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IV 翻訳事業
◆必要書類および資料などの翻訳◆
 
 2国間又は場合によってはそれ以上の国々に関係する国際的社会福祉事業に従事している当事業団では、そのサービスを遂行していく上で翻訳事業が必要且つ不可欠である。言語の上では、事業内容の関係上90パーセント以上が、日本語と英語である。フィリピン・ケースの場合もほとんどが英語の書類であるが、まれにタガログ語が必要な場合もあり、その場合はフィリピンの社会福祉開発省から派遣されているフィリピン・ワーカーがあたっている。当事業団ではタイの養子縁組数も近年急増しているが、タイの養子縁組は日本の家庭裁判所を通す必要がないため、タイ語の翻訳は必要ではない。
 翻訳する書類としては、各国の民法、養子縁組法、裁判所関係の文書、戸籍謄本、出生証明書、母子手帳、結婚証明書、帰化証明書、受理証明書、納税証明書、不動産関係の証明書などの公的文書以外に、家庭調査書、児童調査書、児童適応報告書、健康診断書、心理学的診断書、預金証明書、推薦状、更に個人的な手紙や申請書など多種多様である。またISSJのホームページを3ヵ月に一度は更新するため、そこに載せる「インターカントリー」の翻訳も手がけている。
 例年の仕事に加えて、本年度は本事業団が主催した5月のアジア・太平洋地域会議、9月のISSJ五十周年記念式典があり、それらに伴う翻訳(通訳を含めて)を多量にこなす必要が生じた。アジア・太平洋地域会議には日本を含め6カ国が出席したため、国別のレジメ、資料の翻訳、毎日の会議のまとめ、一方五十周年の記念式典に際しては、事前に発行した「ISSの歴史」、厚生大臣、ISS本部会長をはじめ来賓の挨拶、当日講演された喜多教授の「平和と健康」の講演内容の翻訳などを行った。なかでも喜多教授の講演の翻訳に際しては、普通ISSJでは扱わない民族間の紛争と開発途上国の死亡率や強い伝染性を持つエボラ出血熱、エイズ、モンキー・ポックスとの関連について論じられたもので、紛争による地域社会の破壊が人々の健康に及ぼす影響に今更のごとく驚かされ、同時に平和の有り難さを痛感させられた。
 
V 広報活動事業
1. ニュースレター「Intercountry」の発行
 ISSJの事業内容や活動状況および日本の児童福祉の現状を広く人々に紹介し理解していただくために、今年度はニュースレター「Intercountry」を年3回発行した。配付先は関係機関や寄付による支援者などであった。
 
第21号 6月1日発行
・ ISSJ国内難民および難民申請者への援助について
・ カンボジア・プテアニョニョムレポート
・ 2002年度事業計画
・ 2001年度収支決算報告
・ アジア・太平洋地域会議を開催
・ スタッフリレー
・ ISSJ活動報告
第22号 10月1日発行

ISSJ50周年記念特集号
・ 50周年式典挨拶・講演要旨
 衛藤ISSJ理事長挨拶
 ISS本部フランク会長挨拶
 坂口厚生労働大臣挨拶
 川口外務大臣挨拶(森元外務大臣官房審議官代読)
 ロゼロUNHCR主席法務官挨拶(法務部小田野氏代読)
 喜多日本赤十字九州国際看護大学教授講演
・世界の動きとISSJの50年
・THE HISTORY OF ISSJ
・催物委員会
・カンボジア・プテアニョニョムレポート
・スタッフリレー
・ISSJ活動報告
第23号 1月1日発行
・ 理事長新年挨拶
・ 常務理事新年挨拶
・ フィリピンのケースから見る「子どもの最善の利益」と親権
・ 難民申請者への新たな動き
・ 「数字で見る子どもの国籍と在留資格」発行
・ 催物委員会
・ 国際協力フェスティバル2002参加報告
・ スタッフリレー
・ ISSJ活動報告
 
