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2. アンケートの結果から今後何をすべきかを考える。
(1)地域に於ける賃金の水準化。
今回の調査では、正社員の方々からの回答が比較的多いものとなっているが、実態が雇用形態の呼称と一致しないというのが如実に表れている。
そのような実態に於いて、設問43「ホームヘルパーを辞めたいと思ったことがあるか」の問いに対して「ある」と答えた場合の理由(設問44)及び「今後ホームヘルパーを続けていくに当たっての希望」(設問45)には、「社会的地位」が挙げられている。
また、収入の安定についても同じく高い数値となっている。
社会的地位がどこで確立されるかを判断するのは非情に困難ではあるが、生活水準の安定は大きな要因であることは間違いがない。呼称・肩書だけがついたとしても、賃金の実態が低廉であれば、生活に支障が生ずるのであり、仕事に対する割安感を生み、所謂「名前だけでは・・・」という事になる。
賃金の実態では、正社員以外の月給制傾向があるが、月給制とはいえ、その中で年収200万円を超える割合は6割程度である。
やはり、依然として時給制(パートタイマー等)によるもが多く、その年収についても100万円未満が6割以上となっている。また、前年度との比較では、「上がった」のは3割程度である。下がった・同じの中では、稼動単価の低下・利用者減によるものが多いという実態である。
制度導入前から存在した、職業的特性から生まれる賃金の不安定さが改善されないままとなっており、それがさらに制度導入後には事業体との個別労働条件の中で賃金が低下しているのが実態である。
直接仕事に関係する支出の内、移動交通費・交通費などの支払が完全になされていない状況下で賃金が低下するというのであれば、ホームヘルパーの歩留まりは悪くなるだけであり、介護サービスの質も低下するものである。
やはり、当該地域の中で一定水準の生活を維持できる収入を年収ベースで設定する必要がある。
これらを改善するための取り組みについては、一つに最低賃金法に基く労働協約拡張方式の地域的賃金の決め方がある。一定地域内に於ける同業種の労使の大部分に適用される賃金の決め方が、当該地域の労使全体に適用されるというものである。
この他に、当該自治体の持つ介護保険会計の中で、ホームヘルパーに対する賃金支払を前提とした支出を項目として作るか、遣り繰りすることも考えられる。
(2)ヘルパーからの苦情処理機関設置
ホームヘルパーの仕事の特性上、職場はほぼ密室であり1対1もしくは、1対複数(利用者の家族等)という状況下でサービスが提供される。
いかなる職業・職場に於いても顧客からのクレームは発生するものであり、その中では受ける側が一人であるというものも例外ではない。
しかし、現行の介護サービスは公的福祉施策の中に位置付けられており、サービスを受ける側としては、支出に関しては従前よりも増して保険料という負担を強いられていることもあり、自分の希望は適えられるべきであるという心理が形成されている。
そして、不満の出し先については、公的機関についても設置され、民間事業者の中にも不満は受けて処理しなければならないという状況がある。
ここまでの状況になれば、むしろ些細なことであっても出ない方がむしろ不自然である。
これはこれで歓迎すべきところであるが、果たして苦情の対象となったホームヘルパーはどうか。
アンケートによれば、殆どが苦情を受けた事があるとしており、その中1/4が処分を受けたとし、その内容は殆どが担当替えである。
これに対して、当該ホームヘルパーは是認しているかというと、自由意見では具体的に不満であり、苦情処理機関を希望するかの問いには、現行機関の改善も含めて7割が必要としている。
申し立てる機関のないホームヘルパーは、同僚・家族との会話で解消しており、それができないホームヘルパーは1人で我慢しているのである。
労災の病名に内容に記載される「精神」はここに原因があるのではないか。
極端な例ではあるが、通常裁判に於いても当事者双方の意見を聞くのが常識である。
公的介護の現場に於いても、利用者と同水準の申し立て機関が必要である。
(3)職業病対策の構築
事業主の労災保険加入は強制事項であるので、現行の加入状況については改善をしなくてはならない。
勤務状況の分析では、出勤日数は減少傾向にあるものの、時間数・稼動回数ともに増える傾向がある。介護の現場に於いては活動形態を問わず、利用者の身体を動かす作業があることから、1日の身体的負荷は従前よりも増していると言える。
腰痛・首痛・膝痛等の関節系に症状が出ている事から相当の重労働であると言える。
また、感染症についても、症例が少ないとは言え発生しており、その理由に情報公開の不足が挙げられるのは、緊急の対策が求められるところである。
症状の自覚については、自らの通院によるものが殆どであるが、定期健康診断が年に1回であれば、当然であるといえる。
