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日本太鼓と学校教育―(11)
 
 このたび、群馬県では県教育委員会並びに県支部の主催により、8月1日(木)「群馬県教職員和太鼓実技研修会」が小中高の先生方が参加され行われました。本研修会は県支部の強い要請により、県教育委員会の正式事業として実施されたもので、先生方にも高い評価を受けました。各地の支部におかれては、この研修会を参考に県教育委員会等との話し合いを積極的に進め、日本太鼓の指導者育成に努めていただきたくお願い申し上げます。
 
―先生方に感動を与えた丸一日の太鼓実技研修会―
(財)日本太鼓連盟群馬県支部 支部長 上原 徳夫
 
「うわー本当に暑かった」「両手ともにマメがいっぱいだ」「身体中が痛くて、これじゃ明日は手が上がらないよね」などと受講生である先生たちの声。「こんなに出来ないとは思わなかったよね」「日頃の生徒たちの気持ちが分かるよね」などと話している先生方も。でも、どの顔も丸一日朝9時から午後4時まで一生懸命に太鼓を打ち込んだ充実感に輝いていました。指導者である群馬県支部のメンバー25名、生徒である小中高の先生方68名が「太鼓を打つ」という一つのことで一体となって、ともに汗を流し、声を掛け合い、熱い情熱が交錯するなかで素晴らしい連帯の雰囲気が生まれておりました。そして、あとで知ったのですが、研修会が開催された伊勢崎市は当日、猛暑の日本列島の中でも37.8度の最高気温を記録したということでした。どうりで暑かったわけだと語り草ともなっておりました。
 そもそも「群馬県教職員和太鼓研修会」が開催されるきっかけとなったのは、(財)日本太鼓連盟群馬県支部が前支部長の島田明子氏の死去に伴い、本年4月に再結束し、新しい一歩を踏み出し、地域に太鼓文化を広げていこうという気持ちからでした。財団の小野常務理事の助言と協力でとんとん拍子にことが運び、群馬県教育委員会の正式の研修事業という形で開催されるということになりました。早速、県総合教育センター総務調整部長の木村氏が私の自宅にお見えになり、詳細についての検討、打合せとなりました。しかし、センターの心配は募集しても受講者が集まらないのではないかということばかりでした。ところが申し込みの受付を始めるやいなや数日で178名の応募があり、先着及び抽選にて68名にしぼる有様でした。正直言って教育センターに対して鼻高々という気持ちでした。事実、木村氏もその人気の高さには、驚いたと言っていました。
 さて、次は実際の研修内容をどうしようかということになり、群馬県支部の中で打合せを行い、基本となる事項の確認を致しました。
 (1)参加して下さった先生方全員に丸一日太鼓を打っていただく。それには参加者の数だけ太鼓が必要となるので各チームが持ち寄る。
 (2)太鼓の打ち方はチーム毎にそれぞれあるが、当日は財団が定める基本打法に沿って講習に当たる。そのために1ヶ月程前に、1日をかけて各チームの研修会参加者に集まっていただき講習の打合せをする。
 (3)基本的な曲を1曲マスターさせる。千葉県太鼓連盟会長の宮崎氏に許可を得て「世明け」を練習曲として使用させていただく。
 当日は、全く計画通り研修が行われましたが、そこで良かったことは、楽譜を見せないで、ワンフレーズずつ曲を覚えていただいたということでした。受講生は音楽の専門家たちであるので、もし楽譜を先に配れば、その場ですぐにリズムは読み取ってしまうでしょう。しかし、それでは日本太鼓を習ったということになりません。手にマメを作って身体で覚えてこそ、初めて太鼓に触れたという実感を持っていただけると思ったからです。
 終了後、受講生は4チームに分かれ、1日の成果を確認しました。そして、最後に当日の講師である群馬県支部のメンバーの合同演奏を披露しました。気合の入った演奏に受講生から大きな拍手があったことは言うまでもありません。
 「今まで受けた研修のなかで一番良かった」「また、是非このような講習会を開いて下さい」「太鼓はどこで習えるのですか」などという言葉に、良い研修会が出来て良かったと心から思いました。今後も群馬県支部は太鼓を通じて地域文化に貢献していくとともに、各チームの研鑽に勤めていきたいと思っております。今後ともよろしくお願いを申し上げます。
(上原支部長による指導)
 
