X. 輸出入通関分野におけるEDI化の現状
輸出入・港湾関連手続のシングルウィンドウ化
昨年の報告書の中でもその動向に触れさせていただきました輸出入・港湾関連手続のシングルウィンドウ化(各種電子申請等の窓口一本化の推進)については、昨年の1月に関係府省間で基本方針が取りまとめられ、昨年の6月にIT戦略本部108で決定された「e-Japan重点計画−2002」の重点政策5分野の中で「行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進」に個々のシステム名称を挙げその取組み109が明記され、具体化されようとしています。
また、税関手続申請システム(Customs Procedure Entry System)CuPES(カペス)により税関に対して書面により行われている手続きのうち、NACCS業務の対象となっていない申請・届出等と、通関業者が税関に提出しているインボイス等関係書類の電子化が具体化されようとしています。
これら窓口が一本化されつつあるシステム関連の内、輸出入通関分野にかかる「JETRASとNACCS」「netNACCS」「CuPES」について最近の動向について簡単ではありますが報告させて頂きます。
1. JETRASとNACCSの連携
JETRAS(Japan Electronic open network TRAde control System)貿易管理オープンネットワークシステムとは、経済産業省において行う外為法関連の輸出入許可・承認について、輸出入者がインターネット等を通じて申請するシステムで、電子申請された内容は省内で電子決済され、電子的に保管・管理されています。また、通関業者はこの情報にアクセスすることで通関申告に必要な情報を入力(裏書)することができます。
連携の開始時期に付きましては、一部国会承認を経て、本年夏頃が見込まれております。
1.1 NACCS(Nippon Automated Cargo Clearance System)通関情報処理システム概要
Air-NACCSは昭和53年8月、輸入航空運送貨物に係る一連の税関手続及び関連民間業務を処理するために稼働を開始した電算処理システムで、平成5年、平成13年とシステムの更改が行われ、また、システム対象地域も順次拡大されており現在では、輸入にあっては航空機の入港から航空貨物の取卸し、輸入申告・許可、国内引き取りまで、また、輸出にあっては航空貨物の保税地域への搬入から、輸出申告・許可、航空機への搭載、出港までの一連の税関手続及び関連民間業務をオンラインで処理するシステムとなっています。
Sea-NACCSは平成3年10月、海上運送貨物に係る輸出入通関業務等の税関手続を処理するために稼働を開始した電算処理システムで、平成11年のシステム更改により全国へと展開され、システム更改により輸入にあっては船舶の入港から海上貨物の取卸し、輸入申告・許可、国内への引き取りまで、また、輸出にあっては、海上貨物の保税地域への搬入から、輸出申告・許可、船舶への船積み、出港までの一連の税関手続及び関連民間業務をオンラインで処理するシステムとなっています。
両NACCSは、企業内システム等との電子データ交換(EDI)処理方式を基本とするシステム設計がされており、通常の輸出入申告に関してAir/Seaともに、現在全国の約90%が当システムにより処理されています。
1.2 連携による機能追加
別々のシステムとして稼動していたJETRASとNACCSが連携する事により以下のことが可能となります。
●輸出入許可・承認証への裏面業務が既存のNACCS端末から可能となる。
●税関からJETRAS上の電子許可・承認証の照会・確認が可能となる。
●申告内容と輸出入許可・承認内容とを電子データで付き合せできる。
1.3 連携後の業務の流れ
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1.4 連携時の注意点
NACCS端末からJETRASの通関データベースサブシステムへ接続する場合には、ネットワーク環境の設定とWebブラウザ(Netscape Navigator 4.7x)の設定が必要ですが、ゲートウェイ接続をしているユーザーでは、別途社内のネットワーク上にナットルーターを置くなどの手当てが必要となるケースがありますのでNACCSセンターやベンダー等に問合せする必要があります。
1.5 料金
申請者用ソフトをはじめ、JETRASとの送受信に掛かる部分の料金は不要です。
108 政府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部
109 輸出入・港湾諸手続について、通関情報処理システム(NACCS)、港湾EDIシステム及び乗員上陸許可支援システム等の各システムを相互に接続、連携することにより、ワンストップ化を推進し、2003年度のできる限り早い時期までに、これら手続のシングルウィンドウ化を実現する。その際、利用者にとって使いやすく、運用に当たってコストが低く、国際標準にも配慮し、手続面で簡素なシステム構築を図る。このため、2002年度中に、NACCSのインターネット接続を実施するほか、NACCSと外国為替及び外国貿易法に基づく輸出入許可・承認手続システム(JETRAS)の間及びNACCS、港湾EDIシステムと乗員上陸許可支援システム間を、それぞれ相互に接続、連携する。なお、2003年度までの実現を予定している輸出入手続の電子化の一環として、民間の収納インフラの利活用や各種輸出入手続の申告・申請・受付システムと貿易関連手続の電子化に係る民間システムとの連携等を推進する。(財務省、法務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省)
110 JETRASにより裏面登録を行う場合に入力するコード
FENJ |
外国為替及び外国貿易法48条第1項許可番号 |
ELNJ |
輸出承認証番号 |
ILNJ |
輸入承認証番号 |
JKAJ |
事前確認番号 |
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