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2日目
第1分科会
「小規模授産施設への移行について」
NPO法人 全国精神障害者地域生活支援協議会
代表 大友 勝
 
1 小規模通所授産施設法定化の社会的背景
 
(1)小規模作業所を国としても「認めざるを得ない。」「無視できなくなった。」
 
(1)障害者の日中の活動の場、地域生活支援に一定の役割を果たしていること。国は、「地域に密着したきめ細かな福祉活動」として、作業所を評価している。
 
(2)地域生活支援の最大勢力、3障害併せて全国6千か所を越える作業所活動の重み。精神障害だけで1800か所、そして、今なお毎年100か所前後増え続けていることの意味。
 
(3)きょうされん、全家連、育成会、支援協議会等による運動の成果。
 
(2)社会福祉法改正の影響
 
(1)措置制度から利用制度へ。これにより、障害者が利用できる社会資源の整備が大きな課題となり、国は、小規模作業所に着目。精神保健課は積極的でない?
 
(2)具体的には、社会福祉法人の資産要件、授産施設規模要件の緩和によって作業所の法定化への道を開き、「作業所」に国が支援できる仕組みを整備することで、効率的な施設整備を図ろうとした。
 
(3)この社会的背景として、少子高齢化社会の進行、障害者を支えている家族(両親)の高齢化、介護能力の低下、単身障害者の増加傾向への対応ということがあった。
 
2 社会福祉法人(特例)の設立要件等について
 
(1)社会福祉法人(特例)の設立要件
 
(1)基本財産:
従来、 原則 土地・建物 法人自己所有
改正後、 1千万(現金・預金・公債・不動産)
(2)社会福祉事業:
(a)任意団体 作業所の活動実績 5年
(b)NPO 3年
(c)市町村が委託場合 任意団体(家族会)でも可
(3)運営組織:
(a)理事6人以上(b)監事2名(c)評議員 理事の倍数+1
 
(2)作業所の法定化 → 小規模通所授産施設(第2種社会事業)
 
(1)設備:作業室(静養室兼用可)洗面室 便所 食堂 面積基準なし
(2)職員:施設長(指導員との兼務可)生活指導員資格規定なし 適正配置
(3)利用者との利用契約:2003年 支援費の対象外施設
 
(3)運営費、施設整備費について
 
(1)1100万 国 1/2 県 1/4 市町村 1/4(政令市 中核市 1/2)
(2)施設整備費 上限 2400万 国 1/2 県 1/4 法人 1/4
(3)設備整備費 上限 800万 国 1/2 県 1/4 法人 1/4
(4)(2)、(3)の自己負担の内、80%は社会福祉医療事業団から融資が受けられる。また、借入金の利子補給は県の社会福祉協議会の助成がうけられる。
 
(4)この社会福祉法人で運営できる事業
 
(1)グループホーム
(2)地域生活支援センター
(3)ホームヘルプ事業
(4)相談事業
(5)作業所(当面はできないことになっているが、できる方向)
 
(5)メリット、デメリット
 
(1)メリット:法律に守られて事業展開が可能になる(税制上の優遇措置他)
(2)デメリット:各種規制がかかる。各種文書作成の事務量が増える。
 
3 小規模通所授産施設の制度化と作業所の今後の方向
 
(1)厚生労働省の作業所に関する方針
 
(1)作業所の小規模通所授産施設への移行の促進。
(2)作業所については、地域交付税の範囲で対応。あとは地方自治体へまかせる。
(3)国庫補助金の110万円は、削減の方向。
 
(2)110万円の国庫補助について
 
(1)基本的性格、家族会支援の団体補助金
(2)今後の伸びは全く期待できない。むしろ削減の方向。この8か月、880か所の箇所付け1割カット(88)提案(昨年は、40箇所削減提案があった)。
(3)全国各地の現場と結びついた運動、5団体の連携した運動展開の必要性
 
(3)この政策変化にどう対応するか。
 
(1)「家族会支援」事業としての作業所補助金という基本的位置づけの大胆な見直しが迫られているのではないか。
(2)この間、地方自治体は家族会にしか作業所補助金を出さない傾向があった。
(3)厚生労働省は、家族会支援として、110万の位置づけ。
(4)こうした位置づけと、やむにやまれぬ家族の思いが一体化し、家族会活動≒作業所運営の一体的運営がなされた原因。この事実をどう評価するのか。
 
(4)今後の方向
 
(1)小規模授産施設の移行を契機に、時代の変化に即応した家族会運動と作業所運動の新たな関係を創出する必要性がある。
(2)精神障害者を地域で支える仕組みを精神保健福祉法に基づく整備が課題。
家族会活動 要望活動 学習活動 相互支援活動 作業所運営
 
 
(5)課題整理のために
 
(1)家族会運動と作業所等福祉事業との関係
(2)法人の選択 社会福祉法人か? NPO法人か?
(3)法人を設立運営する人材はいるか。役所の人材を引き抜く。
(4)1000万円をどうやって集めるか。公有地の提供、その他。
(5)作業所と小規模通所授産施設と目的機能について
 
4 社会福祉法人設立と小規模通所授産施設への移行について
 
(1)法人設立に先立って、検討しておくべき事項
 
(1)地域生活支援のニーズの把握、将来の予測
(2)病院、クリニック、社会復帰施設等の社会資源の設置の状況
(3)国、県、市町村の政策動向、市町村合併の動き、市町村障害者計画の内容、担当者の意向は
(4)設立の目的、理念、戦略(中長期計画)人材、財政力等の点検
(5)責任活動圏域の設定
(6)保健・医療・福祉の連携の在り方
 
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5 おわりに
 
(1)厚生労働省「総合福祉計画」の策定と地域作業所
 
(2)社会福祉事業の財源をどこに求めるか
 
(1)支援費制度について
(2)介護保険制度へのリンクの必要性
 
平成14年度甲州・東海ブロック家族会
精神保健福祉推進活動研修会(山梨県大会)
社会福祉法人 夢の郷
小規模授産施設 いすず工房
施設長 倉田久美子
 
分科会「小規模授産施設への移行について」
 
1. はじめに 歴史
小規模作業所の成り立ち
それぞれの家族会によって設立・運営
多くの職種と連携して地域での社会生活支援機能発揮
 
2. 7年間の実践をとおして
いすず工房の事業概要
地域生活の要として
居心地のよさ
これからの作業所の方向
それぞれの思いを整理
気持ちを前向きに
 
3. 小規模授産施設「いすず工房」の新たな出発
法律が変わり、地域が変わる
それぞれの役割と連携
ケアプランによる社会参加・社会復帰
福祉サービス利用と契約
補助金10,999,920円の重み







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