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地球環境展1
展示解説
おおきな空!? ひろい海!? <“空”編>
 
◆考えてみましょう
 この地球儀の直径は約40cmです。
 地球をこの大きさとして考えると、大気の量と海水の量はどれくらいになるでしょう?
大気:約800ml 海水:約42ml
●解説
 地球の直径は、約12,700kmあります。地球の大気の90%は地上から約20km以内にあり、99%は地上から約50km以内にあります。
 それ以上の高さでは、大気の密度が急に小さくなります。ただし、数百km上空でもわずかな気体は存在します。
 
 これを直径40cmの地球儀に置き換えてみると、地上50kmは約1.5mmほどの厚さです。この厚さで大気が地球を取り囲んでいるとしたときにその体積は約800mlになります。大気は薄い皮膜のように地球の表面をおおっているのです。
 
 実際の大気は地上から数えて、対流圏、成層圏、中間圏、熱圏の四層が順番に重なった構造になっています。
 大気の密度は地上に近いほど高く、上空にあがるほど低くなります。
 ここでは地上50kmまでの厚さに大気が一様にあるとしたときの体積を擬似的に置き換えて考えています。
 
おおきな空!?ひろい海!? <“海”編>
 
◆考えてみましょう
 この地球儀の直径は約40cmです。
 地球をこの大きさとして考えると、大気の量と海水の量はどれくらいになるでしょう?
大気:約800ml 海水:約42ml
●解説
 地球の直径は、約12,700kmあります。
 海洋は地球表面の約71%を占め、その面積は約36,000,000km2あり、平均の深さは約3,800mです。
 これを直径40cmの地球儀に置き換えてみると、海の面積は約0.35m2、平均の深さは約0.12mmになり、その体積は約42mlになります。
 
風はどこから来るの?
 
◆やってみよう
 筒の中に手を入れて、しばらく待ってください。
 ちょっと時間がかかりますが、風車がまわりはじめます。
 
◆考えてみよう
 手の温度によって空気があたためられ、その空気は上に昇ります。そのため筒の底の方の気圧が下がり、煙突のように他の場所から空気がさそいこまれます。
 
 これと同じように、地球の表面には、気圧の下がっている場所がたくさんあり、その方に向かって横に流れる空気の動きが生じます。これが風です。風は、大気の中で大がかりな熱の交換を行なっています。海では、風によって表面海流が発生します。赤道の暖かい水は南極や北極へと流れていき、そこから赤道へもどってきます。
 
●解説
 筒の中の手の暖かさが、空気に流れを発生させます。暖められた空気は膨張し、密度が低くなって筒の中を上昇します。この流れによってプロペラが回転します。手の温度と空気の温度との差があまりない場合には、プロペラが回転するまでに少し時間がかかります。
 
 同様に、ほぼ同じ温度の空気の塊どうしの間では、弱い風しか吹きません。大きな温度差のある気団が出会うときには、非常に大きな風が発生します。
 
湖の水
 
◆やってみよう
 手前の取っ手を動かすと下に見える絵のようすが変わります。水の中がこんなふうに変わるのはなぜだと思いますか?
 
◆考えてみよう
 水中に住んでいる生物が必要とする酸素は、主に水面から取り込まれます。水面を通して空気中の酸素が水の中に入ってきます。水中では、藻も光合成をするときに酸素を発生しますが、合成物を分解するときにそれ以上の酸素を自分で使ってしまいます。
 水中では、酸素は底の方まであまり届きません。
 富栄養化が進むと、植物プランクトンや藻が大量に繁殖し、水中で利用できる酸素がすべて消費されてしまいます。
 
●解説
 窒素は生命に不可欠なものですが、これは植物によって吸収され、その成長に大きな影響を与えます。洗剤のリン酸塩などの廃棄物が流れこんだり、窒素肥料が多く含まれた土地が雨で洗われたりすることによって、河川、湖、沿海で、水面に生える藻類や植物プランクトンの養分が豊富になり過ぎ、異常繁殖が起ることがあります。
 
 植物プランクトンや藻類の光合成によって酸素が発生されても、合成物の分解のためにさらに多くの酸素が消費されるので、環境内では酸素量の低下が起ります。この現象は通常4月から10月の間、湖や流れのゆるやかな川などで発生します。また、それは水の深さや透明度とも関係しています。
 
 いきすぎた富栄養化現象が引き起こすアンバランスな状態によって生態系が大きく乱され、完全な破壊に至ることもあります。
 
100%リサイクル?
 
◆やってみよう
 リサイクルとは、くり返して再利用することをいいます。
 どれが、一番リサイクルしやすいでしょうか?
 現在、リサイクルが一番進んでいるものはどれでしょうか?
 
◆考えてみよう
 年間の家庭ゴミは、フランス人では一人当たり400kg、日本人では1000kgです。先進国では、ゴミは重さも「かさ」もどんどん増えています。この現象を改善するために、少なくとも四つの方法があります。廃棄物の発生量を減らすこと、不必要な包装を止めること、ビンのような容器は繰り返して利用すること、そして再生・処理をすればもう一度利用できるものはすべて利用することです。
 
●解説
 ある工業製品の設計を考えるときからすでに、その製品が生態系に与える影響を包括的に理解しようとすることが必要です。
 最近では、ある製品が利用されはじめると何が起るかということに関心が向けられるようになり、それは廃棄物と公害の発生を抑制しようとする意志の表れでもあります。
 この傾向の中で、主に取り上げられる問題は、廃棄物の回収とリサイクルの方法です。
 再利用(自動車部品)、再生利用(紙、ガラス、プラスチック)、再処理(油)、エネルギーの効率利用(都市暖房)により新たな価値を生み出すことを考えます。
 
水はふくらむ!?
 
◆やってみよう
 容器をまっすぐに立て、下側のガラス容器の底を手で暖めて下さい。何が起るでしょう。そして、それはなぜでしょう?
 
◆考えてみよう
 手で暖められるぐらいの温度でも水は膨張します。
 地球温暖化等の影響で平均気温が数度上がればこの原理から海水自体が体積を増やし、海の水位が上昇するおそれがあることが理解できます。その影響は氷山や氷河が融けることよりもはるかに大きくなります。
 水位が1メートル上昇すると、世界の3分の1の人びとの生活がおびやかされます。大きな河口地帯が水没したり、淡水が塩水になったりするからです。
 海面の温度が上昇すると、異常気象や台風が頻繁に発生する原因にもなります。
 
●解説
 この実験はアルコール温度計の原理を示しています。液体は暖められると膨張し、体積が大きくなります。冷えると逆に体積は小さくなります。
 
 水は4℃までこの法則に従い、この温度で密度が最大になり体積は最小になります。温度が4℃より高くなると水は膨張しますが、この温度以下でも膨張し、氷は水の時よりも体積が大きくなります。密度で考えれば、氷は水よりも密度が小さく、したがって、氷は水に浮かぶということが説明できます。湖が底まで凍ることがないというのも、この原理のためです。
 
 海の温度が上昇すると平均潮位が上がるということの一番大きな理由も、この原理に求められます。それは、海が熱膨張するということに他なりません。潮位上昇による影響はいろいろありますが、海岸地帯に人口が集中している場合は、問題が特に深刻になります。







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