日本財団 図書館


プログラム第2日目
10月11日(金)
会場:国立京都国際会館
 
記念講演1
時間10:00〜11:30
テーマ:人としての尊厳 講師:鶴見 俊輔(哲学者 京都府)
記念講演2
時間10:00〜11:30
 
英語プログラム(同時通訳あり)
テーマ:家族が体験する精神疾患 講師:フレッド&ペニー・フリーズ夫妻
昼食
時間11:30〜12:30
シンポジウム1
時間12:30〜15:00
 
英語プログラム(同時通訳あり)
テーマ:家族のパワーが未来を拓く 〜利用者のパワーと共に〜
シンポジウム2
時間12:30〜15:00
 
英語プログラム(同時通訳あり)
テーマ:アンチスティグマ(脱・偏見)
閉会式
時間15:00〜16:00
特別プログラム  
時間16:30〜17:30
<ビル・ジェファーソン記念講演> 英語プログラム(同時通訳あり)
テーマ:回復に向けて 〜臨床における現状〜
 
講師:シーン・フリン
 
プログラム第2日目
10月11日(金)
会場:国立京都国際会館 1階 大会議場
記念講演1 時間10:00〜11:30
 
テーマ:
人としての尊厳
講師:
鶴見 俊輔(哲学者 京都府)
趣旨:
病気を経験することで所属や誇りを奪われたり、普通の生活を送るためのサービスが極端に不足していることで、孤立や不安が増したり・・・精神に障害のある市民の現状です。この人たちの尊厳は何か、この人たちが教える尊厳は何か、私たちが共に守り、高める尊厳とは何か、わが国を代表する思想家に語ってもらいます。
 
記念講演1 人としての尊厳
病む一人としての体験から
鶴見 俊輔(哲学者 京都府)
 
 自分のことから話します。
 私が、うつ病をかかえて今もまだ生きているということは、私が多くの人に迷惑をかけ、多くの人に助けていただいたからです。
 このことを證言すること。それは遠くにいて、別のツボにはまって悩んでいる人に、何かをつたえることになるかもしれません。
 哲学というのは、自分のツボにはまってあがいている状況報告と私は理解しています。
 そこから、別のツボに、声はとどくか。その證言は、たくさんあつめれば一般化できるか。できないと、私は断言することはできません。
 私は八十歳です。ずいぶん遠いところまできました。ここまで来るのに、私の生まれた家の仲間(四人姉弟ですから、姉、妹、弟、そして父と母)に迷惑をかけてきました。
 職業をもつようになってから、上司である教授、助教授である私をとばして、助手の二人に大いにお世話になりました。
 また、精神病院でお世話になった井村恒郎博士、笠松章博士に、その後の五十余年をとおして役に立つ助言をあたえられました。
 私が自分の内部に精神障害をもっていることは、他の同様な人への洞察力をもつことにもつながります。医師とはちがう理解を、他の人たちに対してもつことも、ないではありません。わずかですが。
 私が現在もっている妻子も、私の病気について理解をもち、そのために、今日まで生きることができました。
 こういうことについて、おはなししたい。
 それがお役にたつか、どうかは、わからないのですが、ともかく、私一個の実体験についての、私なりのまとめです。
 
プログラム第2日目
10月11日(金)
会場:国立京都国際会館 1階 ルームA
記念講演2 時間10:00〜11:30
英語プログラム(同時通訳あり)
 
テーマ:
家族が体験する精神疾患
講師:
フレッド&ペニー・フリーズ夫妻
趣旨:
フレッド・フリーズ氏は、当事者であり、元NAMI(全米精神障害者家族会連合会)副会長である。ペニー夫人との間に、4人の子供をもうけたが、内3人が精神疾患を患っている。この講演では、前半をフレッド氏が担当し、後半をペニー夫人が担当する。この家族の体験を、二人の視点で語っていただく。フレッド氏は、30年以上前に、米軍関係者として日本滞在の経験を持つ。
 
プログラム第2日目
10月11日(金)
会場:国立京都国際会館 1階 大会議場
シンポジウム1 時間12:30〜15:00
英語プログラム(同時通訳あり
 
テーマ:
家族のパワーが未来を拓く 〜利用者のパワーと共に〜
趣旨:
社会福祉の理念は、温情的保護主義から利用者をまず主権者・生活者として捉え、その主体力の実現を支える「利用者本位」へと代わってきました。利用者自身のパワー発揮の支え手となる家族が、病気についての正しい知識を持ち、適切な対応ができれば、利用者は安心して生活することができます。このような家族としての体験が、私たちの社会をよりよくしていく原動力になります。世界に広がる家族会のパワーの源泉を探り、将来を展望します。
 
司会者
  
岡田 清  (大阪府こころの健康総合センター 所長)
司会者
 
デール・ジョンソン  (次期WFSAD会長 アメリカ)
シンポジスト
  ダイアン・フロガット  (WFSAD事務局長 カナダ)
シンポジスト
  マーサ・ピアチゴルスキー  (WFSAD副会長 アルゼンチン)
シンポジスト
  トーマス・ワルングバ  (ウガンダ・スキゾフレニア・フェロウシップUSF会長)
シンポジスト
 
野地 芳雄  (京都府精神障害者家族会連合会 常務理事 あけぼの会共同作業所長)
 