従って、事業主の労災加入について徹底的な改善指導を求めると共に、予防として定期健康診断について年複数回を義務化し、感染症に関する情報については担当ホームヘルパーに対する公開と予防のための講習について義務化をする必要がある。
また、ホームヘルパーの労災症例については、自治体及び監督行政についても十分に認識してもらう必要がある。
(4)社会保険・雇用保険の100%適用
適用条件者には、全て適用させるという事業主の姿勢を構築することと、それすらも措置できない事業主は、指定を解くという自治体の姿勢が必要である。
また、ホームヘルパーの側にも特例に走る傾向が無いわけではないため、通常労働者と同等にという主張には、自らが、適用条件になれば加入するという姿勢も必要である。
(5)横断的退職金制度の設置
ホームヘルパーを辞めようと思う理由及び今後続けるにあたっての希望について、退職金の有無が高い数値となっている。
これは、現行のホームヘルパーの高齢化状況や世帯状況、賃金の不安定さを見れば将来に不安を持っている、また事業所の移動状況を見れば、今の事業所がホームヘルパーとして最後の職場と認識しているためと考えられる。
今、喫緊の課題である地域福祉の充実については質の高いホームヘルパーの確保が必要であるとの認識は当然のことである。そのためには、職場を変更しようとも将来に対する備えについては、制度として構築されているという事が求められている。
自由意見について見れば、事業所内のホームヘルパーの離職率が高くホームヘルパー自体を辞めてしまう状況も見られる。
また、アンケートの中の資格取得意識についても前回の調査から見て、取得したいという傾向が薄れ、現実に取得できないという現状もあることから、ホームヘルパーという職業への執着心が薄れつつあるのでないかと思う。
離職を醸成する状況下にある以上また、どの事業所に属しているかを問わず地域・サービス内容はほぼ同一であることから、共通の退職金制度を構築し、地域に根ざしたホームヘルパーを育てていく必要がある。
(6)地域行政・事業主・利用者・ヘルパーの4者による、地域在宅介護サービスに関する検討会議の場を設置する
地域の公的福祉とはいえ、常にサービス内容等が限定されていてはならない。
その時々の、世代構成、男女比率又利用者自身の属人的ニーズの傾向により地域福祉のあり方は、常に検討を要するものである。
事業体のあり方についても、経済状況によっては様々な施策が必要であろう。
ホームヘルパーについても、現状の勤務状況だけでなく提供するサービスに比例する技量については、ある程度の評価を受けながら見直す必要もあるであろう。
今ある介護の現場については、常に検討を要するのである。
その検討の場は、紙面だけであってはならず、学識者、行政担当者だけであってはならない。
主体はサービスを受ける側と提供する側、そこに資金を持つ側が参加するという構図でなければならない。
3. ヘルパー主体の横断的組織づくりと参加
以上の事を実現しようとすれば、決して個人の力量だけで適うものではなく、個別事業所の労使間系だけで解決できるものでもない。
また、札幌地区連合などの当事者ではない団体が意見を出したとしても、限界があることは先に述べたとおりである。
やはり、主体たる現場のホームヘルパーが全体で声を出すべきである。
声を出すまでの環境作りについては、「他人」でもできるのであるが、主張するのは当事者でなければならない。その実現により、これまで挙げた各項目が現実のものとなると確信する。
4. 「介護を支えるヘルパーの会 in Sapporo」の具体的取り組みについて
私達は、以上の提起内容を早期に実現するために、出来得る限りの取り組みを行います。
そのためには、より多くのホームヘルパーの方々に会員として参加して戴く事が急務です。
会を設立するに当たっての趣旨は、以下の内容でありそれは現在に於いても変わっておりません。
(1)意志表示をするところ
(2)主張をするところ
(3)考えるところ
(4)仲間を呼ぶところ
私達は、この設立趣旨に基き、当面以下の内容を取り組んでまいります。
(1)年6回を目途に情報誌各回1,000通程度を発送する。掲載情報は以下。
(1)ホームヘルパーのための共済商品、公的退職金制度、労働安全センター等の福利厚生に資するもの。
(2)ホームヘルパーから相談・苦情の受け付け状況・提言内容と解決内容。
(3)厚生労働省・職業安定所に関する情報。
(4)各地域・各団体・各事業所の状況又は取り組みに関するもの。
(2)共済・福利厚生の取り扱い窓口の設置。
(3)労働安全衛生センターとの協同による労災防止セミナーと横断的集中検診の実施。
(4)苦情・相談受け付けと解決に向けた取り組み。
(5)政策提言に向けたヘルパー討論会(総会)
皆さんの積極的な参加とご協力をお願い致します。
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