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「サポート資源提供システム」2002年度事業計画
2002年6月20日 せんだい・みやぎNPOセンター理事会承認
 
[前提]
 2002年5月より、参加企業41社の皆さんと2ヵ年をかけて開発してきた、NPOの活動を支える「サポート資源提供システム」は、昨年10月からの試験運用を成功裏に終え、いよいよ本格運用の運びとなった。7月16日の本格運用記念シンポジウムを契機に、システムの運用に積極的に協賛、参加していただく企業・団体(システム協賛企業・団体)およびシステムと提携して継続的に資源を提供する企業・団体(システム提携企業・団体)を中心に運営委員会を組織し、せんだい・みやぎNPOセンターとの協働によって、システムの有効活用に向けた事業展開を行う。そのための経済的基盤をつくることも、今期の大きな目標である。それに合わせて、運用規程等の整備を行い、情報発信にも力を注いでいく予定である。
 
[目標]
システム協賛企業・団体 35社
システム提携企業・団体 10社
提供資金 300万円
提供物品(中古PC) 130台
提供物品(オフィス備品) 随時
 
[事業]
●運営委員会  5/10、5/28、6/25(準備会)
  7月以降 2ヶ月に1回程度開催
●セミナー等  7/16 記念シンポジウム
  企業向けセミナー(2回)
  NPO向けセミナー(1回)
●ワーキング  人財開発ワーキング開催(日本財団助成事業として別途展開)
  PC−bridge(MISA)連絡会(月1回)
  資金ワーキング他必要に応じて
●情報発信  NPO情報ライブラリーのWebデータベース整備と運用
  ニュースレター発行(第1号9月、以後2ヶ月に1号)
  リーフレット、ロゴマーク、愛称、HP等の作成
 
[事務局組織体制]
・全体責任者/加藤哲夫
・「資金」担当者/紅邑晶子(A)
・「物品(オフィス備品)」担当者/青木ユカリ(B)
・「物品(中古PC)」担当者/遠藤智栄(C)
・事務局担当/高橋利恵子(D)
・アドバイザー/高田篤(E)
・担当理事/大滝精一、川村志厚、木村正樹、八木充幸
 
[年間予算]
●支出の部
 
●収入の部
 
2. 課題と展望
 本システムの試験運用を行って明らかになった問題点をひとつ挙げるとすれば、NPOからの「NPO情報ライブラリー」への登録と継続的な情報発信の問題であろう。
 サポート資源提供システムの開発と並行して、当センター事務所内に、NPOの情報公開・発信支援拠点として、「NPO情報ライブラリー」を設置した。これは、基本的な課題のひとつとしてあった、資源提供者側(市民・企業・団体側)がどのような市民団体を信用したらいいかわからないという問題を解決し、NPO側が共同で信用を創造していくと共に、当センターとして、さまざまな問い合わせや相談の対応に活用し、支援していこうというものであった。
 しかし、日本の市民活動団体の大部分は、NPO法施行まで自らの団体の情報公開を意識したことは少なかったこともあり、その価値を理解してもらうためのセミナー等も随時開催してきたが、登録はなかなか進まなかった。資源の提供を受けるNPOには、当然ながら「NPO情報ライブラリー」への登録を義務付けたが、それでも思ったようには進まなかったのが実情である。ドナー(寄付者)から見れば当然のことが、なかなか理解を得られないとすれば、これは日本の市民活動の未成熟さを示すものであろう。
 
 ちなみに、NPOが発信する情報は、次の3つに分類できる。
 
(1)日常的に発信されているのは・・・
 
 このような情報は「フロー情報」と呼ばれる情報で、一時的であり、放っておくと消えてなくなってしまう情報である。
 
(2)でも、団体の支援者となる人が本当に必要な情報は・・・
 
 支援の輪を広げるにはこのようなストック情報の発信が必要となる。しかし、現状では、このような情報は直接団体に取りに行かない限り入手が困難である場合が多い。これが、NPOの情報発信が抱える1つの課題である。
 
(3)さらに、ニーズを持っている市民がほしい情報は・・・
 
 (2)や(3)のような「ストック情報」をいかに効果的に発信していくかが、団体の活動の発展、支援の輪の拡大にとって不可欠である。普通、NPO支援施設等では、(1)のフロー情報が発信されているが、寄付や社会的支援を要請するときは、(2)や(3)の情報こそが重要な役割を果たすのである。また、このような情報は、義務としてではなく、NPOの側からより積極的に、戦略的自発的意思に基づいて公開されることが望ましい。
 当センター内に設置した「NPO情報ライブラリー」は、この(2)と(3)のストック情報を継続的に扱うライブラリーである。このようなストック情報については、日本の多くのNPOが未整備であるのが現実である。私どもの設置した「NPO情報ライブラリー」には、日常的に多くの市民やマスコミ、企業関係者が訪れている。このような一見地味な活動が、価値ある情報を集積することによって、大きな信用保証と情報提供の媒介の役割を果たすようになる。また、インターネットによる情報発信も準備中であり、さらに大きな発信支援につながると確信している。この件については、NPO関係者の一層の理解を切に望みたい。
 
 今後の展望としては、数年かかって本システムの安定的な運用をめざすと共に、NPOと参加企業・団体の接点を増し、相互の連携によって地域課題を解決していく「協働プロジェクト」の創出や、コミュニティビジネスヘの展開など、新しいNPOと企業の関係を社会に提案していきたいと思っている。企業・団体とNPOのコラボレーションが、社会にイノベーションをもたらすのである。協働のコーディネーターとしての役割を、民間のNPO支援センターとして果たしていきたい。







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