新聞記事より
〜全国版ニュース〜
◆刑法犯数過去最悪に 2002年12月20日<佐賀新聞>
今年1〜11月までの刑法犯の認知件数は過去最悪だった前年同期に比べ4.0%増の260万8584件に上り、検挙率は戦後初めて年間で20.0%を割った前年同期に比べ1.0ポイント上昇して21.2%とやや持ち直したが、依然として低水準だったことが19日、警察庁がまとめた犯罪情勢で分かった。
認知件数の増加率は10%を超えた昨年と一昨年に比べると、伸びは緩やかになったが、警察庁は「増加が鈍化したとは判断していない。ひったくりなど路上犯罪をさらに集中的に取り締まり、発生の抑止に努めたい」としている。
警察庁によると、刑法犯のうち殺人、強盗、放火、強姦(ごうかん)、略取・誘拐、強制わいせつの重要犯罪は前年同期より2.9%増の2万354件で、検挙率は2.4ポイント減の51.3%だった。
特に、強盗は6302件で8.2%増加。うち路上強盗が14.2%増の2628件と目立ち、摘発された1547人のうち、少年が全体の6割を超えた。
ドメスティックバイオレンス(DV)による殺人、傷害などの暴力事件の摘発も1536件と15.1%増加。うち夫から妻への暴力が9割を占めた。
凶悪事件に発展する可能性がある侵入盗やひったくりなど重要窃盗は43万5396件で7.9%増加。検挙率は横ばいの29.4%だった。
盗んだ重機を使って現金自動預払機(ATM)を破壊し、ATMごと現金を持ち去る事件が、前年同期の6件から49件へと急増した。特殊な金属棒で鍵を開けるピッキング盗は1万6695件(10月末現在)で、前年同期に比べ6.0%増加した。
来日外国人による犯罪の摘発は35.9%増の2万2957件で、うち9割近くが窃盗犯だった。国籍別では中国が最も高く37.5%を占めた。
県内の今年の刑法犯認知件数は11月末日現在1万1997件で、前年同期より534件多い。検挙率は前年同期と同じ32%。最近の刑法犯は停車中の車・バイクの部品盗、夜間の商店荒らしなど窃盗事件が増えているのが特徴。認知件数はこの10年間増加を続け、検挙率は低下の傾向にある。10年前、92年の認知件数は6065件、検挙率は49%だった。
〜県内ニュース〜
◆児童虐待防止連絡協が発足 2002年11月17日<佐賀新聞>
急増している児童虐待の防止や早期発見を目的に、多久市児童虐待防止連絡協議会(大塚正直会長)が15日、発足した。関係機関が連絡網をつくり児童虐待の発見からケアまでを連携して対処する。
同協議会は市や中部保健所、保育園・幼稚園、小中学校、民生児童委員会、医師会、多久署など13機関で構成。関係者22人が委員に選ばれた。
多久市役所であった第1回会議では、各機関の役割などを確認。児童虐待を把握した段階で関係者を含めた「事例検討会」を設けて、情報交換や援助方針の決定を行うことにした。年1回の専門研修や市民への啓発活動も進める。児童虐待の実態としては、多久市でもネグレクト(育児放棄)の事例が数件あるという。同種の協議会は県内で多久市を含む6つの自治体で発足している。
◆犯罪被害者支援大切さを確認 2002年10月18日<佐賀新聞>
武雄署の犯罪被害者支援ネットワーク会議(会長・重松武文署長、14人)がこのほど、同署で開かれ、被害者支援ネットワーク佐賀VOISS(ボイス)代表を務める佐賀女子短大の田口香津子助教授が、被害者支援の現状について講演した。
田口助教授は支援組織を設立し、西鉄高速バスジャック事件などに取り組んだ2000年4月からの歩みを紹介。支援する側の心得として「どれだけ相手の気持ちをくみ取ることができるか、難しい問題だが常に意識しなければならない」と話した。
