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日本カトリック正義と平和協議会全国集会in沖縄
ヌチドゥタカラ(命こそ宝)に参加して
千原 美樹
 
 2001年9月11日に起こったアメリカの「同時多発テロ」によって世界中が戦争への怒りと不安におびえています。私達が沖縄へ行った11月は、観光シーズンだというのに、沖縄は危険だからということで、「観光立県沖縄」に観光客が来ないうえ、修学旅行のキャンセルも相次ぎ、沖縄の人達は、日常生活にも大きな打撃を受けておられました。そのような時期に正平協の全国集会(全国から参加者150名)が開催されることになってしまいました。しかし、これは考えようによっては、非常にタイムリーな企画になったと言った方がよいかもしれません。
 
 沖縄は日本の全国土の1%にも満たない小さな島々に、国内の4分の3にも及ぶ米軍駐屯地を押し付けられ、それは沖縄全土の12%を占拠しているということです。その上、普天間基地の県内移転問題によってますます問題が複雑化され県民達を苦しめています。
 今回の体験学習の主旨は、このような状況を強いられている沖縄に行って、沖縄の米軍基地の現状を視察し、沖縄の人達の平和への強い願いを知るために、「現揚に行って、ふれることが大切」ということでした。
 私たちは、米軍基地、ガマ(鍾乳洞)、伊江島、ヌチドゥタカラの家、象のオリ、国立療養所「沖縄愛楽園」、安保の見える丘、平和の礎など3泊4日では考えられないほどの盛りだくさんのスケジュールをこなしました。また、平和を願って活動を続けておられる方々から直に話を聞くことが出来たことも、本当に貴重な経験でした。
 私は激しい沖縄戦やガマで起こった「集団自決」の事実を初めて知り、非常なショックを受けました。
 生死を分けた2つのガマ、チビチリガマとシムクガマも案内してもらいました。
 チビチリガマでは戦争中に多くの人達がガマの中で死んでいきました。それもアメリカ軍に殺されると思い、親や兄弟を殺しあったそうです。アメリカ軍に殺されるくらいなら自分で殺すほうがいいと当時の人達は思っていたそうです。そして、チビチリガマのリーダーは軍国教育の影響を大きく受け、中国戦線をくぐったことのある軍人でした。彼らは、男達は敵陣へ、女、子供は自決するように教え込まれていたからです、その結果、沖縄戦の時、140人余りが避難し、そのうちの85人が死に、83人は集団死、2人は米軍に殺されました。私たちはこのガマに入ることは出来ませんが、今でもガマの中には、遺骨や遺品が残っているそうです。
 このチビチリガマとそれほど離れていないところにあるシムクガマでは「自決」は、起きませんでした。ここには、米軍上陸を前にしておよそ1,000人の住民が避難していました。
 米軍が迫ってくることで、「自決」しようとする者もいましたが、ハワイ移民の経験のある人が「アメリカ人は民間人まで殺さない」と言ってガマを出ました。彼は英語で米軍と交渉し、1000人の投降を実現させました。一人も死ななかったそうです。
 また、4日目に行ったもう一つのガマ、糸数壕(アブチラガマ)はとても印象に残りました。ここは、沖縄戦時中、陸軍病院の糸数分室として使われ、ガマは最高時1000人近くの負傷兵でいっぱいになったそうです。まさにそこは地獄のような野戦病院のありさまだったといいます。ガマの入り口はとても急で、人一人がやっと入れるくらいで、中はひんやりと涼しく静かでした。ぽたんぽたんと天井から落ちる水滴の音。足場はとても悪く滑りやすいでした。聖歌を歌いながら、貸していただいた懐中電灯を片手にさらに奥へすすむと、一番奥はとても広い部屋になっていました。案内してくださったガイドさんの指示でみんなの懐中電灯を一斉に消すと、隣の人の姿が全く見えない位本当に暗くなってしまい、何か言葉では言い表せないような色々な感情がわいできました。戦時中はこの闇の中で負傷者や、赤ちゃんやお年寄りなど入り混じって生活をしていた同じ場所に私が立っていることを実感しました。松浦吾郎司教様の先唱で平和を願ってみんなで静かに祈りました。
 激戦地だった伊江島で非暴力反戦地主であり、今もなお平和運動を続けておられる阿波根昌鴻さんにもお会いすることが出来ました。阿波根さんは、100歳を迎えられお話も出来ない状態でいらっしゃいますが、以前次のような事を言われたそうです。「本当の平和と幸せは、不満、不足、悩み、恐怖、心労があっては幸福とはいえない。真の人間の幸福と勤めは、悪魔や畜生を真の人間に育て幸福にしてあげる事の中にある。そして真の人間が多くなり、その力が強くなることによって、平和は実現し、人類は幸福に生きる事が出来るものと確信する。」「ヌチドゥタカラ」と。
 
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