下川使節員は海上勤務のため本報告会に参加できなかったので、清水使節員の代読という形で報告した。調査の目的は船舶ユーザーとして自社で集計・解析したディーゼルエンジン主機シリンダライナ/ピストンリングの摩耗実績について、海外ライセンサーと意見交換を行うこと、ライセンサー技術陣との人脈を構築し、併せて最新技術に関する情報を収集することであり、デンマークではMAN B&W Diesel A/S、スイスではWartsila Switzerland Ltd., イタリアではWartsila Italia Spaと、いずれも舶用の低速ディーゼルエンジンの各ライセンサーを訪問した。会場からのコメントとして、下川使節員は自ら採取した実機シリンダライナ/ピストンリングの摩耗実績を情報提供して意見交換に臨む、という重要なことを今回実践しており、この点が立派な態度である、とのことであった。
劉使節員(写真3)の調査目的は、省エネルギーシステムや新エネルギーシステムをテーマにした、国際的視野における技術力の研鑽、海外の最新技術情報の収集と学会への提供、IMarESTとの意見交換、日本の技術力の紹介とPR、および国際的人脈の構築と使節員間の異業種交流等であり、英国のIMarEST本部とUniversity of London, South Bank Universityの他、Lloyd's Register of Shipping社、Nobel Denton Europe Ltd.社、STASCO社を訪問し、会場からはロンドン大学のRose教授の研究内容について、冷媒の種類など、熱心な質問がなされた。
木田使節員(写真4)の調査目的は、大型コンテナ船、高速船、電気推進プラント船、大型中速ディーゼル機関および油洗浄に関する最新技術動向調査、欧州マリンエンジニアとの国際交流および意見交換による自己研鑚であり、フィンランドではABB Oy, Wartsila Finland Oy、スウェーデンではAlfa Laval Tumba AB、デンマークではMAN B&W Diesel A/S、そしてドイツではCaterpillar Motoren GmbH, Westfaria Separator Mineral Systems GmbHと、精力的に調査訪問した様子が伺われた。会場からの質問として、アジポット、ガス炊き、清浄機等、最新情報の発信元は常に欧州であるが、彼らがトップリーダーであり続ける違いを何か感じたか、という質問に対し、舶用機器の土壌はしっかりしていること、技術力の差は感じないがマリン産業としては確立しているようだとの回答であった。また、環境問題の取り組み方について、IMOの規制値はそれ程厳しくなく、必要以上に下げていない、PMについては未だ明確な規制がないので本格的にはやっていないようだ、とのことであった。
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