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無題
2001年9月
 
 今 教育相談に携わっています 相談の中でも不登校については長期に関わる事が多くあります 早期に気づいたら何とか立ち直ったかもと思うこともしばしばです 
 なにも学校に復帰させることだけが・・・と言う声も聞きます 以前から見るといろいろなアプローチのし方をそれぞれの方面の方々が努力実践しているのだから・・・
 最近 ひきこもり という言葉で 義務教育を過ぎた人たちの 社会(対人対物・・・)に関わることがやれない人に関心が出て来たことも 大切にしたいと思います
 不登校は 最近の報告では中学校107910人 小学校26372人 合計134282人 前年より400人多く 中は38人に1人小279人に1人とのこと
 ひきこもり は年に相談件数が6000件とあるが家族または本人が だれにも相談できずに なすすべもなくもんもんとしている件数は考えられない数なのでしょう
 そして 果ては 家庭内暴力 自傷 社会暴力と事が起きて大騒ぎしている そうなる前に 手をとりあっていければ
 相談を待っている だけでなくもう少し中に入っていきたいと思っています。
 辛いことや問題だとおもうことはなかなか人には言えないものです。特に精神障害的なことは 遺伝するとか 治らないと決めつけられて悪い印象を植え付けられて来ました
 以前から思うと関係機関はたゆまない努力で改善してきました例えば○○クリニックと名称を変えて通院しやすくしたり 松沢病院が総合病院にするなどしたりして
 学校教育でも高校の家庭科で「生きる力」として友人や家族と良好な人間関係を築き自分の人生を自分で決める意志決定能力を扱おうとするなど、目を向けてきていますがまだまだ改善していかねばならないことがたくさんあります
 家庭・家族のありようもこの目まぐるしく変わった社会の変化に翻ろうされています
 先日 ある学会の「引きこもりの子が切れるとき」という分科会 に参加してみました 直接話し合う事が少なくなった家族 小さい時からの家族のやりとりがいかに大事かを 講師 が力説していました
 いずれにしても 個人が問題障害をどうこう出来ることではないでしょう。
 身内にも知り合いにも手を差し伸べねばならないものが多くいますが なすすべの見つからない人達と互いに手を取り合って生きていて良かったと喜べたらと思っています
 まず 医療面の必要なケースはその専門に願って 今のところ出来るのは 不安を聞く(話してくれればですが)関わって 話し合えるようになったらいいなとおもいます
 自分がだせるようになれば少しずつ不安が少なくなるかも・・・そして活動出来る目標場があれば・・・このことはやはり個人では難しい・・・そのような所が増えるといい
 不登校の子供達 ひきこもっている人達 が来るのを待っているのではなく こちらから訪問して 自分を表現し生きる力を付けていってくれるといいなあと思います
 
「拒食症」を考える
 最近の傾向として、「いじめ」「家庭内・校内暴力」「学級崩壊」「不登校」といった外へ向かういわゆる問題行動から、内へ向かう「拒食症」「引きこもり」が増加しているといわれている。さらにいえば、家庭のあり方や親への大きな不満が生じたとき、非行や家庭内暴力などに向かえない女の子が「拒食症」に、男の子が「引きこもり」に向かう傾向が多い。ちなみに、「拒食症」になる男の子は女の子と対比して、1%位と推計され、圧倒的に女の子に多い。
 まだまだ、「拒食症」とダイエットを同じように考える無理解な人も多い。そのためか、原因、きっかけとして、ダイエットをあげる専門家も多い。しかし、ダイエットは、「拒食症」の引き金にすぎない。
 「食べない」「やせてくる」といった外見的な点では共通しているし、区別はつけにくい。だから、前述したように、ダイエットの行きすぎが「拒食症」と思っている人が多いのかもしれない。しかし、両者の心の状態には天地ほどのひらきがある。
 ダイエット志願者は、「やせて美しくなりたい」「肥満を解消したい」といった「やせる」という目的をもって始める。結果はともあれ、そこには、「目的を達成したい」という前向きな心の状態がある。きわめて単純な心理といえる。ところが、「拒食症」の場合は、やせることは結果であり、必ずしも目的ではない。また、「拒食症」には、強いメッセージがある。その内容の究明、判断が「拒食症」の治療にとって重要だと思われる。つまり、「拒食症」は、「心の病」なのである。
 かつての人気歌手、カーペンターズの妹・カレンは、母親が兄ばかりかわいがるのが不満だった。「もっと私を愛して」と叫ぶかわりに、食事を制限する行動にでた。そして、不幸にも「拒食症」に陥り亡くなったのは、有名な話である。この症例からもうかがえるように、「拒食症」には、つねに生命の危険がある。さらに、拒食症者の死亡率が20%を示すデータもある。死亡原因としては、食べないことで起きる内臓の機能障害、突然死と自殺が大半を占めている。つまり、かなり危険度の高い病気といえる。
 「拒食症」は、父子関係から生じることはほとんどない。先に述べたように、母子(特に娘)関係から生じている。だからといって、母親の育て方、関わり方に原因をすべて収斂でできるほど単純ではない。現在、さまざまな原因がいわれ、治療法についてもいろいろあるが、決定的な原因、治療法はまだ見つかっていないのが現状といえる。
 
