3. コメントB:金 宇祥(韓国・延世大学教授)
金 宇祥 議長、ありがとうございます。高原先生の主要な論点として、まず中国が今後急速に崩壊する、もしくは急速に台頭する、そういった危険は回避すべきだということで、私も全面的に先生のご意見には賛成です。
中国が潜在的な脅威になるか否かという議論ですが、主に日本ではなくて米国から出てきているものだと思います。また、韓国から出てきているというわけではないと思います。中国が米国とどのような形で日本、米国に追いつこうと、やはり中国はこの地域においてアメリカの国益の脅威としてなり得るという意見が米国にあるわけで、米国の方は中国を潜在的な脅威と見なしていると思います。中国は地域の覇権国になりたいと思っているかもしれないし、そうでないかもしれない。しかし、潜在的に経済超大国になり得るということだけを以ってして、中国が経済的な脅威、もしくは軍事的な脅威にあると捉えてはならないと思います。もし中国が本当にそういった意図を持っているなら、隣国としては全く他の手はないわけであります。この地域のコミュニティの良き市民に中国がなってくれるよう願う以外ないわけですが、もし中国がそういった意図を持っていないということであり、また、逆に日米が中国を追いやって、そのような脅威にさせてしまった場合、こういった隣国の疑惑ゆえに本当に中国は脅威になってしまうということもあり得ると思うんです。ですから、この点に関しては、私ども、米・中・韓の方で対応しなくてはいけない。ボールは私どもの側にあるということが言えるわけであります。中国が現実を受けとめてくれるように我々が仕向けていかなくてはいけないと思うんです。
そういった意味で、日本は極めて重要な役割を担うことができると考えております。と言いますのも、日米同盟関係にあるわけですから、日本サイドとしては正しい中国の現実というものを捉え、特に、その他の国々、とりわけ米国に対して中国の現実は何であるかということを説得し、説明することは有益だと思っております。また、日本は米国の懐疑の念というものを和らげて、また、中国と米国の関係を緩和するという意味でもよい役割を持っていると思います。もし、日本が中国との協力体制を敷くことができれば、米国は現実を受け止めることができるだろうし、中国が潜在的な脅威にならないということも納得するでありましょう。そうしますと、既存の国際秩序を変革することができましょう。主として超大国が打ち立てたこういった枠組みを変えることができると思いますので、結局、今後台頭する中国に対してどう対応するかというのが重要なところだと思います。私ども韓国は、日・米・中のそういった協力体制というものを支持したいと思います。しかし、私どもは、こういった不安定な状況の中での哀れな存在にはなりたくないわけですから、米・中・日の協力体制を望みたいと思っているわけです。
日米の同盟関係ですが、これは極めて重要なメカニズムと呼ぶことができます。もし、日米同盟関係に対して三極の関係が打ち立てられればと思っております。韓国としては、米・中・韓の三極体制というものを支持しておりますが、もちろん、日韓は直接的にそういった同盟関係はありませんが、米国という存在を通して、間接的に二国のこういった体制というのはあると思うわけです。したがって、この三国関係というものを私どもはぜひとも支持したいと思います。たとえ朝鮮半島の統一がかなった後でも、米国が日本との絆を維持しなかったとしても、そして究極的に韓国と、もしくは統一された朝鮮と関係を持たないということになったとしても、やはり私ども朝鮮半島サイドとしては潜在的な中国という台頭する脅威に対して対応するために、やはり米国と対応していかなければいけないと思っております。そういったことは現実にならないことを願っております。したがって、日米の同盟関係は極めて重要であり、また、韓国については第Iセッションにおいても同じことを申し上げました。また、朝鮮半島における統一後の米国のプレゼンスというものもあわせて重要だと思います。
台頭する中国の点でありますが、このボールは日本サイドにある、もしくは韓国サイドにあると考えます。張先生がおっしゃったように、中国は良き市民になろうとしているわけです。すなわち、既存の国際秩序を台湾問題を除いては受け入れようとしているわけです。したがって、日本はこういった中で真剣に中国を信頼できる、当てにできるパートナーとして見るかどうかという点だと思います。
ありがとうございました。
添谷芳秀(議長) 金先生、ありがとうございました。またおもしろい議論の材料をたくさん頂戴したように思います。それではパニタン先生、お願いいたします。
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