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(3)圧力センサーの径が測定値に与える影響
 国内クロスチェックに合わせて消防研究所、社団法人日本海事検定協会と同一タイプの圧力センサー共和電業製PGM-100、200、500KD(ひずみゲージ部φ8.2mm)を使用した。カヤテックでは共和電業製PE-100KPタイプ(ひずみゲージ部φ12.5mm)を使用していたが1/16インチの細い圧力導管に接続する際に2種類の継ぎ手を使用していた。圧力導管への継ぎ手の空間部及び接続部での凝縮等も考えられたので測定値に与える影響を調査した。圧力試験容器上部から約15cmの距離に圧力センサーが位置するように調整して、5試料の最大圧力上昇速度及び最大圧力値を比較した。測定条件は4.2.3.4(1)の標準条件に準じた。両センサーの比較写真を添付資料No−2(写真:5)に示した。
 
(拡大画面:59KB)
 
(1)2タイプの圧力センサー比較において、継ぎ手部による空間部、接続部及び1/16インチ配管からの広がりの差等の影響は認められなかった。
(2)若干の径の相違に影響されず測定が可能であることが確認され、センサー選定の幅が広がった。
(3)但し、大きめの重量のあるセンサー等は、操作中に圧力導管に負担がかかり、配管部の亀裂等の経験があり危険性を伴うので、本測定に使用したタイプに類似した操作性の良いものを選択する必要がある。
 平均値での比較を図−5、6に示す。
 
圧力センサーが圧力上昇速度、最大圧力に及ぼす影響
図−5 圧力センサー比較での圧力上昇速度
 
 
図−6 圧力センサー比較での圧力
 
4.2.3.6 OECD-IGUSで提案された試料の測定
 OECD-IGUSワーキンググループミーティング(4 MARCH 1999)の資料で提案された試料を測定した。測定試料は上昇速度がHigh:Bronopol、Medium:AIBN、Low:MNに該当する物質として3試料が提案されている。又、測定条件は下記条件が記載されており、その条件に準じて測定した。
    試料量
1 g
    昇温速度
2.5 K/min.
    サンプリング速度
1 msec
 尚、測定に際して、本測定法と同様に試料はガラス容器に秤量し、熱電対はガラス管にてカバーを施すようになっており、 測定項目として、最大圧力上昇速度、最大圧力、試料温度の3項目が挙げられている。
 
試料
No
略称 試料名 最大圧力
上昇速度
(MPa/sec)
最大圧力
(MPa)
最大圧力
上昇速度
での温度
(℃)
最高到達
温度 
(℃)
13 Bronopol   2-Bromo-2-nitro-
1,3-propandiol 
2187.5 25.6 229 420
1640.6 26.9 241 401
1015.6 21.3 224 366
1015.6 19.5 235 358
12 AIBN 2,2-Azobis (isobutyronitrile) 265.8 6.8 110 237
250.0 6.6 109 249
328.1 7.3 110 247
14 MN Malononitrile 125.0 1.8 227 375
62.5 1.6 233 389
62.5 3.7 279 420
 
 表中の最高到達温度は、サンプリング時間(10sec)内に得られた値を記載している。
(1)MNの測定では、1/16インチ圧力導管に固化したものが詰まり、測定毎に圧力導管の交換が必要であった。
(2)Bronopol、MNは分解温度が高温であり、OECD-IGUS提案の昇温速度2.5K/minでは測定時間に1時間以上要する。
(3)4.2.3.5(1)の昇温速度の影響調査の結果より、昇温速度が遅い設定では測定値が低めとなるものもあり、本報告で設定した昇温速度10K/minが推奨出来るが、同項で記述したように、電気炉と圧力容器内の温度差が、10K/minでは数十度(50〜60℃程度)以上となり、均一加熱を考慮して、OECD-IGUSワーキンググループは2.5K/minを提案していると思われる。
(4)Bronopolのような分解速度の早いものは、4.2.3.5(2)のサンプリング取り込み速度の影響調査の結果より、上記グループ提案のサンプリング速度1msecが推奨出来る。
(5)Bronopolの測定に際し、圧力センサーPGM-500KDを使用したが、腐食か高温度かの影響で劣化が認められた。
 
4.2.3.7 MCPVT圧力容器試験と従来試験方法との比較
 オレンジブック記載の結果を引用して、MCPVT圧力容器試験で測定した最大圧力上昇速度(dp/dt)maxと従来試験方法の判定結果を比較した。
 
(拡大画面:51KB)
MCPVT圧力容器試験の( )内は最大圧力(MPa)を記載している。
ケーネン試験の" "内は容器の破裂の程度を示している。
 
(1)MCPVT圧力容器試験で最大圧力上昇速度が非常に低い値を示したDCPとPOLが、ケーネン試験では2品目ともNoの判定で一致するが、DCPがオランダ式圧力容器試験でMedium、POLが米国式圧力容器試験でMediumと異なる判定結果となっている。
(2)傾向としては(dp/dt)maxが200Mpa/sec付近以上になると、従来試験法ではMediumの上位ランク径に属する位置か、又はViolentに属する判定となり、相関性が認められた。
(3)図−7に示すように、特にケーネン試験とは非常に良い相関性がある。
(4)定量値による圧力発生挙動から、自己反応性物質及び有機過酸化物の分解の激しさを評価しようと試みる本試験法は推奨出来る。
 
 最大圧力上昇速度と従来試験法との判定比較を図−7〜9に示す。
 
 最大圧力上昇速度と従来試験法との判定比較
図−7 ケーネン試験
 
 
図−8 オランダ式圧力容器試験
 
 
図−9 米国式圧力容器試験







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