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0220
室岡拓弥
『あこがれ』に乗って
 親から、「行ってみないか?」と聞かれた時は、「まあ、面白そうだから行ってみるか」という程度の軽い気持ちでいた。行く前は、「ゲームができない」とグチをこぼしていたけれど、散々友達に自慢していた事を考えると、とても楽しみにしていたんだと思う。募集人数は35人と聞いていたし、パンフレットの写真を見ていたので、初めて『あこがれ』をみた時には、「大きい」とも「小さい」とも思わなかった。
 そして、出発式の時は、慣れない早起きと、2時間のドライブの車酔いのせいで、まぶたが鉛になっていた。ニックネームをちやんと考えていなかったので、乗船してから急きょ「たくぞう」に決めた。今思えば、安易で変な名前だったと思う。ほを張る時には、ロープを大量に使った。どのローブが何という名前か覚えようとしたけれど、覚えられなかった。たぶん他の人は、こんな事をしている程ひま人じやなかったと思う。
 その後、昼食だった。弟はご飯をほんの少し、自分は野菜以外の物を普通程度に食べた。次に、ライフジャケットの使い方の説明があった。中に発砲スチロールのかたまりが入っていて、ジャケットよりはマクラに使うべきだと思った。その後に、ロープワークをした。ほとんど出来たけれど、ボールだけはできなかった。このロープワークはなかなか楽しかったので、ひまな時にメスルーム(食堂、集会所)でロープワークの本にのっている結び方を練習した。
 そしてついに、マスト登りの時間がきた。「落ちたくない、落ちたくない」と念仏のように心の中で唱えながら、人一倍真剣に登り方を聞いた。登るための足場は初めの3、4段は木でできているけれど、そこから後はロープになっている。高いことだけでも怖くてしょうがないのに、その上足場が不安定、さらに「ひじを伸ばして、体をロープから離せ!」との指導付き。上に着いた時も、下に降りれた時も同じくらいうれしかった。
 夕食(やはり野菜以外)を食べて、自己紹介をした。クルーのみなさんの自己紹介は面白くて、聞いていてあきなかった。自分が自己紹介をした時は、本当の事だけを言って、そこにいた8割の人を笑わせた。
 翌日、デッキみがきをした後、なぜかカブトムシが捕まった。船上運動会は、かなり本気になってやった。しかし、台風のせいで中止になった。おかげで、土砂降りの中でロープを引っぱらなくてはならなかった。中止になった運動会のかわりにクイズ大会が行われた。自分たちのワッチ(グループ)が優勝した。
 また来年『あこがれ』が来るらしいので、今度は酔い止めなしで乗ってみたい。
マスト登り、最後の難所
 
0220
小野真寿美
帆船『あこがれ』に乗って
 直江津港から、たくさんの人に見送られて出港しました。気分が良かったのは数時間だけ。次々と船酔いでダウン。すぐに私も仲間入り。情けない。
 楽しみにしていたマスト登りも断念。戻ってきたみんなは「良かった」と嬉しそうでした。でも、次の日の朝に登る事ができました。本当に気分爽快でした!!
私がいたワッチ「リゲル」はタカさん率いる8人。このメンバーで、二日目にあった「ワッチ対抗運動会」はすごく楽しかったです。途中、天候が悪化し中断。船内に入るとまた船酔いで、みんなが雨の中で畳帆しているのに参加できませんでした。今考えても、もっとがんばれたと後悔しています。
 三日目は台風のせいで、午前中に輪島港に到着。『あこがれ』のクルー、ワッチ・オフィサー達との別れ。もっといろんな話を聞いたり、いろんな事を教わりたかったです。
 帰りのバスの中はまるで遠足でした。禁止されていたジュースやお菓子を食べたり、学校での事や将来の夢の話をしたりしました。話をしている時、本当にきらきらして見えました。
 会ったばかりなのに、マストの上で口げんかしていた子達。船酔いしていた私を気づかってくれた子。ずっと「大丈夫?」じやなく、「がんばれ!」と言ってくれたタカさん。そんなみんなに出会えて、そして帆船での貫重な体験をして、本当に参加して良かったです。
 小・中・高校生のみんなにはもちろん、私と同い年くらいの人達に参加してみて欲しいです。そして、今までにない体験と、たくさんの発見(自分より若い子達からの)をしてもらえたらと思います。忘れかけていた何かを思い出すかも!?
 このセイルトレーニングは、24才夏の最高の思い出です。また、みんなに会える日を楽しみにしています。







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