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2. マリーナ事業におけるPFI実施事例
2−1 ヒアリング結果の概要
(1)ヒアリング相手等
ヒアリング先 神戸市 産業振興局 農水産課
日 時 平成14年11月12日 14:00〜15:30
 
(2)事業の概要
全体名称 マリンピア神戸
規 模 東西約60km 南北約300m、埋立面積約18.5ha
建設事業費 190億円(土地基盤整備)
施設内容
(1) 神戸市の建設施設 水産体験学習館(さかなの学校)、臨海休養広場(おさかな広場)、環境緑地(緩衝緑地帯)
平成10年3月供用開始→(財)神戸みのりの公社に管理委託
(2) 公社の建設施設 駐車場(収容台数:約1,600台)
(3) 事業者の建設施設  
 
事業者 三井不動産(株)および神戸市漁業協同組合
土地利用形態 事業用定期借地権設定による賃貸借
(平成10年12月24日〜平成25年12月23日までの15年間)
施設内容(名称:ポルトバザール)
  三井不動産(株)整備
    ファクトリーアウトレッツ ウェスト(H11.10.1)
    シーポート レストラン(H11.7.30)
    ファクトリーアウトレッツ イースト(H12.6.28)
  神戸市漁業協同組合整備
    シーフード マルシェ(H12.7.28)
(4) PFI手法導入施設:神戸フィッシャリーナ
 
 
2−2 神戸フィッシャリーナ事業の概要
(1)施設等の概要
(1)施設等 ・水域面積 約10,000m2  
  ・PB収容隻数 長期係留施設 142隻
    一次係留施設(ビジター) 5隻
  ・浮き桟橋 約400m  
(2)事業期間 平成13年10月1日〜平成34年3月31日までの約20年間
(3)PFI事業者 ヤマハ発動機株式会社
 
(2)事業の枠組み
(1)整備着手前の動き
神月市による関係機関、地元関係者との事業調整
防波堤等の基本施設の神戸市による整備(←民間事業者参入の条件整備)
(2)事業者との取り決め概要
PFI事業者として選定された事業者は、神戸市から提供を受けた水域にPBの係留施設を建設し、以降、約20年間に渡って維持管理及び運営を行う。
神戸市は、事業者の整備した係留施設を借上げ、当該施設の維持管理及び運営を事業者に委託する。なお、PB利用者から納付された係留料を上限に、施設管理料として、係留施設等の借上げ料ならびに維持管理および運営にかかる費用を事業者に支払う。
水面の占用について事業者に許可するとともに、事業者は水面占用料を神戸市に支払う。
事業者は、契約期間終了後は、自らの費用で係留施設を撤去し、原状回復を行わなければならない(BOO方式の採用)。
 
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(3)PFI導入の経緯
VFM(Value for Money)調査において、PFI方式を導入した方が、約25%程度安く整備が可能との結果がでる。
フィッシャリーナの使用料の設定は、近隣施設との値段比較から決定(約2〜3割程度廉価とする)←条例の制定。
整備費は、約1〜2億円程度、収容可能隻数のうち約7割が埋まれば収支が均衡する計画となっている。
 
(4)垂水漁港の放置艇所有者の取り込み
整備以前、約50隻の放置艇が存在。
約15隻のオーナーが、任意の組合を作っていた。
計画段階で、最初にこの組合に加入しているオーナーに、フィッシャリーナへの係留を打診。オーナー了承(なお、条件としては使用料を格安にしている)。
この結果、組合に所属していないオーナーもフィッシャリーナでの係留を了承。放置艇の約50隻全てが転換する結果となった。
 