 
群馬県教職員和太鼓実技研修会に参加して
群馬県立高等学校 教諭 根岸久仁子
 
 今回の研修会は、私にとってとてもタイムリーな企画でした。今年の文化祭で是非和太鼓を取り入れてみたいと考えていたからです。前任校の熱心な先生に誘われ、教員の有志で和太鼓を叩いて以来、その魅力に取り付かれました。生徒と一緒になって和太鼓に取り組みたいという思いを温めていましたが、なかなか実行の機会が無く、それでも今年の文化祭には、と話し合いを進めていたところでした。全くの素人で、どこから手をつけてよいのかも分からなかったので、この研修会には大きな期待を持って参加しました。
 当日、会場へ行ってまず驚いたことは、太鼓の数でした。「こんなにたくさん!」と思わず叫んでしまうほどでした。そして参加者1人に太鼓が1つあてがわれ、1日みっちり実技研修が行われました。準備運動から基本の打ち方、曲の練習へと進み、昼食時には「手が震えて箸が持てないね」と参加した先生方で笑い合う状態でした。1曲仕上げて発表する頃には身体がくたくたでしたが、気持ちは充実していました。
 和太鼓の打ち方等、和太鼓団体によりかなり差があるというお話しで、講師の先生方も準備に大変苦労されたのではないかと思います。当日はたくさんのスタッフの方々に励まされ、また、親切にご指導いただき、今後のヒントもたくさんいただいて帰ってきました。特に、学校の現場ですぐに和太鼓を用意することは難しいことですが、地元の和太鼓団体に協力をお願いしてみることや、参加した先生から「和太鼓に取り組むなかで生徒が変わっていく」という意見もあり、何より私が前向きに取り組んでいく力をもらったような気がします。
 今回は参加希望者も多く、研修会に参加できなかった先生もたくさんいたように伺いました。今後も、是非このような研修会を続けていただきたいと思います。
(研修会風景)
 
群馬県立小学校 教諭 田村 理江
 
 林英哲氏の和太鼓コンサートに運良く行くことができ、そこで初めて生の和太鼓演奏を聴いた。単なるリズム楽器、お祭りでよく使われる楽器くらいにしか認識のなかった私は、そのコンサートでメロディーをも奏でる和太鼓の奥深い魅力に触れ、強烈な印象を受け、とても感動したのを覚えている。
 今回、同僚が和太鼓にはまっていて、誘われたこともあり、夏休みの研修として和太鼓実技研修会に参加した。希望者が多いなか、抽選で当たったので、またまた、ラッキーであった。
 1人1台の和太鼓を与えられ、最初はどうなることかと思ったが、太鼓連合の方々の熱心な指導により、ぐいぐいと「もっと叩きたい」という念にかられた。すぐに身体から汗が流れた。バチの持ち方、振り下ろし方、構え方など丁寧に教えていただき、「上手に格好良く叩きたい」と欲求は高まっていった。楽譜がある訳ではないので、耳と目、そして心で真剣に覚えなければならず、とても集中力が要求された。参加した方々と一つの曲を仕上げていくなかで、連帯感のようなものが生まれ、また、指導して下さる方々の和太鼓に対する熱い思いが、じんじんと伝わってきて、とても充実した時間を過ごすことができた。
 初めてバチを手にし、振り下ろしたり、叩いたりしたので、その日以降、3日は腕が上がらないくらい痛かった。しかし、日本列島で一番暑かった伊勢崎市で、さらに熱く燃えて、和太鼓の響きに浸ったこと、1曲を何とか最後まで演奏できたことは、私にとって、大変有意義な忘れられない体験となった。
 好きなものに全力投球する太鼓連合の方々は、本当に素敵だった。
 