同署警務課からは管内で発生した事件で、被害者にどう対応したかなどの事例が紹介され、警察のほか地域の団体などが一体となった支援活動の重要性を確認した。
◆DV防止法1年「夫の暴力」相談急増 2002年10月14日<佐賀新聞>
配偶者の暴力から被害者を守るDV(ドメスティックバイオレンス)防止法の施行から13日で1年。県内でも被害相談は急増しており、問題の深刻さをうかがわせる。一方で女性本人が保護命令を取り消すケースもあり、自立支援の在り方を含めた被害者救済の難しさも浮かび上がる。
県婦人相談所に2001年度寄せられた相談のうち、「夫の暴力」は175件。相談総数1035件中、最多の17%を占めた。―1997年度の48件から、5年で3.6倍もの急増ぶりだ。同様の相談は今年4〜8月ですでに71件。県警でもDV関連の相談は、法施行後184件(8月末現在)に上った。
▽一時保護47件
酒に酔った夫が包丁を振り回し、傷害事件に発展したり、恒常化した暴力のため、妻が精神疾患に陥ったケースもある。相談機関が「明らかなDV」と断じる被害でさえ、相談すべきか迷った末の電話が多いという。世間体もある。周囲に打ち明けても「あんたが尽くさないから」と言われ、自分を責めてしまう。被害回避より、別居、離婚後の子どもへの影響を心配する女性も多い。
こうした相談の急増に比例して、行政による被害女性の一時保護も01年度で47件と97年度(25件)からほぼ倍増。今年4〜8月で36件にも達している。
一方、DV防止法に基づく保護命令の申し立ては県内で4件。うち1件は申し立てを取り下げ、接近禁止や住居退去が認められた3件中2件は、処分期間の満了前に女性本人が命令を取り消している。
DV問題に詳しい藤本美佐子弁護士は「処分後の夫の反省ぶりから、情にほだされることもあるだろう。離婚するにしろ、夫との協議事項は山積しており、(保護命令を)障壁と感じるのでは」と指摘する。
申し立て自体への抵抗感も根強い。相談機関によると、「長年連れ添った人を訴えることはできない」という感情論や裁判所に申し立てる精神的な負担感から「暴力さえ収まれば処分は望まない」という女性も少なくないという。
▽安全網確立を
暴力から逃れたくても、当座の生活資金、住居、職業などへの不安が先立つ。正式な婚姻関係にある場合、夫に転出先がわかるため、住民票を動かせず、国民保険に加入できないなど「自立を妨げる悪循環に陥る」(県婦人相談所)。暴力の連鎖を断ち切る自立支援が急務だ。
民間の被害者支援団体「佐賀ボイス」(田口香津子代表)も相談業務の充実のほか、外出時の付き添いなど、直接支援にも乗り出しているが、人員体制など充実はこれからだ。田口代表は「行政機関とも連携をさらに強め、個々に応じた柔軟なサポート体制が築ければ」と話す。
福岡県二丈町の立てこもり事件では、DV被害者の親類にまで暴力が及んだ。田口代表は「加害者対策が手薄。きめ細かな安全網の確立など、現実に対応した法整備を」と訴える。(桑原)
■DV防止法 配偶者からの身体的暴力に対し、加害者に被害者の住居や勤務先への接近禁止(6カ月)と、自宅に立ち寄れない退去命令(2週間)を地裁が命じる「保護命令制度」が柱。国や自治体にも被害者保護を義務づけた。
〜VOISS関連のニュース〜
◆DVへの理解訴え 2002年11月28日<佐賀新聞>
「女性に対する暴力」撤廃デーの25日夕、被害者支援ネットワーク佐賀ボイス(田口香津子代表)は、DV(配偶者からの暴力)への理解を広めようと、イオンショッピングタウン大和で、買い物客にチラシを配布した。
配布したのは、DVの知識と中国語、韓国語、英語でも相談窓口を紹介するチラシと、被害相談のホットラインを記した携帯用のカード。「DVという言葉は浸透してきたが、相談をためらったり、窓口を知らない人も多い。もっと啓発に力を入れないと」とメンバーの一人。女性の買い物客を呼び止めて、理解を訴えていた。(桑原)