2. ISSJチャリティ映画会の開催
 このチャリティ映画会はISSJの活動内容を広くひとり一人に理解していただきご協力いただくために、毎年6月と10月に開催している。
 上映作品は岩波ホールや、東急レクリェーションなどの専門機関の助言、協力によって選択し、この会の準備、運営は催物委員会のボランティア・メンバーによって行われ、企業や多くの団体やグループ、個人会員、支援者によって支えられている。
 6月21日に上映した作品は「ビューティフル」。母娘の絆、女性同士の友情を暖かくやさしく描いた作品であった。10月18日は知的障害者である父と幼い娘との思いやりある関係を描いた作品「アイ アム サム」を上映し、ビートルズの曲が甘く切なく胸を打った。会場でのバザーではボランティアの方々の手作りの工芸品、ケーキ、クッキーや、アジア諸国の手工芸品、株式会社ヨシナガ提供のハンドバック、味の素株式会社からの提供品、支援者からの寄付による品物が販売された。また、会場ではISSJの活動内容の展示やカンボジアのプノンペンにあるデイケアセンター「プテア・ニョニョム」への募金活動も行われた。皆様の暖かいご協力に寄り集まった寄付金は、ISSJの様々な活動に使わせていただいた。
毎回、ISSJの活動に賛同頂き多くの方にご来場いただく
 
プテアニョニョムの募金活動
 
3. 国際協力フェスティバル参加
 2002年10月5日〜6日、日比谷公園で開催された「国際協力フェスティバル2002」に、ISSJも一昨年、昨年に引き続き参加した。このフェスティバルは日本最大の国際協力イベントで、援助を必要としている国で教育、衛生、難民援助、緊急支援などの分野で活動している200以上の任意団体、NGO、国連機関や政府機関などが毎年参加する。国際協力への一人一人の理解を深める事、そして市民の国際協力活動への参加拡大が、このイベントのひとつの大きな目的となっている。ISSJも、その事業のひとつであるカンボジア・プロジェクトについて広く一般の方々にも知って頂くために参加した。両日とも好天に恵まれ秋晴れのもと大勢の人々が日比谷公園を訪れた。また昨年同様、「国内難民支援部会(RAJA)」にISSJと共に所属する他団体と協力してワークショップを開催し、日本にいる難民や難民申請者について、そして彼らに対してどのような支援が日本国内で行われているか等、一般の方々が理解を深めることが出来るよう、実際の支援関係者によるスピーチが行われた。また、日本に庇護を求めてきたソマリア人の方も自らスピーチを行うなど、参加者にとって大変貴重な体験が得られたワークショップだったとの評価を頂いた。
沢山の来場者の方に協力いただいた
 
4. ホームページの運営
◆インターネット・データベースの活用、情報収集◆
インターネット
 ISSJは、活動を広く一般に紹介するために、事業内容、歴史、活動状況、出版物、本・支部の紹介、映画会をはじめとしたイベント情報、会員・寄付・ボランティアの募集、ニュースレター“Intercountry”の記事などをホームページに掲載している。
 今年度はソーシャルワーカーの募集やISSJ50周年記念特別セミナー参加者の募集などもホームページ上で告知し、多くの問い合わせがあった。会議や特別講演の内容などは、随時掲載した。昨年度からの英語のホームページ運用に伴い、海外居住の日本人や外国人からも多くの問い合わせが寄せられた。更に、各国の現状や子どもの福祉に関する情報収集、本支部間のレポートやケース照会、クライアントとの情報交換などメールの活用も年々増加している。
 最近では子どもの写真や動画などがEメールに添付されることが多いので、今後、ADSLなどの高速回線を整備する必要があるように思う。また、ISSJのホームページにリンクしている団体やグループなどとの連携も深めて、ISSJの活動をより分かりやすく紹介していくようにしたい。
 
ISSJのホームページ http://plaza18.mbn.or.jp/~issj/
 
ISS本部のホームページ http://www.iss-ssi.org
 
データベース
 昨年度に引き続き、電話やEメールによる問い合わせや相談、実際にオープンされた全ケースのデータベース化を進め、件数の多いフィリピンやタイの養子縁組に対しては、より詳しいデータを収集した。これらのデータを蓄積して、迅速な検索、分析、そして統計などの資料に役立つようCD化を進めている。







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