シンポジウム1 家族のパワーが未来を拓く 〜利用者のパワーと共に〜
ウガンダ・スキゾフレニア・フェロウシップ(USF)
5年間の活動:成功とチャレンジ
トーマス・ワルングバ
(ウガンダ・スキゾフレニア・フェロウシップUSF 会長)
 
 この発表では、ウガンダ・スキゾフレニア・フェロウシップ(USF)の5年間の活動を、成功、チャレンジ、将来への展望を含めて紹介します。USFは、1997年9月に発足したNGOで、統合失調症等精神疾患に苦しむ人々の福祉の改善を第の一目的としています。また、USFは、WFSAD(世界精神障害者家族団体連盟)の加盟団体です。
 USFの会員は、家族、近親者、当事者、当事者の知人、精神保健福祉従事者、また、その他団体の活動目的に賛同する人に開かれています。
 
野地 芳雄
(京都府精神障害者家族会連合会 常務理事 あけぼの会共同作業所長)
 
1, 京都における家族会活動と見えてきたもの
(1)京家連活動のあらまし
(1)全家連結成(1965年)の原動力となった京都の地域家族会と京家連(北部の4家族会)の結成(創成期の先駆的活動)
(2)組織的な家族会活動の停滞の時期(京都市内のあけぼの会家族会の活動の展開)
(3)京都の家族会活動の再生(組織の一本化)と今日までのあゆみ(1988年〜2002年)
(2)再生期の家族会活動のなかで、見えてきたもの
(1)理事会の確立と、ブロック別事業の取り組みを経るなかで動き出した家族会
(2)第35回全家連全国大会京都大会開催を承認した京家連総会(1999年10月20日)帰路、井上収京家連会長が不慮の交通事故に
(3)京家連の緊急理事会での京都大会開催の再確認と二つの目標の確認。全家族にむけた大会の訴えと大会実行委員会づくり
(4)第35回全家連全国大会京都大会の取り組みのなかでみせた家族・利用者の底力と関係者の支援
*そうめん販売と寄付金活動に奮闘した多くの家族・利用者の大会準備の参加・合唱団グラアスの全国大会支援のコンサートの取り組みなど
(5)全国大会に向けた取り組みに応える家族の行動に思うこと
・地道な活動が実ってきた喜び・家族こそ信頼できる仲間だと言う実感
・家族の団結の力こそ未来を拓くと言う実感
*家族のパワーの背景にあるもの→子供らの幸せを願う熱い思い
2, 家族の現状と課題の意味するもの
 心病む子供らを抱えて今なお苦闘する多くの家族とその高齢化の現状のなかで、精神保健福祉の改善があっても、希望や展望がもてない状況に家族はおかれている。
 幻聴や幻覚、妄想を正しく受けとめられない家族。子供らにどう関わればよいのか解らない家族。社会資源や福祉制度を知らない家族。社会の偏見や差別に苦悩する家族。長年の苦闘のなかで疲れ果てた家族の姿は、裏返せばこれからの医療と精神保健福祉に「もっと支援を」と言う切実な声なき訴えでもある。
3, 家族にとっての家族支援とは
 精神保健福祉の主役は利用者である。その利用者のための医療や生活支援は家族支援とメダルの裏表であると思う。つまり家族支援なき利用者支援はあり得ないからだ。利用者のためのネットワークの一角に家族が加わり、大切な役割を果たさなければならないことは言うまでもない。そのためには、(1)家族にたいする精神保健福祉の系統的研修の必要性(保健所・市町村の役割)(2)受け皿となる社会資源の設置と就労支援の具体化(3)家族が心のゆとりをもてる精神的支援(相談と問題の解決)が強く求められる。
 高齢化問題と合わせて家族支援の必要性が、強調されてきているが、現状は結局家族が背負い家族が苦闘しながら問題に当たるのが実状である。家族支援も利用者支援も、支援されるものと支援する人との関係により成立する。支援する側の体制整備と確立が早急に望まれる。
4, 利用者が当たり前に生きていける地域づくりのキーワード
(1)もっと大きな家族の力を(全家連、府県連・市家連の組織強化と財政の確立)
(2)家族自身が自己改革する努力の必要(家族が変われば、心病む子供らも回復する)
(3)家族の要求を汲み上げ、要望書による行政への働きかけの展開(福祉施策の格差解消、京都市家連活動の教訓から)
(4)利用者、家族の社会への発信を通じた地域社会へのアプローチの展開(マスコミ、京都福祉新聞による利用者の発信や合唱団グラアスのコンサートと家族の呟きから)
(5)地域の社会福祉協議会に参加し、高齢者問題や他の障害者問題とともに連帯する視点をもった家族会活動の必要牲(京都市における作業所づくり、ふれあいサロンの設置に見られる地区社協の支援)
 
5, 4の1〜5を実践するうえで求められているもの
(1)組織的、分業的に活動を分担しリーダーシップを発揮する家族会役員体制の早急な確立の必要性
・京家連、市家連の固定的現状の延長線上に家族会の未来はあるか?
(2)拠点となる事務所の確保と専従体制
(3)それを支える財政の確保
*1〜3をどう構築するのか正念場を迎えている京家連
6, おわりに







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION