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筋トレエアロビクスと私
 
佐藤元日
(学)竹田南高等学校(大分県竹田市)
 学力偏重教育の中で取り残されようとしている子どもたちを対象とした課程に力を入れ、県外からも広く生徒を受け入れて社会に適応できる力を養うべく教育活動を行っています。
 
 生徒と同じ寮に住み込んでの生活指導のほか、学校内では授業や実習の補助活動、学校外では福祉施設等での活動などを行います。
 
 まず始めに、私がいくつかあるボランティア派遣場所の中からなぜ、竹田南高等学校を選び、選択したのかを簡単に述べたいと思う。私は高校を卒業してから自衛隊に入隊し、自分よりも年上の人と関わることが多かった。自衛隊を退職した後に入学した福祉専門学校でも、お年寄りが対象ということもあり、年下の人と関わることがほとんどなかった。20才の時に、スポーツジムのアルバイトを1年間経験した。水泳のインストラクターとして、幼児、小学生クラスを受け持たせてもらった。その時に、強く心にショックを受け、むなしさを感じたことがあった。それは、幼児クラスに参加している、ある一人の子に言われた、何気ない一言であった。
 幼児クラスでは、プールに入る前に「あひる体操」という笑える体操がある。私がその体操を笑顔で進めている時に、「先生、笑顔がひきつっているよ」という言葉が私の耳に入ってきた。その後よくよく考えてみると、むなしさで気持ちが一杯になった。このむなしさはなんだろうか?と悩み考える日々が続いた。その後、お年寄りや知的障害者の方たちと関わりをもっていく中で、いかに自分自身の笑顔が今まで作り笑顔であったかということを心から感じ、発見することができた。
 そんなときにボランティア365を知り、興味を持った。今までは自分よりも年上ということもあり、相手に合わせることばかり考えてしまって、それこそ作り笑顔をしていたことがほとんどであった。そのため笑顔といっても自然と作り笑顔になってしまっていたのではないだろうか。子どもたちの純粋な笑顔と関わることによって、自分自身の笑顔も変えることができるのではないか、発見できるのではないだろうか、と感じた。
 子ども分野の活動先はいくつかあったが、私は寮生活という言葉に心ひかれた。寮とは、ただ寝泊まりをするだけではなく、日常生活を通していろんなことを生徒たちといっしょに学び、経験できる場所であると私は考える。嬉しいこと、楽しいこと、嫌なこと、苦しいことなど、様々な感情を同じように感じることができる。何より、生徒たちと関われる時間が多く持てるというところが、最大の魅力だと思った。竹田南高等学校という場で、今まで関わりを持つ時間の少なかった年下の人間、人たちとたくさんの時間を共にし、そして、相手に合わせるだけでなく、自分が楽しみ、ひきつりのない自然な笑顔を出せるようになりたい、感じたい、学びたいという思いがあり、希望に至った。
 
 それでは今までの活動を振り返ってみたいと思う。活動を振り返り、自分にとっての自信へとつながったことは、やはり筋トレエアロビクスという存在である。私自身が365に参加する前までにしてきた筋肉トレーニングやエアロビクス、柔道などの知識を充分に活かすことができ、また、生徒たちもそれを必要としてくれたことは心から嬉しいことであった。筋トレエアロビクスは、肉体改造、脂肪燃焼という二つの言葉を土台にし、肉体面ではもちろん、精神面での向上を目的としたプログラムである。竹田南に通う生徒たちを初めて見たときに、正直、肉体面でも精神面でも弱さを感じた。特に、精神面における我慢強さが足りないと、とても感じた。少しでも自分にできることで、パワーアップさせることができないであろうか、と考え思いついたのが、筋トレエアロビクスであり、始めるきっかけであった。
 最初はやはり、筋肉トレーニングとエアロビクスを合体させたプログラムに、最後までついてこれる生徒は一人もいなかった。それは当たり前であるが、ここで一番分かってほしいことは、続けることの大切さを知り、その大変さを体で感じ取ってほしいということである。また、筋肉はトレーニングを続ければ必ず結果が出て、自分自身への自信につながる、ということを伝えたい、分かってほしいという思いで、前期は取り組んできた。前期のお疲れ会では、明らかに一人ひとりが肉体的にも精神的にもパワーアップし、成長している姿を見ることができた。生徒たち自身も、弱々しい体から逞しい体つきに変化した自分の姿を見てびっくりしている様子や、やればできるんだと感じ取ってくれた生徒もいた。それはとても嬉しいことであり、私自身の自信にもつながった。
 文化祭での、筋トレエアロダンサーズによる「仮面舞踏会11」では、あえて3年生を対象としメンバーを作った。それは、3年生同士のつながりが薄いと思ったからである。本人たちはそれほど感じていなかったと思う。皆が一つになり、同じ目標に向かって全力で頑張る楽しさ、大変さ、苦しさ、嬉しさなどを感じてほしかった。そして、頑張ってきたからこそ感じることのできる充実感、達成感を心から感じてほしい。そうすれば必ず今までとは違ったつながりが生まれてくるのではないかと私は思い実行した。その結果がクリスマス会へとつながったと心から思える。クリスマス会での筋トレエアロダンサーズによる「仮面ゾンビ・サーカス」では、3年生の結束力が強まったからこそ、1、2年生を加えた計22名での迫力あるステージダンスを披露することができたのだと思う。3年生の結束力が弱ければ、1、2年生もまとまらず、バラバラになっていたことは間違いないだろう。3年生自身が一番分かってきたのだろうと私は思う。目標に向かって皆で頑張る楽しさ、その後に必ずある充実感、達成感を。その時私は心から、皆が逞しく輝いて見えた。
 私自身もこの筋トレエアロビクスをすることによって、今まで感じることのできなかった楽しさを痛感できた。そのおかげで、作り笑顔だった笑顔が自然に出る、素の笑顔になっていた。また、写真などでも違いに気づき、周りの人たちからも、「本当に楽しんでいる笑顔だね」と言ってもらえるようになった。私は思った。今までの作り笑顔は、自分の感情に我慢、無理をしすぎていたことはもちろんあるが、心から楽しんでいなかったからこそ、ひきつってしまっていたのだと。
 その時から、ひきつらない笑顔を出すためにはまず、自分が楽しむことがとても大切だと思ってはいたが、なかなか実行することができなかった。しかし、筋トレエアロビクスでは、自分が中心となりメニューも考え、進行していかなければならないという役割がある。自分の気分次第で確実にその場の雰囲気も変わり、参加している生徒たちにも伝わってしまう。いかに楽しく、面白いプログラムにできるかを考えていくうちに、自然と自分にも思いっきり楽しみ、それを伝えられる能力、技術が身に付いてきたのではないか、と実感してきた。それは生徒たちが、自分がしてきたことに対し、その都度その都度、返事を返してきてくれるからだと思う。
 
 私が竹田南高等学校でのボランティア活動を通して感じていることは、中途半端に関わるのではなく、どっぷりと浸かり全力で生徒たちと向き合う大切さ。中途半端に関われば、それだけ生徒たちも自分に対して、中途半端に関わってくる。薄い関わりになってしまうと感じた。笑う時や怒る時、嬉しい時や苦しい時など、感情の一つ一つを思いっきり生徒と共に感じることがとても大切なのだと、改めて痛感しているところである。
 
[22歳/神奈川県出身/専門学校生(卒業)]
 
児童養護施設における
子どもたちのくつろぎの空間
 
森田裕子
(福)神戸真生塾(兵庫県神戸市中央区)
 さまざまな事情で家庭で暮らすことができない幼児から高校生まで、約50名が生活しています。神戸市中央区に位置し、創立112周年を迎える歴史ある児童養護施設です。
 
 主に幼児を対象にした、朝食や登園、昼寝の援助、また小学生の学習指導、遊び相手、夕食の準備など日常生活のサポートが活動の中心です。また、キャンプなどの行事の企画や運営も行います。
 
1. はじめに
 児童養護施設とは、様々な理由によって家庭で親が育てられない児童が入所し、共に生活している場である。入所に至る理由には、父母の養育困難、父母の行方不明、就労、入院、また近年増加している虐待など、多種多様である。様々な背景をもつ子どもたちは、傷つき、時には大人との関係に疲れ果て、入所してくる。そんなこどもたちにとって、施設での生活は、家庭に取って代わるものである。そして、その生活は、どの子どもたちにとっても安全で、安心して暮らせる場でなくてはならない。
 今回、「安心して暮らす」という中で、子どもたちの心の安心に注目してみた。施設での日常の生活の中で、くつろげる空間や心の落ち着ける場の必要性とは、どのようなものか考えてみた。
 
