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第2分科会
(7階・鶴の間)
 
『市町村居宅支援事業の現状報告』
司会者
徳島県家連
西村 三希子
 
阿南保健所
大久保キヨ子
助言者
西南学院大学
 
 
社会福祉学科
平 直子講師
 
各県代表・話題提供者
香川県高松市役所障害福祉課
池内 明子
愛媛県新居浜市役所保健福祉部福祉課
石井千恵子
高知県田野町保健センター桃山内保健福祉課
広末 ゆか
徳島県那賀川町健康福祉課
松尻美智子
 
高松市精神障害者居宅生活支援事業の現状報告
高松市障害福祉課
保健師 池内 明子
1 はじめに
2 高松市居宅生活支援事業の実施状況
1)居宅介護(ホームヘルプ)事業
2)短期入所(ショートステイ)事業
3)地域生活援助(グループホーム)事業
3 その他の福祉サービス
4 おわりに
 
 
市町村居宅支援事業の現状報告
愛媛県新居浜市 石井 千恵子
1.新居浜市は
愛媛県東部に位置する人口128,036人(平成14年11月末日現在)
精神科単科の病院2ヵ所、精神科標榜の病院4ヵ所・医院が2ヵ所
生活支援センター(まごころの会)1ヵ所、生活訓練施設(援護寮・国領荘)1ヵ所
小規模作業所(新居浜花工房・第二花工房)2ヵ所
精神科デイケア2ヵ所、保健所デイケア(市内)1ヵ所
訪問看護ステーション(れんげの会)1ヵ所、グループホーム3ヵ所
家族会、当事者グループ(つばさの会)、ボランティアグループ(かざぐるま)
 
2.居宅支援事業の窓口は
 
3.居宅支援事業利用者
ホームヘルプ事業(二事業に委託)
  4 5 6 7 8 9 10 11 12
家事支援 利用者 4 6 6 7 7 8 8 8 9
時間 43:30 67:00 65:30 90:00 83:00 88:30 101:30 83:30 94:00
身体介護 利用者 1 1 1 1 1 1 1 1 1
時間 7:30 5:30 5:30 9:30 7:00 9:30 7:00 7:00 10:30
 
ショートステイ事業(国領荘委託)
4 5 6 7 8 9 10 11 12
利用者 0 3 1 2 2 3 4 8 6
時間 0 13 7 13 8 8 9 16 13
*
同一人が同一月内に複数回利用している場合は、当該利用回数分の人数記入
 
グループホーム
家族会立
2ヵ所
男性:定員5人、入居者4人
 
 
女性:定員4人、入居者3人
医療法人立
1ヵ所
男性:定員4人、入居者4人
 
4.取り組み後の戸惑い
 
5.関係機関との連携
 
 
市町村居宅支援事業の現状報告
話題提供者
広末ゆか(高知県田野町役場保健福祉課)
 精神障害のある人たちが住んでいる町で受けられるサービスといえば、ほとんどなく、唯一長年続けられていた管内の保健所でのデイケア・・・、しかも月1〜2回のもの・・・個々の日常の活動性を高めるものとはいい難く、社会参加につながるには程遠いものであったと思われます。長年の個人記録をたどってみると、市町村保健師の支援活動においては、訪問による個々のサポート、治療継続の確認、必要に応じて入院へのつなぎ等が主でした。
 平成9年に地域保健法ができ、市町村への委譲の波が一気に押し寄せてきました。精神保健の分野においても同様、精神障害のある人たちの住民サービスが保健所からより身近な市町村への足音がきこえ始めていました。
 
友の会(ちゃあみぃ・ぐりーん)―居場所づくり
 精神障害のある人たちが、住みなれた町で安心して暮らすために、わが町で一緒に何ができるか、できることからはじめようと平成11年度から、知的障害がある人たちと一緒に仲間づくりの会からはじめました。
 きっかけは、当初、介護職を退職された住民のかたから、“グループホームをつくりたい”という相談が保健師のほうにありました。それを踏まえ、保健所や精神保健福祉センター所長らと検討会をもちました。町内の精神障害のある人で、日中特に何もしていない人らを中心にまずは訪問をし、彼等の生活の様子や何がしたいかを話し合いました。その結果、「閉じこもってばかりいると寝たきりになって死んでしまう・・・」という不安があったり、「日中どこか集まる場所があったらいい・・」と居場所づくりを求めていることがわかりました。
 そこで、4〜5人の小さな会ですが、保健センターの調理室を使って、自分たちで買い物、昼食作り、談話を週2回からはじめました。そのうちに、使っていない畑を借りての野菜作り・・・、ときに枯れる事もありますが、来たい時に来て活動をしています。今年は、地域の方の協力を得て、一緒に芋づくり、干し芋づくりもしました。
 
それぞれの得意技・ニードから地域参加へ
(1)友の会“ちゃあみぃ・ぐりーん”からの発信
・老人福祉センターでのコーヒー喫茶
・町行事への参加−コーヒーショップやクッキーの販売
・小学校校庭の花壇作り
(2)個々のニードから地域の人たちと共に
・作業所への参加
・社会適応訓練事業への支援
・高齢者の介護予防教室への参加
 
 友の会や社会参加を通して、友達ができたことによって人と話すことが怖くなくなった人、体調が良くなった人、困ったときに自分から友達や保健師に相談ができるようになった人、家族とのトラブルが少なくなった人等さまざまです。友の会に頻回に参加しなくても、友の会の存在がその人にとって大きかったりもします。
 最初「料理ができないので、ヘルパーさんに来てほしい」と言われていた方も、介護予防教室で地域の人たちと一緒に過ごすことで、「料理もできるようになった」と「できない」というこだわりから開放されるようになりました。人と人とのつながりの中で、互いが支えあう感がその人の力を引き出していることをあらためて実感させられます。
 居宅支援をするにあたって、その人が何をしたいのかについて、話し合うまでに時間がかかる方もいます。突然、保健師が訪問して、「何をしたいですか」とたずねても、応え様がないのは当然だと思います。保健師が自分にとって安全な人物かどうか、何をしてくれる人物か、これまでのような訪問だったら意味がないから期待していない方もいます。何度か話をしているうちに、ご自分の病気のことを話し始め、2年ぐらい経過した時に、突然保健センターヘ電話が入り、「作業所へ行ってみたい」といわれた方もいます。一緒に考え話し合いにいたると言うことは、ご本人が自分のことを話しても構わないという関係に納得されるまで、双方で時間がかかるのだと思います。私自身保健師においても、少ない会話からその人を知るまでに時間を要しているところもあります。
 
これからの課題
 社会的入院(長期入院)の人たちが、病院の退院計画と共に進められています。お会いすると、「地元に帰りたい」「家に帰りたい」と願う方がほとんどです。
長期入院により、町の様子や風景が変わり、その人たちが安心して地域で生活していくために、これから様々な施策への取り組みが重要な課題だと考えています。現在、高齢者を取り巻く介護予防について、住民の方々と共に議論しているところです。介護予防は、高齢者だけの課題ではなく、住民全体の課題だと思います。グループホーム、ホームヘルプサービスの整備等、その人がその人らしく、その人のある力が生活に生かせれる支援整備と同時に、なによりも住民同士の互いの支えあいや認め合いをいかに広げていくか、社会的孤立からの解放にむけてまちづくりを目指すことの大切さを痛感しています。
 
