5. “eConfidence”の誘因としてのODR
ODRは、インターネットの“eConfidence”とビジネス予測の環境改善に寄与するメカニズムと保証のコストのマトリックスを構成する重要かつ不可欠な要素であると考えられています。
補強された自己規律プログラム(例えば、自己規制計画)は、次のような主要な課題と一緒に行われることによって明らかに効果を挙げることができます。
・企業の行動規範
・有効な強制力のある仕組み(例えば、広く知られたトラストマーク計画)
・ モニタリングや評価を行う第三者監視制度
・ 消費者の苦情に直接対応するサービス
・ 公認の手続規則に従った第三者機関によるODRサービスへのアクセス
欧州委員会は、これらの要素をすべて組み込んだ自己規律プログラムに、情報社会サービスプロバイダーが賛成することを強く望んでいます。この趣旨のガイドラインが同委員会の「eConfidence Initiative」59の一部として開発されています。
6. 国際標準の必要性
インターネット紛争の解決方法としてADRが有効であり、広く認識されているので、その手続に関する厳しい規則が導入されることを警戒しなければなりません。このような規則の導入は、ADRの長所の多くを失わせるだけでなく、ADRを「擬似司法手続」に変換せしめかねないのです。法廷制度のオンライン実務化が強く奨励されるとしても、その目的は、裁判規則をADRやODRに押し付けることではありません。多様化と順応性が今日の風潮なのです。
ADRの主要な長所は一般に、順応性と低コストですが、ODRの場合、まさにその通りです。強行的な基準または厳しい手続規則を設けることは、ODRのスピードと順応性を損ねる危険を招くことになり、その結果、手続が複雑になり、コストが高くなります。強行的な手続規則は、開発途上にある新しいODRソリューションを開発するイノベーションや多様化を妨げることになります。したがって、このような強行的な手続規則は絶対に除去されるべきであり、ODR計画の多様化と順応性の促進に努力しなければならないのです。
過去数年間の調査は、多様化という点について、あらゆる種類のADRおよびODRに適用される強行的な法的枠組みの導入というような「1つのサイズであらゆる寸法に合わせる」式の方法が好ましくないものであり、また現行の法律規則ならびに質の高い任意的なガイドラインが、公平かつ有効なODRサービスを十分に保護し保障するものでなければならないことを明らかにしています。
それにもかかわらず、ODRが広く使用されるためには、ODRサービスの信頼性と信用を高める必要があるというのが一般の認識です。これは、ODRサービスが、任意に適用される、ある共通した基準によって補強されるべきであることを意味しています。この基準は、ODR手続の公正性、透明性、有効性および公平性を確保することを目的とするものです。
7. 官民共同の行動の必要性
ODRサービスの開発は、一般に公共部門と民間部門の協力を必要とします。ODRサービスの法的承認が必要であり、純粋に市場の力関係だけでは解決できない種々のアプローチがあるので、市場にすべてをまかせることは不可能であす。他方、ODRサービスは技術的に複雑で、クロスボーダー的性格をもち、様々な方法で運用されるので、公共部門だけでできるものでもないのです。そこで、次の点に努力する必要であると考えられます。
・国際的に適用される基本的ルールに従ってクロスボーダーODRサービスの信頼を築くこと
・自己規律を、信頼されうるような、そして伝統的な規則の代替しえるように強化すること
・技術的な開発と標準化を支援すること
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