2. 神戸真生塾の現状
 神戸真生塾は、平成14年10月、同敷地内に児童棟が新築され、以前の建物より子ども個人の空間は拡大し、共有する空間、要するに、リビングやダイニングも明るく広々とした空間となった。空間の変化に伴い、子どもたちの生活内における落ち着く場、くつろぎの場はどのような所にあるのだろうか。
 真生塾の子どもたちの暮らす児童棟には、幼児男女、学童以上の男子、学童以上の女子の、大きく3つに分かれている。学童以上の部屋は、10名前後が生活を共にしている部屋が4つある。
 以前の児童棟では、学童は1つの部屋に7人前後が同じ部屋であった。部屋の中には、学習机が所狭しと並び、2段ベッドもあった。それらを置くと残りの空間は、人が移動する程度しかなかった。子どもたち個人の空間の確保はかなり困難であった。中学生以上になると、部屋の狭い空間をカーテンで仕切っていた。高校生は、屋上にある個室で生活していた。ダイニングには、空間一杯にダイニングテーブルが置かれ、全員が座るとギリギリという所だった。そして、ダイニングから続く居間も8畳ほどであった。子ども1人の空間は非常に狭く、ギュウギュウ詰めといった感じであった。
 新しく建てられた児童棟は、玄関から続く通路に学童以上の子どもたちの部屋があり、扉を開けると、リビングダイニングにつながっている。連続した明るく、広い空間となった。またその奥にも子ども部屋がある。それまで男女の大浴場のみしかなかったお風呂も各部屋毎に設置され、より一般家庭に近い作りとなった。子ども部屋は2〜4人部屋になり、子ども1人ずつにベッドと学習机と棚、そしてクローゼットが行き渡った。また、中学生も個室になり、中高生専用のテレビなどを見るための空間が作られた。子どもたちは、このように新しい空間の中で、自分の心が落ち着く場所を見つけることができたのだろうか。子どもたちの現在を調べてみた。
 
3. アンケート
 アンケートは、学童以上の男女からの回答である。
 協力してくれた子どもたちの内訳は、以下の通りである。
 男子学童11名、男子中高生5名、女子学童14名、女子中高生5名、の合計35名である。
 尚、括弧内の数字は、(学童の回答数、中高生の回答数)である。
 
○真生塾内で、くつろぎを感じたり、落ち着く場所はどこですか。
 
自分の部屋・・・(6名、8名)
お風呂・・・(7名、2名)
リビング・・・(5名、0名)
少数意見の中には、他の子どもの部屋などの回答があった。
 
○1日の中で番くつろぎを感じたり、落ち着くなあと感じる時間はいつですか。
 
テレビを見ている時間・・・(10名、0名)
お風呂に入っている時間・・・(6名、2名)
趣味の時間・・・(3名、4名)
寝る前後の時間・・・(2名、2名)
少数意見の中には、夕食時や、自分の部屋にいる時間などの回答があった。
 
○真生塾内で、誰といる時、落ち着きを感じますか。
 
子ども同士・・・(11名、4名)
大人(職員)・・・(8名、2名)
1人でいるとき・・・(6名、4名)
大人と答えた学童は、女子が7名、男子が1名という結果となった。
 
○現在の建物と、以前生活していた建物、どちらが落ち着きますか。
 
現在の建物・・・(20名、5名)
以前の建物・・・(5名、5名)
〜理由〜
(現在の建物と答えた子どもたちの理由)
「きれいだから」、「ゆっくりできる」、「6人部屋から2人部屋になったから」など
 