 私が知る女の子は、中2の夏休み頃から「拒食症」の症状が顕著に現れてきた。あとになって分かったことだが、原因はカレンと同様、母親への「愛情飢餓」であった。モントレー療法をふまえて、カウンセリングと家族療法、栄養指導療法を組み合わせての治療を行った。1年余に及ぶ治療、2度目の入院でも回復の兆しはまったくなかった。生理も止まり、45キロあった体重が、15キロ減の30キロにまで落ちてしまった。標準体重の60%を切るのは、時間の問題であった。まさに、生命の危険が迫っていた。
 回復のきっかけは、意外なところで起きた。母親は骸骨のようにやせ細り、見る影もなくなった娘さんを前にして、「なんてかわいそうな子なんだろう」という愛しい気持ちが、心の底から初めて湧いてきた。そして、母親が娘さんに今までにないくらいの愛情を注ぎ始めたその日を境に、回復へと向かっていった。その後しばらくして、過食症の兆候が現れたが、高2の夏休みには、完治するまでになった。
 
 ところで、「過食症」になった場合、病院の何科へ行ったらいいのだろう。この母娘はまず小児科へ行った。その後、内科、専門病院に通院して治療を受けていた。しかし、治療の殆どは栄養補給と栄養指導であったという。
 この症例では、母親と娘さんとの関係改善が、大きな治療効果をあげたといえる。その関係改善にもっとも関わり、大きな影響を与えたのが、母親へのカウンセリングであった。「娘さんをもっともっと愛しなさい」「お母さんが変わることですよ」等のカウンセラーの言葉は、母親の心に大きく響いていった。そして、ある日、心の底から娘さんを愛することができる母親に変わった時、娘さんも回復へ向かい始めた。
 この症例に見られるように、生命の危険が伴う病である以上、病院での身体への治療も不可欠である。栄養指導も大事である。しかし、「拒食症」が心の病であるからには、母親と娘さんの関係と心の問題を解きほぐし、改善しない限り、根本的な回復、完治へ向けての治療にはなりえないと思う。
 
 以上、簡潔に述べてきたが、原因も治療法もこれからという「拒食症(過食症を含めた摂食障害)」には、ますますカウンセリングが重要になってくると思われる。「拒食症」が心の問題(病)であるならば、本人と家族への丁寧なカウンセリングによって、「なぜ拒食症になったのか」「どうすればよいのか」といった原因と対策を探り、それぞれの症例にあわせた治療法がますます求められてくると思われる。そうしたニーズに応えられるようなカウンセラーを目指し、さらに研鑽と経験、実績を積み重ねていきたい。
 
<参考文献>
『あなたの大切な人が拒食症になったら』ペギー・クロード・ピエール著 新潮社
『娘の拒食症をもうして治した!』麻生洋子著 第三文明社







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