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4.2.3.5 試験結果に影響を及ぼす要因の検討
 試験結果に影響を及ぼす要因として下記3項目を取り上げて検討した。
(1)昇温速度が測定値に与える影響
(2)サンプリング取り込み速度が測定値に与える影響
(3)圧力センサーの径の差による空間部の影響
 
(1)昇温速度が測定値に与える影響
 昇温速度が測定値に与える影響を3試料を用いて検討した。昇温速度が速いと電気炉と圧力容器との温度差及び圧力容器内の温度分布差を問題視する意見がある。又、OECD-IGUS ワーキンググループでは2.5K/minが提案されており、昇温速度3水準の測定値比較を行った。試料量及び他の測定条件は4.2.3.4(1)に示す測定条件に準じた。
 
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(1)昇温速度を変えた測定においても3回の測定値に再現性の良い値が得られた。
(2)2.5K/minではBPBとAIBNの2試料において最大圧力上昇速度が低下し、BPBは昇温速度が遅くなるとともに低下する傾向を示した。
(3)昇温速度を変えたことによる電気炉と圧力容器内の温度差は、2.5K/minで約20℃、5K/minで約40〜50℃、10K/minでは約50〜60℃程度であり、昇温速度が速くなるにつれて圧力容器内温度の熱遅れ幅の広がりが認められた。
(4)昇温速度の選定は、判定結果に及ぼす影響が大きいと思われ、今後の検討課題として更に調査が必要と考える。
 
 平均値で比較した相関図を図−1、2に示した。
 
昇温速度が圧力上昇速度、最大圧力に及ぼす影響
図−1 昇温速度対圧力上昇速度
 
 
図−2 昇温速度対圧力
 
(2)サンプリング取り込み速度が測定値に与える影響
 試料の分解速度に応じたサンプリング取り込み速度が必要なのではとの部会での提案があり、最大圧力上昇速度が300MPa/sec以上の試料3品目についてサンプリング速度を2条件に設定して比較した。試料No.8の測定条件は4.2.3.4(1)に示す標準条件で測定し、試料No.13は4.2.3.6 に示すOECD-IGUSワーキンググループミーティングで提案された条件で比較し、試料No.12は両条件で比較した。
 
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(1)Bronopolはサンプリング速度1msecの方が最大圧力上昇速度が高い値を示した。
(2)AIBNはほぼ同等の値を示したが、BPOは若干1msecの方が高い値を示した。
(3)BPO及びBronopolのような急激な分解速度を示す試料では、サンプリング速度によって最大圧力上昇速度値に変動を与える結果が得られた。
 平均値での比較を図−3、4に示す。
 
 サンプリング取り込み速度が圧力上昇速度、最大圧力に与える影響
図−3 サンプリング速度比較での圧力上昇速度
 
 
図−4 サンプリング速度比較での圧力







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