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VI ボランティアによる活動
 ISSJの活動は設立以来多くのボランティアの協力によって、支えられてきた。今年度も、様々な分野で多くのボランティアの方が活動してくださり、ISSJの国際社会福祉、特に児童とその家族が抱える問題の相談援助の大きな原動力となった。深く感謝申し上げる。
 
◆映画会・催し物ボランティア◆
 チャリティ映画会「ISSJ映画の集い」、およびバザーは「催物委員会」を中心とした多くのボランティアの方々によって支えられている。映画会の約3ヵ月前から週一回のペースで事務所において準備作業が行われている。上映する映画の試写・選定、関係者への連絡・交渉、チラシの作成、そして案内状・参加券の発送、バザーに関する作業、荷物の搬入・搬出、そして終了後の報告書の作成など自主的に進めてくださっている。青木洋子さん、糸井直子さん、浦田眞智子さん、川村庸子さん、衣笠孝子さん、木村恵さん、志賀玲子さん、滝川一子さん、中山八枝子さん、西端萬理子さん、水田泰子さんが催し物委員会のメンバーとして定期的に活動してくださっている。
 そして、映画会当日には、澤村美佐子さん、松浦令子さん、室田浩子さん、堀越友子さん、吉永弘子さんがボランティアとして運営に参加してくださっている。また、バザーには、板倉智子さん、伊藤路子さん、伊藤治子さん、葛谷寿子さん、河野光代さん、塩釜智子さん、高橋里江さん、村田美代子さん、西山誼さん、山本和子さんがご自分の手作り作品を、岩場恵代子さん、佐藤政子さんは手作りのケーキ・クッキーを、聖心女子大学同窓会である宮代会ボランティア・セクションの中橋恵子さんを中心とした川原通子さん、古関登代子さん、佐々木とく子さん、立花寿子さん、濱田峰子さん、平井恵美子さん、水田由利子さん、宮本龍子さん、山田暢子さんたちもケーキを焼いて提供して下さっている。
ボランティアの方々による映画会の準備作業
 
◆カンボジア・プロジェクトボランティア◆
 ISSJは郵政事業庁の国際ボランティア貯金に係る寄付金の分配を受けて、人材育成を目的とした子どものためのデイケアセンター「プテア ニョニョム」をカンボジアで運営している。このISSJカンボジアプロジェクトでは随時活動を側面からサポートしていただくボランティアを募集している。前年度は様々な分野の方々がボランティアとして実際にカンボジアにある「プテア・ニョニョム」を訪れ、子ども達と直に接する形で指導してくださった方が多かったが、今年度はむしろあまり目立たない部分で強力に、地道に、バックアップをして頂いた方々がとても多かった。浅原ご夫妻はご子息が小さくて着られなくなった洋服をきれいに洗って、プテア・ニョニョムの子ども達のために寄付してくださった。神奈川県大和市教育委員会、相談教室まほろばの生徒さん達はプテア・ニョニョムの子ども達と手紙や絵の交換を行っている。また同時にクレヨンや鉛筆、画用紙などの文房具を集めてカンボジアへ送っていただいた。このような国際交流を通じて、外国のことや世界のことに興味を持ってカンボジア人ソーシャルワーカーに尋ねる子ども多くなり、とてもよい刺激となっている。
 前年度から大変なご尽力いただいているハーピストの池田千鶴子さんはご自身のリサイタルの際に「プテア・ニョニョム」への支援を呼びかけ、募金活動を続けていただいている。
 以上のように今年度も実に様々な方々のご支援を得ながら、プテア・ニョニョムの活動が支えられていることを実感し、同時に深い感謝の気持ちで一杯である。以上のような国際交流が未来を担う子ども達にとって、異文化への理解や国際協調・平和の礎となることを祈りたい。
ボランティアに支えられてプテアの活動を楽しむ子ども達
 
◆日本語教育ボランティア◆
 毎年フィリピンのDSWDよりソーシャルワーカー2名がISSJに派遣され、一年間のソーシャルワーカー研修プログラムが行われている。この研修のなかで日本を理解するためにボランティアの田辺千鶴子さんによる日本語、日本文化の研修が行われた。限られた授業時間の中で、興味をもって学習が出来るように教材を工夫し、様々な日本の生活場面を取り上げ、日本の文化にも接することができるよう努めてくださった。
 
◆資料・図書の管理・データー入力ボランティア◆
 ISSJは50年の活動を行う中で、国際福祉、家庭福祉、児童福祉、難民援助、各国法律などの多くの資料が収集された。またジュネーブのISS本部を中心とした国際的なネットワークをもつ団体であることから、海外からの資料も多い。今年度、ISSJではボランティアの北島都子さんのご協力により、資料を各分野ごとに整理し、そのデータをパソコンに入力して活用しやすいよう整理を行った。
 
◆パソコン・タイプボランティア◆
 各ケースに関する英文の提出書類、手紙は膨大なものとなる。それに付随して書類の清書を長年宮脇由利さんが行ってくださっている。手書きの原稿を提出できる完全な形にしていただくことにより、業務の円滑化が図れている。
 
おわりに
 2002年度は、前年度のアメリカでのテロに発した戦争への不安が治まることなく、イラクを戦場とする米英軍の攻撃が、まるで映画のようにテレビで実況放送されるという異様な状況となりました。そして多くの子ども達やその家族が命を落としたり、障害を持ったりと戦争の犠牲となりました。いつの時代も世界のどこかで戦争や内乱が絶えることのないのは悲しいことです。恐怖と悲しみで笑顔を忘れた子ども達の心に残る傷を思うと胸が痛みます。
 第二次世界大戦後我が国に発生した戦災孤児や混血の子ども達の救済を事業の始まりとしたISSJは、常に戦争や内乱、あるいは貧困といった個人では避けられない問題を原因として苦しむ子どもやその家族に対し、信条、国籍、宗教、文化、人種等の別なく『国境を越えて愛の手を』差し伸べながら、半世紀を越えて国際福祉の分野で活動を続けております。すべての人々が世界の平和を望んでいるこの時代に、残念ながら戦争で家族を失う子ども達や、生き別れる家族が今でも生まれております。科学の進歩は著しいものがありますが、人の心の進歩はどうなのでしょうか?
 私たちは50年に及ぶ活動をとおして、国際福祉援助に必要な知識を豊かに蓄積することが出来ました。そして相談に見える一人一人に対し、個別に、その人にとって一番いいと思われるサービスが提供できるように日々研鑚を積んでおります。
 実親からの養育が叶わないため養子縁組をする子どもの安らかな寝顔、極貧の中生計のためごみ山でごみを拾うカンボジアの子ども達の人懐っこい笑顔、収監されている難民申請中の人の苦しみを訴える顔、国際結婚が破綻をきたし日本国籍の子どもを抱えて途方にくれる外国人妻の不安な表情、日本で実親に遺棄され国籍を持たない、あるいは未就籍で法的保護の根拠をもたない子ども達のうつろな瞳。私たちは相談にくる人々が心から幸せを感じる日がくるようにと祈りながら仕事をしております。
 こうした地道な活動を続けてこられたのは、私たちの活動にご理解を示し、暖かくご支援くださいます皆様のおかげでございます。今後も皆さまのやさしい心に支えられ、励まされながら一層精進し、向上してまいりますので、引き続きご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。







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