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第20号
[財]日本太鼓連盟
NIPPON TAIKO FOUNDATION
会報
発行・編集 2002年10月
        〒107-0052 東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル5F
        財団法人日本太鼓連盟 副会長 塩見 和子
        Tel.03-6229-5577 Fax.03-6229-5580
        URL:http://www.nippon-taiko.or.jp Email:info@nippon-taiko.or.jp
 
第4回日本太鼓全国障害者大会を岐阜県恵那市で開催
〜全国から出場の17チーム・273名が熱演〜
 
(伊豆医療福祉センターどんつく)
 
 日本財団助成事業として第4回日本太鼓全国障害者大会が、9月22日に岐阜県恵那文化センターにて、満員となる1,000名の観客を集めて開催されました。
 今回は、(財)日本太鼓連盟主催、岐阜県支部、社会福祉法人たんぽぽ福祉会主管、社会福祉法人富岳会協力のもと、厚生労働省、文化庁のほか、地元の岐阜県、恵那市等の後援をいただいて、行われました。
 今回は、療育的な見地から日本太鼓に積極的に取り組んでいる17チーム、出演者273名が一同に会し、代表者による体験発表と太鼓演奏が行われました。各チームの発表は、自分たちが障害を持ちながらも太鼓との出会いにより勇気付けられ、友情が芽生え、生き甲斐を見つけるまでの経緯や現在の心境を、時には手話を介して真摯に語られていたのが印象的でした。また、太鼓演奏は回を重ねるごとに演奏技術が向上し、なかには、健常者を上回るほどの素晴らしいバチさばきを披露したチームもありました。
 各チームの体験発表、演奏が終わるたびに、会場を埋めた満員の観客から惜しみない拍手が起こり、多くの方々に感動を与えました。
 また、回を重ねるごとに出演者の顔つきや態度が自信に満ち溢れているように見える、との感想が多くの人から寄せられ、財団としても嬉しく思っております。
 
来年は第5回目を記念して9月に東京・青山劇場で開催
 
 2003年の全国障害者大会は第5回目を記念し、また障害者団体からの強い要請により、9月6日(土)に東京の青山劇場で開催いたします。なお、宿泊場所は国立オリンピック記念青少年総合センター(東京渋谷区)を予定しております。各支部からの、積極的な障害者チームの推薦を期待しております。
(熱演に拍手する観客)
 
出演団体<17チーム>
●聴覚障害者チーム<7チーム>
 ・甲州ろうあ太鼓(山梨県)
 ・佐久ろうあ太鼓(長野県)
 ・はなだ太鼓(長野県)
 ・石川県立ろう学校中学部「風神太鼓」(石川県)
 ・岐聾響太鼓(岐阜県)
 ・播磨ろう者集団龍姫太鼓(兵庫県)
 ・伊予三島いわくら太鼓「鼓龍会」(愛媛県)
●身体障害者チーム<1チーム>
 ・伊豆医療福祉センターどんつく(静岡県)
●知的障害者チーム<9チーム>
 ・富岳太鼓(静岡県)
 ・静岡県立静岡北養護学校「北龍太鼓」(静岡県)
 ・金谷大井川川越し太鼓チャレンジチーム(静岡県)
 ・恵那のまつり太鼓(岐阜県)
 ・ファミリーユニット童鼓(岐阜県)
 ・岐阜県立中濃養護学校和太鼓部(岐阜県)
 ・豊里学園和太鼓鼓粋(大阪府)
 ・仁寿太鼓(島根県)
 ・糸口太鼓(大分県)
 
 
米国・ソノマの太鼓キャンプで米チームと交流
〜秩父屋台囃子の指導・第2回日米太鼓会議の開催〜
(小口副会長と田中氏による指導)
 
 今回、サンフランシスコ郊外のソノマにおいて実施される第3回太鼓キャンプ(講習会)に関し、当財団に対し指導要請があり、小口副会長、埼玉県の秩父社中(高野美由紀氏以下6名)を派遣しました。
 この太鼓キャンプには、北米を中心とした太鼓チームの代表者が集うことになり、米国における拠点作りを図るため、2000年11月サンフランシスコで開催された第1回北米太鼓会議に続き、第2回日米太鼓会議を太鼓キャンプ中に開催しました。
 また、サンフランシスコ太鼓道場(代表・田中誠一氏)から要請を受け、9月6日サンフランシスコ市内にあるアプトス中学校にて太鼓公演を行いました。小口副会長の挨拶に続き、秩父社中の演奏が始まりました。開演前から期待で盛り上がっていた生徒たちは、興味溢れる眼差しで太鼓演奏に見入り、中にはリズムにあわせて太鼓を打つ真似をする姿も見られました。演奏後には、秩父社中のメンバーの演奏にあわせて、実際に太鼓を打ってもらうという参加の場を設けました。希望者を募ったところ、ほぼ全員から手が挙がる程の人気で、太鼓に関心を持ってもらえたことを実感しました。
 9月7、8日の2日間開催された第3回太鼓キャンプでは秩父屋台囃子ワークショップの他、基本講座・中・上級講座(サンフランシスコ太鼓道場田中氏)、獅子舞講座(Nosuke Akiyama氏)、笛講座(太鼓座Marco Lienhard氏)、大太鼓講座(サクラメント太鼓団・東西和太鼓Tiffany Tamaribuchi氏)、太鼓表現講座(Kenny Endo氏)等が設けられました。
 秩父屋台囃子ワークショップの参加者からは「本物の秩父屋台囃子を体験することができて非常にうれしい」という感想が多くありました。高野美由紀氏の細かく分かりやすい指導、また、他のメンバーが受講生の間に入り、口伝の声出しをしたり、撥を一緒に持ったりと丁寧に指導することも、非常に効果的であったようです。
 また、小口副会長と田中氏のワークショップでは、小口副会長の熱の入った指導に受講生からは感謝の声がありました。「小口先生が作曲された曲を、先生ご本人に指導していただけるなんて光栄です」「小口副会長の温かいご指導忘れません」など、多くの受講生にとって貴重な体験になったようでした。
 第2回日米太鼓会議は太鼓キャンプ中の限られた時間での開催となりましたが、カリフォルニア州をはじめ、テキサス、ニューヨーク、ハワイ州、またカナダ、イギリスから32名もの太鼓チーム代表者が集まり、当財団の事業活動内容の説明、アメリカ太鼓連盟(仮称)設立の可能性について討議が交わされました。会議後も、財団役職員を見つけては質問に来る出席者もおり、財団に対する関心の高さを伺うことができました。アメリカ太鼓チーム代表者は、これからも日本の伝統・創作太鼓チームの演奏、指導並びに日本の太鼓に関する情報を強く望んでいます。当財団としても、その要望に応え、今後も相互の交流の場として、この会議に協力していきたいと思っております。
 今回の太鼓キャンプでは約200名の参加者が集い、アメリカにおける日本太鼓の人気の高さを再認識することができました。
(秩父屋台囃子ワークショップ)
 