(財)日本太鼓連盟関東地区協議会が誕生
 関東地区に所属する7支部(茨城、群馬、栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川)の代表が集まり、「関東地区に所在する支部と日本太鼓連盟との連携を密にするとともに、関東地区内会員共通の問題を協議し、日本太鼓の普及発展を図る」ことを目的に関東地区協議会が誕生しました。なお、役員構成は次のとおりです。
会   長:松本源之助(東京)
副 会 長:島田健次(神奈川)
事務局長:小澤勉(神奈川)
 
 
北海道において、初めての講習会を開催
〜第13回日本太鼓支部講習会(北海道道東)〜
(5級基本講座)
 
 第13回日本太鼓支部講習会が8月10・11日の両日、北海道釧路市観光国際交流センターにおいて行われました。今回は北海道で初めてとなる講習会でしたが、北海道各地から、5級講座に74名の受講生が参加しました。今後は北海道全土から参加者を募り、講習会を充実していきたいとの意見も聞かれました。講習会終了後、希望者による技術認定試験(学科、実技)が行われました。
○基本講座
5級基本講座(講師 古屋 邦夫氏)
       (講師 松枝 明美氏)
       (講師 塚原 鼓童氏)
 技術認定試験の結果は次の通りです。
 5級検定  72名受検  72名認定
 
2,796名が資格を取得
 2002年10月現在の公認指導員・技術認定員数は以下の通りです。
<公認指導員>
特別2名、1級23名、2級62名、3級l12名
総数199名
<技術認定員>
1級9名、2級44名、3級207名、
4級526名、5級1,811名、総数2,597名
 
第14回支部講習会(秋田県)の案内
期  日:
2002年11月9日(土)・10日(日)
会  場:
神岡町農村環境改善センター
講  座:
3級・4級・5級基本講座
申込先:
(財)日本太鼓連盟秋田県支部事務局
高橋江里子・清水礼子
Tel.0187-87-2600
Fax.0187-87-2601
 
第15回支部講習会(東京都)の案内
期  日:
2002年12月22日(日)・23日(祝)
会  場:
B&G東京海洋センター
講  座:
4級・5級基本講座
申込先:
(財)日本太鼓連盟東京都支部事務局
Tel.03-3904-1745
Fax.03-3904-9434
 
第15回日本太鼓全国講習会(千葉県)の案内
期  日:2002年11月23日(土)・24日(日)
主  催:財団法人日本太鼓連盟
主  管:財団法人日本太鼓連盟千葉県支部
会  場:のさかアリーナ(千葉県野栄町)
専門講座
銚子はね太鼓講座・・・宮崎義政氏(千葉県)
助六太鼓講座・・・今泉豊氏(東京都)
秩父屋台囃子講座・・・高橋利雄氏(埼玉県)
基本講座
総合指導・・・古屋邦夫氏(財団技術委員会委員長)
3級基本講座・・・安江信寿氏(石川県)
4級基本講座・・・松枝明美氏(長野県)
5級基本講座・・・鈴木孝喜氏(秋田県)
         羽土聡氏(岐阜県)
受講料:大人10,000円(会員9,000円)
     小人9,000円(会員4,500円)
参加費:宿泊する場合 一律12,000円
     宿泊・食事4食・記念写真等
宿泊しない場合 一律4,000円
     食事2食・記念写真等
申込先:日本太鼓連盟千葉県支部
     事務局長 越川昭一
     Tel/Fax.0479-22-7269
振込先:銚子郵便局
     口座番号 10550 61734081
     名義 財団法人日本太鼓連盟
     千葉県支部代表 宮崎義政







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