(以前の建物と答えた子どもたちの理由)
「新しすぎて落ち着かない」、「以前の建物には思い出があった」、「新しい家は、自分の部屋にいたら少し淋しい」など
 
◎アンケートの結果から
 アンケートの結果から、次のようなことが考えられる。
 子どもたちにとって、いかに個人の空間は必要であるか、ということである。中高生以上ともなると、全員が自分の部屋が一番落ち着くと回答している。また、落ち着く時間の中には、趣味の時間や寝る前や、寝ている時など、部屋で過ごしている時間が多く含まれていた。これまでの大浴場から各部屋毎に設置されたお風呂は、入浴時間やお風呂の空間の変化に伴い、子どもたちが心身共にリラックスし、リフレッシュできる空間になったのではないだろうか。また、アンケートの結果から注目したいのは、学童の子どもたちが落ち着く時間というのが、テレビを見る時間に集中したことだ。
 
4. くつろぎの空間の必要性と今後の課題
(1)くつろぎの空間の必要性
 アンケートの結果から、子どもたちのくつろぎを感じる落ち着く時間として、学童の多くは、テレビを見る時間というものだった。一般家庭では、夕食後、家族で団らんをし、何気ない家族との会話や交流が、家族の心を癒し、ホッとできる空間である。児童養護施設では、それぞれ違った環境で暮らしていた子どもたちが、ある日を境に同じ空間を共有することになる。やはり、施設であっても、夕食後テレビを見たり、リビングで過ごすというのはとても大切な空間であり、時間である。子どもの心が落ち着いた空間の中で、子どもたちが何気ない日常を重ね、成長していく。子どもの心が落ち着いたときにはぐくまれる職員との信頼関係や、子ども同士の関係など、その空間には、目には見えないものが形作られている。そして、子ども自身がそれまでの背負ってきた荷を降ろし、自分を見つめ直し、本来の自分を見っけだす時間ではないのだろうか。安心した空間の中でこそ、次第に子ども自身が形成されていくのである。心の落ち着く場というのは、人間であれば誰もが求めるものである。少なからず傷を負った子どもたちにとって、くつろぎの空間であったり、安心できる空間というのは必要不可欠である。
 アンケートの中で、自分の部屋が落ち着くという答えも多くあった。やはり、同じ空間で生活する者同士であっても、四六時中同じ空間に放り込まれていたのでは、たとえ、それが子どもであろうとも、息が詰まってしまうだろう。ある程度のプライバシーや個人の空間というのは、重要ではないだろうか。むしろ、みんなで共有する空間と、個人で創り出す空間のバランスが、日々安心して落ち着く場所として大事なのではないだろうか。
(2)今後の課題
 くつろぎや落ち着ける場所で重要なこと。当たり前のようだが、落ち着けるインテリアや、周りの環境作りだ。そして、周りの人もくつろぎ、落ち着いていることである。周りがバタバタと落ち着く様子がなかったのでは、子どものくつろぎを半減させてしまう。
 くつろぎの中で織りなされる職員と子どもとの関係。子どもは、職員と共にいることによって落ち着く。また、子どもの心が落ち着いているから、関係が築きやすい。くつろぎの場において、職員の存在というのは大きい。しかしながら、職員の現状は、日々の雑務に追われ、時間的ゆとりがない。時間的ゆとりがないと、職員自身がくつろげないであろうし、職員にゆとりがないのでは、当然子どももくつろげないのではないだろうか。このことは、大きな課題である。職員の不足はくつろぎの場だけではなく、子どもたちが日常一番に感じているのではないだろうか。心落ち着く人と、くつろぎの時間を過ごす。子どもたちの心を癒し、安心した日常につながるのではないだろうか。
 
5. おわりに
 今回、特に児童養護施設の中でも、神戸真生塾をとりあげたわけだが、日本全国には、何百という児童養護施設が存在する。その中の1つに過ぎない。その多くの施設の中には、共有するくつろぎの空間の確保や、個人の空間の確保が困難な所も少なくないだろう。
 子どもたちが共有する心落ち着く場所と、個人の空間のバランス。子どもたちが、1人1人が自分で落ち着ける空間を作り、持ってほしい。自分の居心地の良い空間。それまでの生活環境には、なかった子もいるかもしれない。児童養護施設という場では、団体生活を余儀なくされる。しかし、団体での空間と個人だけの空間を有効に活用すれば、心の落ち着く場作り、くつろげる空間で子どもたちは、心の安定した生活を送ることができるのではないだろうか。
 
[20歳/福岡県出身/短大生(卒業)]







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