<派遣メンバー>
<秩父社中>
高野美由紀、高野美和、加藤武信、町田寛尚
児玉貴志、大場啓
<財団法人日本太鼓連盟>
小口大八(副会長)、小野巽(常務理事)
碇多香子(職員)、松村静香(職員)
 
 
アメリカ太鼓キャンプに招かれて
秩父社中 高野美由紀
 「アメリカで秩父屋台囃子を教えてもらえませんか」というお話を(財)日本太鼓連盟からいただいたときは、ちょっと驚きました。海外でも日本太鼓をやっている人が大勢いることは知っておりましたが、「屋台囃子」が非常にポピュラーで人気のある曲であるのは初めて知りました。ただ、あちらで普及しているのは本来の「秩父屋台囃子」と異質のもので、本当の日本伝統文化である地元保存会の指導を希望する人が多数いるとのことでした。
 講習会はサンフランシスコ郊外のキャンプ場で行われ、全米はもとより他国からの参加者もいる程の盛況ぶりでした。太鼓が好きで好きでたまらないといった人々が自由時間にも太鼓を打ちっぱなしで、夜中1時過ぎになっても、その音が止むことはありませんでした。とにかく、がむしゃらに打ちまくるといった感じです。太鼓への強い情熱に触れ我々も初心に帰る思いでした。また、人柄も素晴らしい方ばかりで日本式の礼儀作法も完璧なのです。そして、さらに今後は「良い音を出すこと」に気を配って欲しいと思います。彼らの多くは「大きな音で力強く打つ」のみが太鼓の理想であると考えているそうです。それも大事ですが加えて日本太鼓の「ドーン」という素晴らしい響き、表現により魂を揺るがす演奏をしていただきたいと願って止みません。
 終わりに、このような貴重な素晴らしい機会を与えて下さった日本太鼓連盟の皆様、特に同行して一方ならぬお世話をおかけした小口副会長、小野常務、事務局の碇様、松村様に心よりお礼申し上げます。また、現地サンフランシスコ太鼓道場の田中誠一先生他スタッフの皆様にも深く感謝申し上げまます。
(第2回日米太鼓会議)
 
 
アメリカ太鼓キャンプを終えて
太鼓キャンプ実行委員長 John Rocheleau
 (財)日本太鼓連盟におかれましては、第3回太鼓キャンプに関心を示していただいたうえ、ご参加いただきましてありがとうございました。大変嬉しく、また光栄に思っております。
 特に小野常務には、(財)日本太鼓連盟を代表して、お忙しいなか私たちとの会議を設営してくださり大変感謝いたしております。参加した北米太鼓チーム代表者から、北米太鼓組織の設立準備をしていこうと、満場一致で同意を得られたことを嬉しく思い、この組織の今後の発展を楽しみにしております。日本と北米の太鼓チームの交流が多くなることにより、これから長年に渡りお互いを知っていく機会が増えると思います。
 また、小口先生に心から感謝しております。私にとってこのキャンプで一番印象に残っているのは、小口先生が活気あふれ、愛情、情熱をもってワークショップで教えていらっしゃる姿でした。9月7日夜の小口先生の演奏は、忘れることができない、まさに感動といえるものでした。
 高野先生と秩父社中の皆様に心よりお礼を申し上げます。秩父社中のワークショップは参加者の間で大変好評を博しており、多くの参加者から「すばらしかった」との声を聞いております。
 また、この太鼓キャンプのための準備をしてくださった碇さんと松村さんに感謝しております。昨年の北九州での日本太鼓フェスティバル以来の再会と、また一緒に仕事をすることができたことを嬉しく思います。皆様方には、遠路はるばるおいでいただきまして、本当にありがとうございました。
 
日中国交正常化30周年記念日本太鼓公演
 今年2002年は日中国交正常化30周年にあたります。日中文化交流として、ゆふいん源流太鼓(大分県支部)、共栄太鼓風雅(石川県支部)を2002年10月17日から29日にまで中国へ派遣することになりました。通常、クラシック等の西洋音楽が中心の北京音楽祭において、民族音楽としては初となる太鼓の演奏が行われます。また、北京大学、広州においても太鼓公演を実施いたします。併せて、韓国は大邱(てぐ)で、在釜山日本総領事館からの要請を受け、太鼓公演を行います。







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