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[寄港地(2)]佐渡・宿根木村(しゅくねぎむら)―1
 
幕末の廻船集落・佐渡郡小木町宿根木(おぎまち・しゅくねぎ)
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宿根木は、入江の浜に向かって6筋の小路(こうじ)が組まれている。また台地から谷に下りる坂は4箇所あり四坂(しさか)と呼んでいる。
 
●船持ち(ふなもち)(船主(ふなぬし))と船大工(ふなだいく)の村・宿根木
 佐渡の宿根木村は16世紀末頃より廻船業が栄えた村で、経営者である船持ちと船乗り、船大工が谷あいに密集して暮らしてきた。近世に入ると船持ちたちの船は近くの小木港(西廻り航路の主要港の1つ)に停泊するようになり、村の浜は船大工の造船所としても使われていた。宿根木で造られていた北前船は700石以下の中型船であった。
 天保期の1830年ごろになると、120世帯が谷あいに暮らし、船持ちが9戸・船頭3戸、水主(かこ)27戸、船大工13戸あり、13艘(そう)の船を持つ北前稼ぎと造船業の村となっていた。船数の割に船頭が少ないのは、船持ちが船頭を兼ねていたからである。
 
●残されていた板図
 村の船大工の納屋に約50枚の板図が残されていた。200〜700石の弁才船が多数含まれている貴重な資料である。現在、宿根木の博物館に保管されている。
 
村内の風景・称光寺川と小路、石橋の石材は北前船が瀬戸内海より運んできたもの
 
復原された石置き木羽葺(こばぶき)屋根
 
Shukunegi,The Village of Ship-owners and Shipwrights
Shukunegi of Sado Island was a small village that prospered in shipping agency business. The ship-owners, the sailors and the shipwrights lived close together in a small valley there.
The ships were anchored at the nearby Ogi Port, one of the main ports on the westward route. The beach of Shukunegi was used as a dockyard.
 
[寄港地(2)]佐渡・宿根木村―2
オマエ(広間)からシタノザシキ(右)とナンド(左)を見る。赤く光っているところが溜塗(ためぬり)部分。宿根木・清九郎宅(旧・有田久四郎家)にて
 
船持ちの暮らし
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●船持ちの暮らしと経営
 宿根木では、2艘の船を持ち父親が船持ちとして廻船業を経営し、長男と次男がそれぞれの船の船頭を務めるのが理想の海運業であった。家によっては船持ちが船頭を兼ねる場合もあり、父子でそれぞれ船頭を務めることもある。いずれも家族経営が基本であることを、この民家の間取(まどり)が知らせている。
 間取を見ると、1階と2階で3室のナンド(各家族の寝室)がある。1階が経営者である父親夫婦の寝室で、2階には長男、次男の両船頭の寝室と居室があった。船持ちの家の2階には大座敷があり、ふるまいなどの宴会に使っていて、経営の仕方がよくわかる間取になっている。
 
The Room Arrangement of The Ship-owner's House
The typical family of Shukunegi was like this: a family owned two ships. The father managed the shipping agency business and two sons served as the master of each ship. The family house had a main bedroom for father on the first floor and those for his sons on the second floor.







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