3−4 精神障害者は危険だと思うのは、マスコミの事件報道の仕方が影響しています。
了解事項
●悲惨な事件が起こるたびに、精神病院への受診歴・入院歴を問題とする報道は未だに多くあります。
●そのたびに、事件に無関係な多くの精神障害者が傷つき、中には外出できなくなる人がいます。
●精神病院への受診歴が問題なのではなく、どのような援助・支援を受けていたか、その内容はどのような質であったかといったことが問題なのです。
●他の疾患で受診している人が事件を起こしても、その疾患が報道されることはありません。精神病院へ通院していたというだけで、事件の内容を理解したつもりになるわたくしたちは、精神障害者を差別しているのです。
●精神障害者の犯罪は、統計的には、そうでない人の犯罪よりも少ないのです。マスコミが精神障害者の犯罪をセンセーショナルに扱うために、一般の人は「精神障害者=危険」と受け止めています。
一般的な関わり
●精神障害者に対する援助課題には、家事援助など包丁を使った料理を利用者と一緒にすることがあります。精神障害者もうまく刃物を使っていけるように支援することが大事です。
●マスコミによって刷り込まれた精神障害者に対する自分のイメージで、利用者を見ないことは大事なことです。
●自分が精神障害者に対して持っている固定したイメージを、利用者との具体的なかかわりをとおして修正していくことが必要です。
一般的なリスク
●精神障害者の多くは、長い入院生活で包丁などを使う体験は少ないのです。刃物の使い方を知らないばかりか、刃物の危険性すら身につけていないことがあります。
●日常生活の中でわたくしたちも、怒鳴ったり、喧嘩したりすることがあります。精神障害者が同じことをするとき、「やっぱり精神障害者だから」という思いをもつとすれば、それは、自分の持っている差別感の現れです。
●自分が抱いている相手に対する「怖い」という思いは、どんな形であれ利用者に伝わります。
了解事項
●精神病院は医療的な手当をするところです。しかし、鉄格子があったりすることで、医療の場というより、閉じ込める場という印象を強く抱かせてきました。
●鉄格子を外すことについて患者の意見を聞いたところ、反対を受けた病院もあります。それは鉄格子によって守られている感覚を持っていたからです。精神病院の中にいる人は、外の世界の方が怖いのです。
●精神病院の近くを通ると「ここに入れちゃうぞ」とか、「青い車で精神病院に連れていかれる」といった、子どもの頃受けた大人からの何気ない言葉の記憶がある人は少なくないはずです。精神病院に対する怖いイメージがつくり上げられている背景です。
●嫌なイメージを変えるために、鉄格子を外したり、地域との交流を行い、地域住民の理解を得る働き掛けをしている精神病院は多くなってきました。
●精神病院は、精神障害者が人間関係に疲れて一人でゆっくりしたくなったときや家族と離れたいときに、入院して休める場となるのです。
一般的な関わり
●ホームヘルプサービスを利用する精神障害者との信頼関係を築くことが大切です。
●過去の精神病院への入院体験を、嫌なものとして受け止めている精神障害者は多いのです。再入院させられてしまうのではないかと恐れを抱いている利用者の不安感を、そのまま受け止めることが大切です。
●信頼関係づくりが上手くいかないときは、早めにコーディネーターに相談することが必要です。
一般的なリスク
●ホームヘルパーとして自分の家に入ってくるあなた自身を、利用者が心の底では怖がっている場合もあります。
●不安を抱いている人に、「大丈夫だから」といった言葉かけで安心感を持たせるには、信頼関係のできていることが前提となります。無責任な言葉かけは、不安感を煽ることになります。
●精神障害者だからというだけでなく、人としても相性が合わず、関係が取れない利用者もいます。
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