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2. NACCSへのインターネット接続(netNACCS)
2.1 NetNACCSの稼動日
 
●Sea-NACCS 平成15年3月2日(日) 08:00〜
●Air-NACCS 平成15年3月9日(日) 05:00〜
 
2.2 netNACCSの概要
 
 netNACCSはNACCSセンターが提供するNACCSへのインターネット接続サービスのことであり、現行のNACCSが民間利用者に提供している業務(管理統計資料を含む)が対象となっている。
 netNACCSを利用する場合には、NACCSセンターへの申し込みを行い、「利用者番号」「識別番号」「帳票ボックスID」「帳票ボックスパスワード」といった参加資格と、「netNACCSソフト(Air-NACCS用とSea-NACCS用がある)」の提供を受ける。(自社開発ソフトでの利用は当面不可であり、これによってのみ利用することができる。)
 netNACCSで使用するPCやインターネット回線については、既存のNACCSパッケージといったセンターサポート概念はなく、利用者の責任において用意する。
 netNACCSでは、netNACCS処理方式を採用している。(既存のNACCSでは、インタラクティブ処理方式・メール処理方式を採用)
 netNACCSでは、セキュリティー対策として「通信の暗号化(SSL111Ver.3.0以上)」、「ファイアウォールの構築」、「センター側・クライアント側認証としてNACCSセンターが発行するデジタル証明書」を採用している。(このデジタル証明書は政府のGPKI112とは関係ない)
 netNACCSは現行のNACCSと併行して利用する事が可能で、現行NACCSで登録した処理をnetNACCSで利用したり、逆にnetNACCSで登録した処理をNACCSで利用する事が可能です。
 
netNACCSと現行NACCSの関係図
(拡大画面:36KB)
 
2.3 netNACCSの特徴(HTTP処理方式による送信電文の特徴)
 
 利用者がリクエストした処理の結果としてNACCSから送られてくる画面電文(処理結果通知「輸入申告入力控えといったもの」)については直ちに利用者に送信されますが、帳票電文(輸入許可通知書といったもの)や、利用者からのリクエストによらず送信される(保税倉庫などに送られる輸入許可通知情報といったもの)については一旦インターネット接続用サーバー内の帳票ボックスに格納されるため、自動的には利用者へ送信されず利用者が「帳票ボックスID」及び「帳票ボックスパスワード」を使用した取り出し業務が必要になります。
 この帳票電文については、現行のメール処理方式と同じ扱いといえます。
 また、管理統計資料についてもインターネット接続用サーバー内の帳票ボックスに格納されます。現行NACCSとnetNACCSを併用する場合、管理統計資料はどちらか一方からのみ取り出す運用となります。
 インターネット接続用サーバー内の帳票ボックスから電文を取り出す業務は新規業務として提供され、netNACCSソフトには自動的な取り出しを可能とするため以下の機能が追加されます。(但し、管理統計資料を除く。)
 
●利用者が自動取り出し時間の間隔(分単位)を任意に設定する機能
●画面電文が装着したタイミングで帳票電文を自動で取り出しに行く機能
 
2.4 netNACCSの留意点
 netNACCSはNACCSセンターが提供している民間利用者ネットワークという閉域のネットワークではなく、インターネットという公域のネットワークを利用するため、以下に掲げるような特質を理解しておく必要がある。
 
●インターネット回線の回線速度、ネットワークの輻輳により左右されるレスポンス。
●暗号化処理、認証処理に要する時間や、HTTP処理の電文を既存のNACCS処理方式へ変換するための時間が加わること。
●NACCSホストからの処理結果電文を受信中に通信障害が起きた場合は、電文が消失する可能性があること。
●インターネットを通してnetNACCSへ不正なアクセスがなされた場合や、サーバーに対するDoS攻撃113等を完全に防ぐことが困難であること。現時点で判明していないセキュリティーホールが判明した場合等、長時間の運用停止がありえること。
 以上の事柄については、NACCSセンターからも留意事項としてアナウンスされています。
 
2.5 netNACCS、その他
 現行のNACCS掲示板と同様のものがnetNACCS用としてインターネット上に開設される。
 掲示板へのアクセスは、暗号化・相互認証が行なわれる関係上netNACCS専用のデジタル証明書があるパソコンからのみ参照可能。
 掲示内容には、「システムの稼動状況」「障害状況」「業務仕様書」「最新コード集」「ソフトのバージョンアップ」がある。(課金情報照会、利用契約情報照会はない)
NACCSパック114について
 NACCSパックのパソコンをnetNACCSで利用する場合には、NACCSパックサービス契約を解除する必要があり、提供ベンダーに連絡の上、切り替え後の保守等について契約の見直しが必要です。
 
2.6 netNACCS、総括
 netNACCSは、インターネット接続に対する利用者からの要望、政府の方針、インターネット技術の革新・セキュリティーの向上、低廉な接続料金によるインターネット網の普及といった官・民・インフラといった社会ニーズ・タイミングに即したサービスです。ただ一面、文中でも触れた通りインターネットの利用では、悪意な攻撃による予期し得ないトラブルが有り得ることに留意しておく必要があります。
 NACCSセンターでも、NACCS業務に対する問い合わせについては今まで通り対応するが、ネットワークに関する様々な問題について、既存の民間利用者ネットワークという専用線接続と違い、十分な対応が困難であるとしています。業務利用にあったてはインターネットという網が持つ様々な問題点への認識と対応策の検討、準備と予行などについて、利用者が自身の責任で行い、そのメリットを生かしていかなければなりません。
 

111 SSLとはSecure Socket Layerの略。米国のNetscape Communication Corporationが開発した暗号化通信プロトコルで、Webブラウザーの利用ペースではデファクトスタンダードな地位にあるといえる。
112 GPKI(Government Public Key Infrastructure)政府認証基盤は、国民等が行政機関に対して行う申請・届出や、行政機関から国民等への行政処分の通知といった今まで署名又は記名押印した書面によって行われていたやり取りをインターネットの技術利用により行う場合に予想される「なりすまし・盗聴・改ざん」等のセキュリティー問題を解決するための手段として検討が進んでいる位組み
113 DoS攻撃 「Denial of Service」の略
 悪意な意図により何十万・何百万のパソコンから特定のウェブサーバをターゲットに一斉にアクセスをおこなうような状態を作成し、実行する事で深刻なダメージをそのウェブサーバに与え、システムをダウンさせようとする攻撃
114 NACCSパックとは、NACCSセンターが提供するパッケージソフトをインストールしたパソコンについて、センターが正常に稼動する事を確認し、利用者がNACCSパック提供ベンダーと保守契約込みの契約をする推奨セットのこと。(平たく言うと、ソフト・ハード・保守がセットになっているもの)







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