きな社会の潮流におされるように、病名変更を望む声が広がっていった。
 したがって、たかが病名を変えたということではあるが、されど、そこに含まれている意義は大きいのである。つまり、医療が専門家の独占物ではなくなり、当事者が医療、保健、福祉のあらゆる部分に参加して共同の意志決定を行っていくという、これから目指されるべき社会のあり方を象徴するような出来事なのである。
 このような出来事が、精神科医療の中でももっともスティグマが強く、偏見と差別にさらされることの多かった統合失調症について達成されたことの意義は大きい。そしてまた、この意義を、根深い偏見や差別的な制度という現実の厚い壁を壊していくパワーとしていけるかどうかは、これからの私たちと皆さんの活動にかかっているのである。
 
プログラム第2日目
10月11日(金)
会場:国立京都国際会館 1階 大会議場
閉会式 時間15:00〜16:00
 
グラアス合唱
WFSADによる総括講演
大会アピール
閉会の挨拶
次期開催県挨拶
 
合唱団「グラアス」のプロフィール
 
 1998年7月合唱団はメンバー達の希望で発足。グラアスとは、牛馬が餌として食む「牧草」を意味する。雑草のような打たれ強さと何か他者にも役に立ちたい、そんな想いがこめられている。
 メンバーは、病気の安定している時期もあれば、つらい時もあり一人ひとりの歩みはさまざま。メンバー相互の思いやりや支えあいが随処にみられる集団となる。今後、音楽を通して暖かい人とのつながりを作っていきたい。
 
プログラム第2日目
10月11日(金)
会場:国立京都国際会館 2階 ルームA
特別プログラム 時間16:30〜17:30
英語プログラム(同時通訳あり)
 
<ビル・ジェファーソン記念講演>
Topic:回復に向けて〜臨床における現状〜
 
Speakers
Dr. Sean Flynn - University of British Columbia, Canada
 
シーン・フリン(医学博士、ブリテッシュコロンビア大学、カナダ)
 ビル・ジェファーソン氏は、家族の立場でカナダにおいて精神障害者への理解の促進や精神科医療サービス充実を目的として、長年にわたり活動してきた。また、国際的な精神障害者の理解促進に尽力し、世界精神障害者家族団体連盟(WFSAD)の設立者である。この講演は、今年亡くなられた彼の功績を記念し、特別に開催するものである。







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