◆虐待行為受けた子どものケア学ぶ 2002年11月17日<佐賀新聞>
被害者支援グループVOISS(ボイス)のボランテイア講座が16日、佐賀市の若楠会館であり、大阪大人間科学部助教授の西澤哲さんが講演。160人の参加者が虐待を受けた子どもたちの心やケア法を学んだ。
西澤さんは親からの性的虐待について「世間で思われている年代よりずっと低く、6歳がピーク」と説明。「逃げる手段を伝えるだけでなく、助けてくれる大人もいるというメッセージを送らなければ社会に対する不信はなくならない」と強調した。
また頻発する凶悪事件に関して「虐待を放置し続けてきた結果が出てきているのでは」と話し、地域関係が希薄になる今「そっとしておくという昔ながらの考えで対応はできない」と指摘した。子どものケアについては「子どもたちは、虐待によって人間や社会を信頼できなくなっている。たとえ『帰れ』などと言葉を投げかけられても自分へではなく、社会へのメッセージとして受け止め忍耐強く接してほしい」と訴えた。(川崎)
◆整体、マッサージでの性被害相談を 2002年11月6日<佐賀新聞>
マッサージを受けた際に体を触られるといった被害が出ているとして、被害者支援ネットワーク佐賀ボイス(田口香津子代表)は6日から計4回にわたり、特別電話相談を受け付ける。
整体やマッサージなどでの性被害の実態は明らかではなく、被害者の声を集めて防止につなげる目的。佐賀ボイスは「胸を触られるなど不愉快な思いをした」という相談を数件受けており、「泣き寝入りしている人が少なくないのでは」と初めて取り組むことにした。
相談は6日と13日、20日、27日のそれぞれ午後6時から同9時まで。平日に行っている通常の相談時間帯(午前10時―午後5時、水曜日は午後1時―同5時)でも受け付ける。「匿名でもいいので相談を」と呼び掛けている。電話は0952(41)2535。
◆「佐賀ボイス」が講座開始 2002年10月20日<佐賀新聞>
犯罪被害やDV〈配偶者からの暴力)、児童虐待などの被害者救済に取り組むNPO法人「被害者支援ネットワーク佐賀ボイス」(田口香津子代表)は、地域で活動をサポートするボランティア養成に乗り出した。19日、佐賀市内でスタートした養成講座には予定を上回る60人が参加。被害者ケアの重要性が叫ばれる中、支援の輪を広げていく第一歩を刻んだ。
2000年4月に発足した佐賀ボイスは、今年4月から専門の相談員を配置、平日昼間の電話相談を充実させる一方、被害者への通院の付き添いなど直接支援にも乗り出している。しかし、メンバーが限られているため、被害者ニーズにきめ細かに対応できない悩みも抱えていた。
このため、活動をサポートするボランティアの養成に着手。3月まで計10回の講座で被害者支援の基礎知識を学び、来年度は実践講座へと発展させていく計画だ。講座終了後は各地域で被害者支援を担うほか、佐賀ボイスの活動や広報の手伝いなどにあたる。
佐賀市のiスクエアビルで始まった講座では、田口代表が「みなさんと一緒に支援体制を充実させたい」と協力を訴えた。交通事故遺族の会から体験談も語られ、参加者は熱心に耳を傾けていた。(桑原)
★編集後記★ 12月はじめに発行する予定だった会報10号ですが、本業の忙しさに加え、ハードディスクが壊れ、続いて編集途中のファイルが壊れ、最後には私がインフルエンザでダウンと次々にトラブルが続き、とうとう1ヶ月以上遅れての発行となってしまいました。会員の皆様には大変ご迷惑をおかけしました。謹んでお詫び申し上げます。(編集担当T)
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