 
那賀川町の居宅生活支援事業の報告
(主に 精神障害者へのホームヘルプ事業の現状 について)
那賀川町健康福祉課
保健師 松尻 美智子
 
1.はじめに
 那賀川町は、徳島県の南部、県内第2の清流那賀川の河口に開けた平野ばかりの町である。
 人口は1万人程、国道バイパスが町の東部を横切り、住宅化がすすみ核家族世帯も増加している。
 町はボランティア活動が活発で、高齢者のための宅配弁当や障害者の作業所ボランティアの方々が活躍している。
 保健医療の面では、近隣市町に総合病院、精神病院、診療所、介護保険施設も多い。精神保健福祉制度では、14.12月末で手帳保持者7名、通院医療制度利用者38人である。
 町では平成12年度に保健所の主導でホームヘルプ試行的事業を実施し、13年度からホームヘルプを継続している。利用者は当初4名で始まり、現在は3名の方が利用しているが、12年度の開始時と比べると生活面、対人関係、健康管理などで自立度が高くなってきている。
 
2.ホームヘルプ事業と精神保健福祉支援の経緯
12年度
 
試行的事業でホームヘルプ研修会、評価会議実施、関係者会議で支援内容検討実施
 
  
8月  
利用者にアセスメント、ケア計画、ケア会議実施
 
 
9月
4名にホームヘルプ開始 保健師が同行訪問
 
 
3月
この事業の効果と評価実施 県、保健所が実施
13年度
 
精神保健福祉支援のための特定町村保健活動事業を3年計画で開始
 
 
(活動主体は保健所)協議会、実務者会、関係者会議、研修会などを実施
 
 
4月
町事業としてホームヘルプ事業継続 4名の方
 
 
8月
保健所管内の精神保健福祉法32条申請者で統合失調症の方を対象にアンケート調査実施、当町では訪問での聞き取りをする。ホームヘルプ事業などの開始、手帳申請について説明する。
14年度
 
4月
精神障害者居宅生活支援事業開始
 
 
 
3名の方(継続)がホームヘルプの申請、開始
 
 
 
ヘルパー、保健師の会議継続、ケア会議開催、精神保健啓発の講演
 
3.利用者および周囲との関係の変化
  12年度状況 14年度
Aさん49才
姉と同居
生活保護
統合失調症
保健所ディケア
ソーシャルクラブ利用
姉は関節症で長期に入院し、ほとんどひとり暮らし定期受診し症状安定、料理などの生活援助を希望 買い物で浪費すると姉が心配。
ホームヘルプ派遣 1回/週 当初、緊張気味の様子だったが、少しずつ会話が続き、みそ汁、お浸しをいっしょにつくる。家計簿勧める。
用事で、保健師に電話するようになる。
毎日入院先の姉の世話にかよう。定期受診継続。 ホームヘルプ1回/週継続
町、保健所の保健師に時々話しに寄る。
家計簿を継続し、無駄遣い減り姉から信用される。ヘルパーといっしょにできる料理も増えた。道の駅、喫茶店に立ち寄る。
Cさん40才
13年から単身
障害年金
県内に姉
統合失調症
仕事にいっている母親と同居
昼間一人で話し相手もなく朝ねて夕に起きる生活 症状安定、母親が病院に薬をとりにいく
相談相手と身辺自立援助のためホームヘルプ派遣
少しづつ会話が続く 野菜切りに挑戦する
13.9月母親心臓病で急死、姉が金銭管理し、民生委員、ヘルパー、隣の人、保健師で連携し、通院、服薬、掃除、ごみだし、料理など自分でするようになる。
昼は宅配弁当利用、ソーシャルクラブ参加、生活が規則的になる
 
4.今後について
 精神疾患での入院期間が短くなりつつあり、地域に精神科クリニックが増加している。
 今後、医療機関からの退院の受け入れ先として、地域にすみ、活動し、憩える場が必要ではないか。
 いろいろの支援内容があってその中から選択できることが理想と思うが、いまある制度を充分活用し、利用者と支援側がよい方向にすすめば、また双方が自信を持ちやる気になって、より快適な生活を工夫できる。
 今後、地域に住む精神障害者への関わりを深め、この事業を勧めていきたい。
 地域にある、作業所、ディケア、ソーシャルクラブ、生活訓練施設、生活支援センターよく知り保健所、医療機関、ホームヘルパーと連携し、家族の方々の思いや要望もお聞きしたいとおもう。







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