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3. Queen Mary, University of London
 12月4〜5日、Queen Mary、University of London(ロンドン大学)の工学科を訪問した。ロンドン大学は地下鉄Mile Endより5分歩いたところにある。昔はこの辺にはたくさんのユダヤ人が住んでいたそうである。キャンパスにはその墓場がまだ残されている。このキャンパスには、工学系のほかに、物理、数学、バイオサイエンス、法律、芸術、経営、医科学などの学科がある。工学系には、航空宇宙、機械及びメディカル機械の三つの教育・研究分野からなっている。研究分野を具体的に見ると、機械工学、熱流体工学、数値流体力学、構造及び計算力学がある。
 伝熱分野で著名な専門家であるJohn Rose教授の研究室にある実験装置を見学し、研究課題の説明を受けた。Adrian Briggs博士(写真3)はすべての実験室を案内してくれた。John Rose教授は特に凝縮伝熱において優れた研究成果をあげている。例えば、外部凝縮伝熱促進に関する研究(写真4)、フィンつき伝熱管における凝縮伝熱(写真5)、管群における凝縮熱伝達などについて実験及び理論研究が行われている(写真6)。また、新しい研究テーマとして、近年注目されている燃料電池や水素内燃機関における不凝縮ガスを含めた排出気流の凝縮に関する実験的な研究が行われている。写真7はその実験装置の一部分を示し、本装置を用い、伝熱係数、凝縮量、圧力損失などを計測できるようになっている。この研究ファンドの額を聞いてみたら、何と千6百万円がかかっているそうである。日本と違うところは、研究ファンドから人件費が賄えることができ、それでポストドクターや博士課程の学生が研究しやすい環境にあると言える。また、講師と助手に関わらず、能力があれば(研究ファンドがもらえること)博士課程の学生を募集したり指導したりすることもできるそうである。
 
写真3 Adrian Briggs博士と一緒
 
 
写真4 単一管外凝縮伝熱実験装置の試験部
 
 
写真5 種々のフィンつき伝熱管
 
 
写真6 管群における凝縮伝熱実験装置の試験部
 
 
写真7 不凝縮ガスを含めた排出気流の凝縮実験装置







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