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アイコウボウ・USA視察報告
アイコウボウ・USA評価委員会 委員長 斎藤 昌
 アイコウボウ・USAは、オレゴン州ポートランド空港からコロンビア川を渡りワシントン州バンクーバー市を北東に抜けた郊外、バトルグラウンドのロッククリークにある。
 その辺りは、セント・ヘレン火山の溶岩と火山灰でできた渓谷沿いに、モミの木とアメリカ紅葉と白樺の森林を切り開いた土地である。わが国の八ヶ岳高原に似た景観である。しかし、別荘地でなく住宅地である。近隣の広い庭には数頭の馬が放たれ、牛がのんびり草を食んでいる。
 アイコウボウは五エーカー(二万平米)の敷地に、渓流の流れる森を背にした母屋と離れ屋、作業棟(ワークショップ)から成っている。
 居住棟の母屋は敷地約二百二十平米、総面積四百八十六平米の、半地下室を持つモルタル木造三階建てである。二人部屋が七室、一人部屋一室がある。離れは敷地約五十五平米、総面積百五平米の二階建てで、二人部屋が二室ある。
 母屋には寛ぎや交流の場として広い居間が二室あり、居室、居間には高級絨毯が敷かれている。生活備品、什器類も完備されており、長期に快適に生活することが可能である。また、内外車椅子の使用が可能になっており、身体障害者にも利用することができる。
 作業棟は敷地約百五十六平米、総面積二百六十六平米の二階建てで、一階には染色のコーナー、電気窯の備えられた陶芸のコーナーがあり、四台の織機の備えられた部屋がある。多目的に使用できる作業台が四台置かれている。二階は絵画のアトリエとなっている。
 前庭には、リンゴ、ブルーベリー、ラズベリー、藤、桜、柿、梨、栗の樹が植えられている。作業所周辺には藍が栽培されている。七羽の鶏が飼われている小屋もあり、一匹の犬が屋外で飼われている。
 テニスコート二面は優にとれそうな広い芝庭では、ジョン・海山・ネプチューンの野外コンサートが開催されているが、大型動物の飼育や盆踊りの場としても利用できる。裏の森の中にある渓流沿いの空地はキャンプ地に適していて、多目的な創造的・生産的作業・活動が可能である。
 現地は、施設住み込みスタッフ一名、東京からの派遣スタッフ一名、近隣からの通勤非常勤スタッフ一名の三名で運営されている。
 東京スタッフ一名が、利用希望者・関係者との折衝や経理統括などの庶務、および現地スタッフで処理困難な事柄に遊撃隊的役割を担っているが、利用者が増えていけば、現地スタッフの増員、東京に専従職員を置くことが望まれる。
 郊外の立地のため、電車、バスらの公共交通の便はなく、メンバーは一人で街に出かけることはできない。また、現地障害者がアイコウボウに一人で通所することもできない。ワゴン車での送迎を考慮すべきであろう。
 地域の関係機関、施設、一部個人とも良好な関係ができている。いずれもがアイコウボウの存在を評価、歓迎している。保健福祉関係者に勇気を与えすらしている。
 スポーツ、イベントなどへの参加を通じて、現地の障害者、一般との交流を行ない、現地の文化に触れ、藍染め、陶芸、折り紙などを通じて日本の文化を伝えることで国際交流を行なっている。
 現地では、精神・知的障害者に対する援助活動は、団体、個人のボランティア活動などの人的、経済的支援により成り立っているところが多い。このことを参考に、今以上に団体、一般に支援を呼び掛ける努力を要するかと思われる。
 
※この報告書は、一九九八年十二月二十九日から翌一九九九年一月五日にかけて行なわれた視察に関する報告書の抜粋である。よって、内容は一九九九年一月当時のものである。







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