《参考1》民間事業者選定の審査方法
1. 審査方法・手順
(1) 審査委員は、民間事業者の提案内容を、施設整備計画、施設維持管理・運営計画、収支計画の3項目について審査するものとします。
(2) 審査曇員は、応募企業の提案書の内容について、提供される業務の内容が、市が要求する水準(市が想定している事業内容)に比較して、優れているか否かの評価を行ないます。
また、提案に対するリスク分担、事業の安定性及び市の負担を検討します。
(3) 評価は、施設整備計画、施設維持管理・運営計画・収支計画ごとに審査項目を設定し、各項目ごとに5段階で行ないます。
(4) 各計画の配点(100点満点)は、施設整備計画25%、施設維持管理・運営計画30%、収支計画45%の比率とします。
(5) 各審査項目の評価は、各計画の配点の内で重要度に応じた倍率(等倍・2倍・3倍)を設定し、得点化(評価×倍率)します。
(6) 各審査項目の得点の合計を、民間事業者の得点とし、高得点者より順に優先交渉順位を決めます。
 
2. 審査項目
区分 審査項目 倍率 参考図書
施設整備計画 (1) 施設整備業務計画施工・監理計画 ×1倍 施設整備業務計画(様式9・10)
施工計画・監理計画(様式15・16)
(2) PBの収容計画施設配置計画その他特記事項 ×2倍 収容するプレジャーボートに関する計画(様式11)
配置計画(様式12)管理事務所設置計画(様式14)、その他特記事項
(3) 安全対策施設景観形成 ×1倍 安全対策施設(様式10)
環境対策・景観形成(様式13)
(4) 概算工事費 ×1倍 工事費概要計画(様式22)
施設維持管理・運営計画 (1) 施設維持管理業務 ×1倍 施設維持管理業務計画(様式9・17)
(2) 施設運営業務 ×1倍 施設運営業務計画(様式9・18)
関連事業計画(様式21)、その他特記事項
(3) 稼動計画 ×1倍 稼動計画(様式19)
(4) 利用料金設定計画 ×2倍 利用料金設定計画(様式20)
(5) 維持管理・運営費 ×1倍 施設維持管理費・施設運営費(様式23)
収支計画 (1) 経営状況・実績 ×2倍 経営状況・実績(会社概要書・決算報告書・様式4・6・7)
(2) 収支計画全般投資・売上計画関連業務 ×2倍 収支計画全般 投資・売上計画(様式25)関連業務計画(様式25)
(3) 事業の安定性資金調達計画 ×2倍 事業の安定性(様式25)
資金調達計画(様式9・14)
(4) 市の負担 ×3倍 市の財政負担(様式9・26)、リスク分担(様式27)
 
3. 着眼点
施設整備計画
(1) 市の指定する放置プレジャーボートを収容し、かつ、海洋レクリエーション振興のための一般プレジャーボートの収容、ビジター利用等多目的係留施設の設置をおこなう、施設整備計画となっているか。また、施工・監理に問題はないか。
(2) 収容隻数・施設配置計画は水域を考慮したものになっており、設置パースの機能・デザイン・仕様は優れているか。
(3) 「安全性の確保」、「周辺の環境と調和」のとれた施設となっているか。
(4) 工事費は適正か。
施設維持管理・運営計画
(1) 保守点検、修理、警備・警戒、清掃等は十分で、サービス水準は利用者に受け入れられるものか。
(2) 募集・受付・使用料徴収の業務を十分考えているか。安全対策、環境対策及び景観保全を考慮した運営であるか。
関連事業は、適切な業務か。また、利用者ニーズに合ったサービス提供となっているか。創意工夫が見うけられるか。
(3) 需要予測は妥当性があるか。また、入艇率の向上対策は適正なものであるか。
(4) 料金設定は妥当で、適正な料金体系をとっているか。また、料金低減に対する有効な考え方・手法をとっているか。
(5) 維持管理・運営費は、適正であるか。
収支計画
(1) 事業者の経営状況・事業実績から、事業運営の安定性に問題はないか。また、施設を建設・運営するにふさわしい事業執行体制が組まれているか。
(2) 収支計画は適正で、かつ、投資に見合う収益が確保できているか。
(3) 資金計画は明確で、事業の継続性・安定性は高いといえるか。
(4) 市の財政負担額は適正で、かつ、VFMの達成が見込まれるか。また、事業リスクの分担は適正に行われているか。
以上
 
《参考2》審査項目の配点表
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